TGR TEAM ZENT CERUMO
2020 AUTOBACS SUPER GT Report
FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE
第7戦 ツインリンクもてぎ
ZENT GR Supra
#38 立川祐路/石浦宏明
◆11月8日(日) RACE
決勝結果 10位
公式予選ではライバル勢の前に6番手に終わったものの、決勝レースに向けてZENT GR Supraのフィーリングにたしかな手ごたえを得ていたTGR TEAM ZENT CERUMO。一夜明け、迎えた11月8日(日)の決勝日のツインリンクもてぎは晴天に恵まれ、朝からドライブスルーピットウォークなど新たな試みも行われるなか、20分間のウォームアップを経て、午後1時からの決勝レースのときを迎えた。
15,600人ものファンがスタンドを埋めるなか、ZENT GR Supraのスタートドライバーを務めたのは立川祐路。スタート後、立川は6番手のポジションを守ると、1周目の90度コーナーで前をいく#19 GR Supraのインをうかがう。
10周目を迎えるころになると、トップを走る#64 NSX-GTのペースが少しずつ鈍っていくが、一方で立川の後方にはハイペースで#17 NSX-GTが接近してきた。第4戦もてぎでもトップを争った因縁の相手ではあるが、立川はGT300車両をうまく使いながら、絶妙なラインどりで#17 NSX-GTにつけいるスキを与えない。逆に、前の#19 GR Supraとのギャップが縮まりはじめ、立川を含む6台の5番手争いがサーキットを沸かせはじめた。
そんな接近戦のなかでこそ光るのが立川の技だ。17周目、立川は#19 GR Supraの一瞬のスキを突き、最終ビクトリーコーナーでオーバーテイク。すると、今度は少しずつペースがにぶりはじめていた4番手の#23 GT-Rを18周目の1コーナーで一気にオーバーテイク。コクピットの立川はややタイヤの厳しさを感じてはいたものの、それを感じさせないバトル巧者ぶりをみせ、一気にZENT GR Supraを3番手に押し上げてみせた。
とはいえ、今回GT500クラスの争いは上位から下位まで僅差。こうなるとピットインのタイミングが勝負の鍵を握ってくる。ピットでは石浦宏明がスタンバイを整え、レース展開をみながらいつピットインさせるのかをうかがっていた。
しかしそんな最中、22周目にGT300クラスの#5 86 MCがV字コーナーでトラブルが起きたか、ストップしてしまう。セーフティカーが出るかもしれないが、とはいえZENT GR Supraの燃費を考えると、このタイミングで立川をピットに呼び戻すことはできない。そうしているうちに、24周目には車両回収のためセーフティカーが導入されることになった。
ZENT GR Supraはコース上にステイし、最も“損”がないセーフティカー明けにピットインを行うことを決断する。トップ2はすでにピットインしており、タイムの面でも“得”をしているのは明らかだったが、それでも表彰台争いは十分に可能。29周目のリスタートとともに、立川はZENT GR Supraをピットに向けた。
同じタイミングで5台ものGT500車両がピットインを行っていたが、ここで思わぬ事態が起きる。ドライバー交代を終え、ZENT GR Supraのコクピットに石浦が収まっていたものの、ホイールのトラブルによりタイヤ交換が遅れてしまったのだ。石浦の横を何台ものマシンが通過していく。第6戦鈴鹿と同じ光景が展開されてしまったのだ。
なんとか作業を終え、石浦はコースに復帰するものの、後からピットインした車両たちがコースに戻ると、ZENT GR Supraの順位は11番手。序盤の立川の頑張りは水泡に帰してしまった。しかも、このツインリンクもてぎは抜きにくいコース。少しでもポジションを上げ、チャンピオン争いに踏みとどまろうと石浦は懸命にドライブを続けるが、上位陣と異なり、中盤のバトルからはそう簡単に抜け出せない。
石浦の2台前を走っていた#3 GT-Rが45周目にストップしたこともあり、ZENT GR Supraは10番手にポジションを上げ、さらに54周目には#19 GR Supraをオーバーテイク。これで9番手に浮上した。ただ、そこから先は望めず、さらに後方からはペースに優った#12 GT-Rが接近。ファイナルラップに先行を許し、最終的にZENT GR Supraは10位でチェッカーを受けることになった。
第6戦鈴鹿でも表彰台を逃し、今回はさらにひどい結果となってしまった。チャンピオン争いも絶望的で、立川と石浦はレース後、怒りにも近い落胆の表情を浮かべることになった。この悔しさを晴らすためにも、最終戦富士を必ず勝って終えたい。TGR TEAM ZENT CERUMOは、しっかりと反省し最終戦に臨む。
ドライバー/立川祐路
「序盤は決して楽なレースではありませんでしたが、なんとかポジションを上げようと戦ってきました。ただ、ピットインのときのロスですべて終わってしまいました。前戦の鈴鹿に続いて2戦連続で同じミスをしてしまったので、正直、これはダメだと思っています。こんなことをやっていては成績を残せるわけもなく、チームとして立て直しをきちんと図り、最終戦の富士をせめて優勝で終われるよう、頑張りたいと思っています」
ドライバー/石浦宏明
「レース前半の立川選手のスティントを観ていても、ライバルに対してペースが厳しい状況なのは分かっていましたが、そのなかで順位を上げてきてくれていたので、これ以上期待しようがないくらいの最高な前半スティントだったと思います。なんとか表彰台で終われるよう、自分もしっかりベストを尽くそうと思っていました。ピットタイミングも勝負の大事なポイントになるだろうと思っていましたが、セーフティカーが出たことで、上位2台は得をしたにしろ、普通にコースインできれば表彰台争いができると思っていました。ただ、トラブルでタイヤ交換が遅れてしまい、大きくタイムロスしてしまいました。自分の横をたくさんのマシンが通過していきましたし、その後ピットインしたマシンもいるので、実質最後尾に近いところでコースに戻ったようなイメージです。自分としては、もう1点でも多くポイントを獲るしかないと頑張って走りました。終わってみれば1ポイントということで、チャンピオン争いを考えると、この2戦で失ったポイントは取り返しがつかない大きなもので、失ったものがなければタイトル争いもできていたと思います。チームとして何をどう反省していくのか、しっかりやってもらわなければと思っています。今週末、GR Supra勢のなかでも速さはあったと思います。そういうレースで結果を残せなかったということは、チームとしてファンの皆さんにも、応援して下さるスポンサーの皆さんにも申し訳ないと思います。自分たちとしては、あとはできる限りのことをやっていくしかないので、最終戦も全力で頑張りたいと思います」
村田淳一監督
「今回はピットイン時にホイールのトラブルが発生してしまい、結果的に大きく順位を落とすことになってしまいました。前戦の鈴鹿でも少し出ていた症状だったので、その対策をしていたのですが、対策が甘く再発してしまいました。ゴーサインを出したのは自分なので、監督の責任です。レースを台無しにしてしまい、申し訳ない気持ちでいっぱいです。ドライバーはふたりとも素晴らしいレースをしてくれて、順位を上げてきてくれたのでなおさらですね。最終戦ではミラクルが起きなければチャンピオンは獲れない状況になってしまったので、悔しいし、情けない気持ちです。ホイールについては全数を交換するしかないと思っていますし、すでに準備を進めていますが、最終戦のノーウエイトの戦いのなかで、我々が優勝しなければ気持ち良くシーズンを終われないですし、我々のためにも、GR Supraのためにも優勝を目指して頑張りたいと思います」
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