2020年スーパーGT第6戦鈴鹿サーキットでのGT500クラス公式予選は、8号車ARTA NSX-GTの福住仁嶺が、第5戦に続く2戦連続のポールポジションを獲得。ARTAにとっても今季3度目の最前列確保となり、2番手には64号車Modulo NSX-GTとホンダ勢がフロントロウを独占する結果となった。
8月の第3戦に続き今季2度目の開催となった鈴鹿は、金曜搬入日の雨模様から一転。24日(土)朝から10月の秋晴れが広がる爽やかな気候となり、山側から吹く風は肌寒さを感じさせる、例年とは違うコンディションの週末となった。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響を乗り越え、第5戦富士に続いて鈴鹿のスタンドにも制限はありながらファンの姿が戻り、そのタイミングでトヨタ、ホンダ、そしてニッサンの各陣営ともシーズン2基目の新エンジンを投入。
この鈴鹿以降の残る2戦では、例年どおり成績によるハンデウエイトが『半減』『なし』と徐々に減らされていくため、ここまで思うような戦績が残せていないチームにとっては、周囲がフルウエイトを積むこのラウンドこそ、是が非でも獲っておきたい最後の1戦となる。
そんな条件で始まった土曜午前9時20分開始の公式練習では、第3戦に続き鈴鹿で輝きを放つダンロップタイヤ装着の64号車Modulo NSX-GTがトップタイム。以下トヨタ陣営唯一のヨコハマタイヤ勢となる19号車WedsSport ADVAN GR Supraに、ホンダからは8号車のARTA NSX-GTが入るトップ3となり、上位から20kg、14kg、32kgと、ウエイト軽量組が予選でも先手を獲れるかどうかが見どころに。
一方、公式練習で6番手につけた第3戦鈴鹿勝者である23号車MOTUL AUTECH GT-Rは、ウエイトハンデ50kgとしてそれ以上の領域で課される燃料リストリクターのランクダウン措置を受けない状況で臨めることもあり、予選でどれだけ好位置を掴めるかがシーズン2勝目への最初のハードルとなった。
■Q1 優勝候補のMOTUL AUTECH GT-Rがまさかのクラッシュ
今回も組み分け予選を採用したGT300クラスのQ1Aセッション開始時には、気温が20℃、路面温度は28℃、湿度52%のコンディション。同クラス赤旗中断の影響で14時39分に遅れてピットレーンオープンとなったGT500クラスQ1は、セッション1分ほど経過の時点で64号車Modulo大津弘樹を先頭に、NSX-GT勢から早々にコースへと入っていく。
すると各車アタックへ向かおうかという残り3分のところで、23号車MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生がダンロップコーナーでわずかにアウト側へマシンを落とし、速度を殺しきれぬままクラッシュする事態に。
グラベル上をバウンドしながらバリアに激突したGT-Rだが、松田は自力でマシンを降りて無事を確認。しかし赤旗の原因となったことで予選除外となるばかりか、明日の決勝に向け第3戦からすでに2基目を搭載するエンジンの交換が必要か否かでも、シリーズの行方に大きな影響を及ぼすアクシデントとなった。
その赤旗掲示とほぼ同時に、コントロールラインを通過していた100号車RAYBRIG NSX-GT山本尚貴が1分46秒005のターゲットタイムを記録したのみで、セッションは約10分後に残り5分で再開されると、100号車と37号車KeePer TOM’S GR Supraのニック・キャシディを除いて全車一斉にコースへとなだれ込む。
ワンチャンス勝負となったアタック合戦は、17号車KEIHIN NSX-GTの塚越広大が1分46秒529とアタックを見合わせた100号車の背後に留まると、続いてコントロールラインに戻ってきた8号車ARTA NSX-GT野尻智紀、64号車Modulo大津、そして38号車ZENT GR Supra石浦宏明が1分45秒台に突入し、次々トップタイム更新を果たしていく。
すると、さらに後方でアタックへと入っていた19号車WedsSport ADVAN宮田莉朋が1分45秒036を記録して、堂々の首位浮上に成功。
さらにチェッカー目前で最後のアタックへと入った12号車カルソニック IMPUL GT-Rは、午前占有走行のクラッシュから復活し4番手へ。続いて3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rも5番手に飛び込み、2台のGT-Rが23号車の雪辱を晴らすQ2進出を確定させる。
その余波で、ランキング上位勢のWAKO’S 4CR GR SupraやKEIHIN NSX-GTが惜しくもQ1突破を逃す結果となり、100号車が赤旗前のタイムでGT-R勢の背後6番手に。以下、38号車、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが続くトップ8となっている。
■Q2 ARTAが今季3度目のポールポジションを獲得
同じくGT300クラスのQ2を挟み15時31分から開始された10分間のQ2セッションは、コースオープンと同時に再び64号車Moduloが先頭でコース上へ。伊沢拓也にとっては第3戦以来、自身通算2度目、鈴鹿連続ポールポジションを賭けてのアタックへと向かう。
セッションが残り2分を切ったところで、ARTA福住仁嶺が1分46秒907を記録した100号車RAYBRIG牧野任祐をすぐさま上回り、唯一の45秒切りとなる1分44秒963を記録して首位に躍り出る。
そのタイミングでもじっくりとタイヤのウォームアップを進め、計測4周目の逆襲に掛けたModulo伊沢はセクター3まで全体ベストの快走を披露するが、最終セクターでわずかにタイムを失い、8号車には届かず2番手止まりに。
そして自身の持つ最多ポールポジション記録更新を狙った38号車ZENT GR Supraの立川祐路は、ラストアタックのシケインでわずかに姿勢を乱し、テールスライドでタイム更新ならず。
チェッカー後に3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-R平手晃平や、12号車カルソニック IMPUL GT-R平峰一貴を上回った、19号車WedsSport ADVAN国本雄資が3番手に飛び込み、フロントロウに並ぶ2台のNSX-GT、背後につける2台のGT-Rに挟まれ、GR Supraで孤軍奮闘を見せる結果となった。
明けた25日(日)午後13時からは、サーキットに戻ってきたファンの声援を前に、引き続き晴天予報のもと、2020年スーパーGT第6戦、52周、300kmの勝負が繰り広げられる。
from ARTA福住仁嶺が2戦連続ポール獲得。ホンダNSX勢がフロントロウに並ぶ【第6戦鈴鹿GT500予選】
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