TGR TEAM SARD 2020スーパーGT第7戦もてぎ レースレポート

2020 SUPER GT 第7戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』(11/7~8)
ツインリンクもてぎ(1周4.801km)

 11月8日(日)、SUPER GT第7戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』の決勝が行われ、12番グリッドから発奮興起し勝利に向けて突き進んでいったDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、今回スタートを担当した中山がペース良く虎視眈々の走りで連なる隊列についていきギャップを埋め、セーフティカー(SC)明け2周後となる30周目に混雑を避けピットインする戦略。

 一連の素早いピットワークにより一時5位で戦列に復帰するジャンプアップを見せた。タイヤの温まった車両に先行を許し10位にポジションダウンとなったものの、ヘイキが最後まで懸命の追い上げを見せて好バトルを展開。最終的に予選から4つポジションを上げる健闘の8位フィニッシュとなった。

 僅差の激しいチャンピオン争いのなかで最終戦にタイトル獲得の望みをつなぐ貴重なポイントを獲得。ドライバーポイントは3点を獲得(計42点)し、ランキング9位に。チームポイントでは6点を獲得(計63点)し、ランキング6位となった。次戦ノーウエイトハンディとなる今季最終決戦は、11月28日(土)~29日(日)に富士スピードウェイで開催される。

■事前情報

 前戦では11位と今季初のノーポイントと悔しいレースとなったDENSO KOBELCO SARD GR Supra。第7戦の舞台となるのは、ツインリンクもてぎ。当チームパートナーでもあるFUJIMAKI GROUPが大会ラウンドパートナーになり、大会名称は『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』。11月7日(土)午前に公式練習、午後にノックアウト方式(Q1、Q2)の公式予選で、13日(日)決勝は13時スタートの300km(63周:約2時間)で争われる。

 ドライバー交代を伴うピットストップは1回が義務付けで、今回のウエイトハンディは現獲得ポイントとイコールとなる39kgを搭載する。燃料リストリクターは当初に戻り、ウエイトハンディの重量増によるもてぎでのタイムの落ち込みは、39kgだと約0.8~0.9秒となる。

 混乱の2020年シリーズも大詰めとなり、タイトル争いの挑戦権への篩に掛けられるオーラス前となる最終局面を迎える今季2回目のもてぎ戦。挑戦権を得るための最後の関門となる言わば天王山。現在ランキングトップとは8点差のランキング6位であり、十分に逆転は可能である。

 戦略的にはコース上では抜くポイントが限られているため、シーズンを通じてその速さに定評のあるインラップ~ピット作業~アウトラップを最短で終えることは重要になる。凄まじく激しい戦いが予想されるが、戦う毎に強さを身につけてきているDENSO KOBELCO SARD GR Supraにとって正念場。伸るか反るかの大一番勝負に、脇阪寿一監督のもとチーム一丸となり、発奮興起し勝利に向けて突き進んでいった。

2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)
2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)

■公式練習走行

 7日(土)公式練習走行は9時5分から開始。雲が多く肌寒いが晴れのなか、気温12度/路面温度14度の低いドライコンディションで85分間の混走セッションが開始された。まずはヘイキがクルマのバランス確認のため、持ち込んだタイヤのうちハード側のタイヤを装着して2周を走行。

 少々温まりが遅くその時点の路気温に合っていないことから、ソフト側のタイヤに交換して7周を走行。開始から7周目に、このアウティングでのベストとなる1分38秒935の8番手タイムを刻む。続いて路気温も上がり路面状況も良くなってきたことから、最初に装着したハード側のタイヤを装着して6周を走行。ヘイキは5周目に1分38秒149の6番手タイムをマークしてみせた。

 16周目から中山がセット調整を施しソフト側タイヤのリピート評価を行い、19周目からヘイキがベストタイムをマークしたハード側のタイヤでさらにセット調整を織り込みながらチェッカーまで走行。混走セッションはヘイキがマークした1分38秒149の9番手となった。

 10分間のGT500単独セッションでは、アタックシミュレーションは実施せず、そのまま中山がソフト側のタイヤを装着してロングラン評価を優先して行い、午後の予選と明日の決勝を見据えたプログラムに終始専念した。公式練習走行ではトータル35周を走行して14番手となった。

■公式予選

Q1:ヘイキが僅差のQ1で突破ならず12位に

 7日(土)14時03分に始まったQ1。開始時点で気温19度/路面温度24度と午後は暖かく路面温度が上昇したドライコンディション。残り7分半ほどでコースインしたヘイキは、わずかでも前のグリッドを狙ってソフト側タイヤを装着。4周目にアタックとターゲットを決めてタイヤに熱をしっかりと入れていき、セクター1を24秒半と好タイムで駆け抜ける。

 セクター2で自己ベストをコンマ2秒ほど更新したが、セクター3で若干グリップダウンがおきて0.05秒とわずかに遅れ出す。最終セクターで限界まで攻めて上位を狙っていって自己ベストを更新したが、大きくタイムアップならずに1分37秒564をマーク。0.3秒差でQ1突破ならずに12位となった。

 路面グリップは良好になったものの全体的なクルマのバランスを、結果ヘイキのドライビングスタイルとソフト側タイヤの組み合わせをうまくマッチさせらず、明日の決勝は悔しい12番グリッドから逆襲を目指してスタートすることとなった。

2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)
2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)

■決勝
ウォームアップ走行

 8日(日)11時40分から開始されたスタート前20分間のウォームアップ走行は、冷え込んだ朝から陽が上がるにつれて上昇。路面温度も高くなり、気温22度/路面温度26度。まず今回セカンドスティントを担当するヘイキが決勝用セットの確認とタイヤのベディングのため2周走行。続いてスタート担当の中山が3周目から決勝スタートと同じ種類のタイヤを装着してペースの確認を行った。ウォームアップ走行は、トータル9周を走行して、1分42秒478の12番手となった。

決勝レース
第1スティント:中山が好ペースで虎視眈々の走りを見せる

 8日(日)13時決勝スタート時点は気温22度/路面温度27度の日の暖かさを感じるコンディション。12番グリッドから発奮興起して勝利に向けて突き進んでいった中山が駆るDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、タイヤが温まり始めるとスティント後半はペース良く攻めていき、後方から虎視眈々の走りで連なる隊列についていく。イエロー区間など前が詰まった隙にギャップを埋めるなどクレバーな走りを見せた。

 24周目にGT300クラスのコースアウト車両によりSC導入となり、レースが動き出す。チームはSC中に様々な戦略を練り、SC解除後は直ぐにピットに入らず、GT300集団に詰まる直前までステイアウトしてフルプッシュしてピットワークでの逆転を狙う作戦を取り、周回遅れのGT300の集団に追いついたSC解除2周後となる30周目に混雑を避けピットに中山を滑り込ませた。

第2スティント:ヘイキが好バトルで8位に追い上げる健闘の走り

 中山のフルプッシュ+インラップ~ピット作業~ヘイキのアウトラップと一連の流れを素晴らしい速さにより、ステイアウト車両の中で1番に作業を終えて戦列に復帰すると、作戦が決まり5位にジャンプアップするチームワークを見せた。その周回で背後まで迫ったタイヤの温まった上位車両に先行を許し10位にポジションダウンとなったものの、装着したハード側のタイヤが温まるとヘイキがフルプッシュで懸命の追い上げを見せて好バトルを展開。

 また同時に追いすがる後方を振り切って、最終的に公式予選順位から4つポジションを上げる健闘の8位フィニッシュとなった。僅差の激しいチャンピオン争いのなかで、最終戦にタイトル獲得の望みをつなぐ貴重なポイントを獲得。ドライバーポイントは3点を獲得(計42点)し、ランキング9位に。チームポイントでは6点を獲得(計63点)し、ランキング6位となった。次戦ノーウエイトハンディとなる今季最終決戦は、11月28日(土)~29日(日)に富士スピードウェイで開催される。

2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)
2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)

■コメント
ヘイキ・コバライネン

「クルマの状況は土曜から比べて日曜はとても大きなステップアップとなった。今回2ndスティントを担当したけどピットワークの速さで順位が上がってチームはここでも良い仕事をしてくれた。フィニッシュ順位は良くはなかったけど、クルマはプッシュできて気持ち良く走れたし、バトルを楽しめた。結果はホンダ勢に差をつけられた感じはあるけど、チャンピオン争いには残れた。ホームコースである次の富士での最終戦で、最高の結果を残したいね。自分たちにその力はついてきたと思っているから楽しみにしていて欲しい」

中山雄一

「マシンのセットアップは前戦までの課題を改善できた内容のレースになりました。スタートを担当しましたが、スティント序盤はペースが上がらず苦しかったものの、15周を過ぎたころからは徐々に差を詰めることができました。後半のヘイキさんのペースはスープラのなかでは良いパフォーマンスがありましたので、あとほんの少しの調整をすることで、もっと良い戦いができると思いました」

「8位という結果は数ポイント差のチャンピオンシップのなかで次につながる大きな意味のあるポイント獲得でした。最終戦までタイトル争いができることになって良かったですし、得られたものが多かったので、次の富士がとても楽しみです。最終戦となる富士は、第5戦の再来となれるように優勝目指してタイトル獲得へ向けて頑張ります。引き続き応援をよろしくお願い申し上げます」

監督 脇阪寿一

「全体的にTGR勢にとって厳しいレースになり、我々のチームにとって順位こそ8位ですが、今後に向けて非常に価値のあるデータが取れ、我々の成長を感じることができたレースになりました。チームにとって戦略的にも幅が拡げられるポテンシャルが上がって、引き出しがまた増えた大きな収穫のある内容でした」

「また決勝レース中、ピットワークにしてもドライバーの走りにしても、様々な戦いの局面において、デュエルの相手を上回ることができた良い内容でした。戦う毎に強くなっていく新生サード。これで今季の最終決戦となる富士に対して自信を持って挑めます。引き続き熱いご声援のほどよろしくお願い申し上げます」

2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)
2020年スーパーGT第7戦もてぎ DENSO KOBELCO SARD GR Supra(ヘイキ・コバライネン/中山雄一)


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