2020 SUPER GT 第6戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』(10/24~25)
鈴鹿サーキット(1周5.807km)
10月25日(日)、SUPER GT第6戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』の決勝が行われ、14番グリッドから威風凜然に勝利を目指していったDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、ウエイトハンディ(WH)の影響もあってペースが鈍る苦しい展開。
22周目にコースアウト車両があり、セーフティカー(SC)が導入される波乱があったが、的確な判断でピットクローズドになる前にピットに滑り込み、素早いピット作業もあって8位に浮上するジャンプアップを見せた。リスタート後から再び挽回を狙って攻めていったが、WHの影響か思うようにペースが維持できない苦しい展開に。健闘を見せるも最終的には11位でフィニッシュとなった。
ドライバーポイントは獲得ならず(計39点)、チームポイントでは3点を獲得(計57点)、いずれもランキング6位となった。ウエイトハンディが半減する次戦は、11月7日(土)~8日(日)にツインリンクもてぎにて第7戦として開催される。
■事前情報
前戦富士スピードウェイでは殊勲の逆転優勝を飾り、チームランキング4位に浮上したDENSO KOBELCO SARD GR Supra。タイトル争いへのサバイバル前哨戦となる第6戦の舞台は、今季第3戦が行われた鈴鹿サーキット。当チームパートナーでもあるFUJIMAKI GROUPが今回も大会ラウンドパートナーになり、大会名称は『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』。
前戦同様に観客を迎えての開催であるが、引き続き人数と観戦エリアや場内イベントが制限されている。10月24日(土)午前に公式練習、午後にノックアウト方式(Q1、Q2)の公式予選で、25日(日)決勝は13時スタートの300km(52周:約2時間)で争われる。
ドライバー交代を伴うピットストップは1回が義務付けで、今回のウエイトハンディは現獲得ポイントの倍となる78kgとなる。実際はリストリクターによる吸気制限が2段階引き下げられ、44kgのウエイトを搭載するが、このウエイトハンディによる鈴鹿でのタイムの落ち込みは約1.8〜1.9秒とかなり厳しい。
この季節に鈴鹿でのGTレースは、2005年鈴鹿が11月最終戦だった時以来となるが、今季第3戦のデータと解析結果をもとに戦う2回目の鈴鹿ラウンド。タイトルを争うランキングトップとは8ポイント差であり、ここで一気に逆転も可能。戦う毎に強さを発揮してきているDENSO KOBELCO SARD GR Supra。さらなる高みへと龍が登るが如く、前回の優勝した勢いを維持しつつ上り調子で戦いに臨みたいところ。脇阪寿一監督のもとチーム一丸となって勢い良く、威風凜然に勝利を目指していった。
■公式練習走行
23日(土)公式練習走行は9時20分から開始。爽やかな秋晴れとなり気温18度/路面温度24度の中、85分間の混走セッションが開始された。持ち込んだタイヤのうちソフト側のタイヤを装着して、まずはヘイキが8周にわたってタイヤのウォームアップの良さやグリップ感などを確認。クルマは全体的にバランスは良いが、ややアンダーとなってしまうコーナーがあるということ。続いてハード側タイヤの評価を6周確認した。
このアウティングで1分48秒298のタイムを刻んで8番手。もう少し周回を重ねれば、まだタイムアップする見込みであったが、次の評価プログラムに進むこととし、中山に交代してソフト側タイヤを6周、セット調整を挟みながらハード側タイヤのリピート評価を7周実施した。このセッションでのタイヤ評価は、ヘイキと中山の総合的なフィーリングの評価では、どちらかといえばハード側が良いフィーリングとのこと。
またクルマのバランスについてはアンダー傾向な箇所があるので、その部分を修正していくこととなった。この混走セッションではヘイキが2回目のアウティングとなる13周目でマークした1分48秒298の12番手となった。10分間のGT500単独セッションでは、アタックシミュレーションを中山がソフト側タイヤで実施。
なかなか温まらない状況を見込んで早めにコースイン。中山は、4周目にその時点で8番手となる1分46秒918の好タイムをマーク。公式練習走行ではトータル33周を走行して、最終的に順位は11番手となった。
■公式予選
Q1:思うようにクルマが走らず、Q1で中山が失意の14位に
24日(土)予定より6分遅れで14時39分に始まったQ1。開始時点で気温21度/路面温度30度と路面温度が上昇したドライコンディション。残り8分半ほどでコースインした中山は路気温の関係もありソフト側タイヤを装着。だが3周目に激しいコースオフ車両があり、赤旗中断。車両回収とコース整備が終わり、残り5分で14時58分から再開となった。
中断による仕切り直しで集中が途切れそうになる中で、落ち着いて再びタイヤに熱をしっかりと入れていき、6周目ラスト1周にアタックのターゲットとした中山は、セクター1で自己ベストを刻むも他車から遅れる出だし。セクター2こそ同等タイムで駆け抜けて巧さを見せた中山は長めのセクター3で若干遅れてしまう。
最終セクターでの限界まで攻め逆転を図ったが、スタビリティを失っていたリヤが突然ブレイクしてしまい、大きくタイムロス。ウエイトハンディとリストリクター2段階の影響からか、公式練習走行からセット変更を小規模ながら続けていくような仕上がりで、思うようにクルマがコンディションに合わせられず、Q1で中山が1分48秒324にとどまり、失意の14位となった。
■決勝
●ウォームアップ走行
25日(日)11時40分から開始されたスタート前20分間のウォームアップ走行は、朝方は冷え込んだものの日が照り路面温度も上がったドライコンディション。気温20度/路面温度31度。燃料を多く積んだ状態で、まず中山がクルマとアウトラップの確認のため1周走行。続いてスタート担当のヘイキが2周目から決勝ペースの確認を行った。ウォームアップ走行は、トータル10周を走行して、1分51秒273の13番手となった。
●決勝レース
第1スティント:レース巧者のヘイキがペースに苦しむも懸命のドライビング
25日(日)13時決勝スタート時点は気温20度/路面温度32度のコンディション。14番グリッドから威風凜然に勝利を目指していったヘイキが駆るDENSO KOBELCO SARD GR Supra。ソフト側タイヤの選択であったが、スタート直後からウォームアップに苦慮し、前とのギャップが広がってしまう。
その後、タイヤが温まり徐々にペースが上がり、うまくGT300車両をかわしながら、8周目に14号車をパスして14位に順位を戻すと、前とのギャップを削っていくレース巧者のヘイキが懸命のドライビングを見せる。だがWHの影響もあってペースが鈍る苦しい展開に。
18周を過ぎると他車がピットインを始め、ピット回りが慌ただしくなると22周目にGT300クラスのコースアウト車両があり、SCが導入される波乱が起こる。騒然となるなかで、脇阪寿一監督の的確な判断でSC導入でピットクローズドになる直前ギリギリにピットにヘイキを滑り込ませた。
第2スティント:SCを利して8位にジャンプアップもWHの影響で11位フィニッシュ
混乱のなかで、いつでもピット作業ができる態勢を整えており、絶妙なタイミングでSC導入を利して素早くピット作業を終えた結果、コースに復帰すると8位のポジションにジャンプアップしてみせた。ピットを終えていた車両に対して、SC導入により我々のピットイン中の彼らのラップが遅くなっていたのと、我々のピット作業の速さが勝った形で、さらにSC導入中でコース復帰後にアウトラップ周で抜かれることもない好都合の結果であった。
そして、26周を終えるとリスタートとなり、中山は順位を再び上げるべく挽回を狙って攻めていった。だがレース終盤にWHの影響からか思うようにペースが維持できない苦しい展開に。WHが軽い車両に抜かれる悔しい後半となってしまった。WHが重いなりに健闘を見せるも最終的には11位でフィニッシュとなった。
ドライバーポイントは獲得ならず(計39点)、チームポイントでは3点(計57点)をいずれもランキング6位となった。ランキングトップとの差は広がらずに済み、チャンピオンシップ争いの生き残りをかけて、ウエイトハンディが半減する次戦は、11月7日(土)~8日(日)にツインリンクもてぎにて第7戦として開催される。
■コメント
ヘイキ・コバライネン
「走り始めのコンディションでは、クルマのバランスは良くて仕上がりの良さを感じていたが、次第にクルマのバランスが崩れていったんだ。コンディション変化のせいか、WHのせいか、クルマやタイヤの問題か、一体何で改善できるのかシューティングできずに迷走してしまった感じだ。予選も決勝も本来のパフォーマンスを出せずに低迷してしまったけど悪いデータでも次に活かしたい。次の2回目となるもてぎはウェイトも半分になるし、どの様なパワーバランスとなるのかわからないけど自分たちが上位にいるためには、このインターバルでの準備が重要だと思っている。もてぎでは良い週末になることを楽しみにしているよ」
中山雄一
「ものすごくセッティングに悩み、たくさんのことを試して、限界まで攻めた週末でしたが、結果的にうまくいきませんでした。今回もピットタイミングとピット作業の速さで順位を上げられて、自分の走りもできる限りのことをしながら走って格闘し続けましたが悔しい結果でした。新しく分かったこともありましたし、今回得たことを残り2戦にぶつけて、力強いレースをします。まだポイントランキングは接戦ですからチャンピオンに向けて頑張っていきます。次戦もてぎで何が何でもタイトル争いに生き残れる結果を出したいと思いますので応援よろしくお願いいたします」
監督 脇阪寿一
「走り始めからの違和感。ドライバーも悩みエンジニアも悩み続けた週末。うまく解決できずにレースがスタートして、結果的にクルマに速さが足りずでした。思うように走らないクルマにヘイキと雄一は、レース中も悪戦苦闘でしたが、そのなかで懸命にリカバーしようとドライビングをアジャストしながら走行してくれました。ピット作業も素晴らしく14位から8位で戦列復帰と希望が出る展開に持ち込めました」
「苦しく厳しいなかにもレース後にチームでたくさん話し合い課題を見つけたレース。ほんの僅かな狂いが大きく結果に跳ね返ってくる厳しいレベルのスーパーGTで、今回は悔しいレース結果でしたが、必ず次につなげます。もてぎでも、引き続き熱いご声援のほどよろしくお願い申し上げます」
from TGR TEAM SARD 2020スーパーGT第6戦鈴鹿 レースレポート
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