11月8日、栃木県のツインリンクもてぎで開催されたスーパーGT第7戦もてぎ。GT300クラスでは表彰台の一角をかけ終盤激しい戦いが展開されたが、RUNUP RIVAUX GT-Rを駆る青木孝行/大滝拓也がチームに初の表彰台をもたらした。
TOMEI SPORTSとRUNUP SPORTSの体制によるスーパーGT参戦は、2010年からスタートした。2011年からキャラウェイ・コンペティションが製作したコルベットZ06-R GT3を、2013年からはニッサンGT-RニスモGT3を使用してきたが、RUNUPのオーナーである田中篤、そして白坂卓也や吉田広樹、柴田優作、青木孝行と速さあるドライバーを起用しながらも、なかなかポイントには届いていなかった。
そんなチームが、初めてドライバーポイントを獲得したのが2019年第8戦もてぎ。2019年からチームの地元の富士スピードウェイやツインリンクもてぎでは速さをみせてきたが、ついにそのスピードが結実することになった。
そして2020年、田中と青木、そして柴田が交代しながら参戦してきたが、第4戦もてぎでは初のポールポジションからトップを走りながらも、まさかのガス欠によりレースを失ってしまっていた。第6戦鈴鹿からは、自らアピールしドライブすることになった大滝がスポット参戦。大滝はいきなりスピードをみせた。
大滝のスピードは、第7戦もてぎでも際だった。予選Q2を担当すると5番手につけ、さらに決勝はスタートドライバーを務めると、序盤から3番手につけ、2番手を走るGAINER TANAX GT-Rの安田裕信を追った。
「前には安田選手が走っていましたが、トップしか見ないで走っていました。先頭を走っていたSUBARU BRZ R&D SPORTから離れないように意識していましたし、途中、GAINER TANAX GT-Rのペースが落ちたのが分かったので、プッシュしていきました。駆け引きなどはあまり考えていませんでしたね。逆に、トップだけを意識していたのが良かったのかもしれません」と大滝はレースを振り返った。
結果的に、大滝は16周目にGAINER TANAX GT-Rをかわし2番手に浮上。大役を果たして青木に繋いだ。
「優勝したかったですけどね。青木孝行選手が頑張ってくれたので、自分がうれしいというより、チームに“おめでとうございます”という気持ちです」と自身2戦目で表彰台を射止めた大滝は、3位という結果にも満足はせず、チームに結果を持ち帰れたことを喜んでいる様子だった。
■「今日は素直に喜びたいです」と青木
大滝からステアリングを受け継いだ青木は、SUBARU BRZ R&D SPORTとGAINER TANAX GT-Rのバトルの後に続くと、2台の接触の後、4番手に上がり埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田との差を詰めていった。
「セーフティカー明けは、前戦同様ピットをすでに終わらせていたマシンが前に出ていましたが、今回はピット作業も早く、争える順位で戻れました。実質8〜9番手くらいでしたが、抜いたりペナルティがあったりで順位を戻すことができました」というのは青木だ。
「最後は吉田選手とのバトルになりましたが、追いつけるかは分かりませんでした。でもあきらめないことが大事だと思いましたね。また、吉田選手ともギリギリのところで接触をしない、クリーンなレースを一緒にできたと思います」
「向こう(埼玉トヨペットGB GR Supra GT)の立場からすると悔しいと思いますが、たまには僕たちも良い思いをさせてくれよと(笑)。ひさびさにこういうレースができて、自信がついたところもありますし、今後も良いレースをしたいです。もちろんセーフティカーのタイミングがなければ……という点はありますが、レースの展開や内容としては面白いものになったので、今日は素直に喜びたいです」
そしてチームオーナーの田中は、初表彰台について「長かったですからね。嬉しいですよ。もちろん勝てるチャンスは前回のもてぎでもありましたけど」と喜びを語った。
「昨年もここでポイントを獲りましたし、2018年モデルになってからはもてぎは得意ですね。良かったです。青木選手はベテランらしい戦いをみせてくれましたし、大滝選手は速さはありますけど、まだ頑張っていかなければならない部分もあるので、ちゃんと勉強しなければね。F4でも勝ってるドライバーですが、今はまだ若さと勢いと情熱で走っているような感じですから」
次戦は田中がふたたびRUNUP RIVAUX GT-Rのコクピットに戻ることになる。「ウチはチャンピオンとか狙っているわけではないですからね。諸事情で僕が乗りますが、次の富士は遊びと、来季に向けたメカニックの練習です」と田中は言う。
大滝という新たな才能を示し、そしてついに表彰台という結果を残したRUNUP RIVAUX GT-R。田中は謙遜したが、最終戦の富士も得意コースであり、速さの面でタイトル争いをするチームにとっては“厄介”な存在になるかもしれない。
from スーパーGT:RUNUP GT-Rが嬉しいチーム初表彰台「長かったですからね。嬉しいです」
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