2020年スーパーGT第6戦鈴鹿の決勝レースを終え、同じく鈴鹿サーキットで開催された第3戦以来、今シーズン2勝目を飾った23号車MOTUL AUTECH GT-Rの松田次生とロニー・クインタレッリが、予選でのクラッシュの状況から、ピットでの大逆転劇で優勝という喜びを語った。
ロニー・クインタレッリ/第1スティント担当
「まだ実感できていないよ。ちょっと優勝は奇跡すぎる。第3戦の優勝のときも嬉しかったけれど、そのときはなんとなくスタート前に『もしかしたら優勝できるかも』と思ったりしたけれど、今日は最後尾スタートだったからね。ただ、今シーズンはほぼ毎戦セーフティカーが導入されるから、レース前にチームと無線なども含めてすべて細かいことまで打ち合わせをした」
「でも、やっぱり後ろからのスタートだとレースは簡単ではないね。僕が少し追い上げをして、3周くらいクリアで走行できるタイミングがあった。そこで『ヨシッ!』と思ったね。その後、ちょうどピットインするタイミングくらいの130Rで急に無線が入ってきた。130Rあたりは無線が聞き取りづらい場所で『なにを言っているのかな?』と思って、シケインでもう一回僕の方から無線を入れたら、チームが『セーフティカーが出るかもしれないからピットに入れ!』ということ言っていた」
「それでギリギリのところでピットインをした。その後は、クルマから降りたら正直みんなすごい喜んでいて、『なんでそんな喜んでいるんだ?』ということを思ったね(笑)。もしかしたらギリギリのところで僕がピットに入れて、レースが台無しにならなかったことに対する喜びなのかなとも思ったけれど、その後にモニターを見たらトップになっていて『あれ、どういうこと!?』と。いや~凄かったね(笑)」
「セーフティカーが出るか出ないかというのは、僕がピットに入ったタイミングではまだチームもわからなかったので、ピットに入ったときには『まだセーフティカー出ないで』と祈っていて、僕がピットに入ったタイミングではまだセーフだった。その後に(松田)次生選手がピットから出ていったときには、ピット出口の信号が赤にならないように祈っていて、それも無事に通過したときは『やったー!』という感じだった」
「この鈴鹿に来る前にドライバーも含めて、チーム側も準備をしてきた。今回の鈴鹿は、ランキング上位のマシンがかなり重いハンディを課されるので、僕たちが優勝すれば一気に差を縮められるという気持ちで鈴鹿に入った。まさか狙い通りの展開と結果になってくれて、2ポイント差のランキング3位になることができた。もてぎからはウエイトハンデが軽くなって、実力で前にいかないといけないから簡単ではないけれど、まずはこの優勝のおかげで、チームのモチベーションが上がるし、良いクルマをもてぎと富士でも用意してくれる思うから、最後まで勝負をしたい」
「この鈴鹿で優勝することができて嬉しいけれど、火曜日辺りからは気持ちを切り替えて、もてぎに向けてしっかりと準備をしたいね。もてぎは比較的、毎年僕らが得意なサーキットだし、チャンピオンよりも、まずはもてぎでも優勝を獲りにいくという気持ちでしっかりと準備をしたい。もてぎでも沢山のファンが応援に来てくれると思うから、なるべく上位を目指して頑張っていくよ」
■予選でまさかのクラッシュに見舞われた松田「気持ちを走りに表すことができた」
松田次生/第2スティント担当
「昨日の予選ではクルマがすごく調子が良くて、久々に『これはいける!』という実感がありましたし、アタックラップのセクター1でも全体ベストが出せて、感触的にも『これは絶対いけるな』と思いました。そして、最近クルマがすごい乗れている感じがあったので、『もっといけるだろうな』という自信がありすぎてしまい、それでちょっと大きいクラッシュをしてしまいました」
「チームもQ2に進出できず、ロニー選手もアタックすることができなくなってしまい、申し訳ないという状況になってしまいました。マシンもまあまあ壊れていたのですが、チームは『ちゃんと直すから明日また頑張ろう』ということになりました。そんな状況のなかから、序盤はロニー選手が頑張って順位を上げてくれて、展開的にセーフティカーが入ったら、まさかトップになれるとは思いませんでした。ミラーを見たときに12号車と8号車がいたので、『とりあえず周回遅れにならなくて良かった』という風に最初は思いました」
「その後に無線で『トップだからね』と言われたときには『マジか』と思いましたね。ここで勝たないとチームに恩返しできないですし、本当にプレッシャーも凄かったです。しかも燃費も結構ギリギリだったので、セーフティカー中はなるべくセーブして走行するということもありました。なので、結構自分のなかで頭を使いながらでしたが、セーフティカー明けのスタートを決めればいけるという自信があったので、そこで最終的に平峰(一貴)選手と差を開いていくのですが、ちょうどGT300クラスが現れたりしました」
「一回目はセーフティカー開けで少し逃げにかかっていたところで、2台くらいS字で塞がれてしまって、一気に(平峰選手との)差が縮まってしまいました。『なんか今日は嫌な展開だな』ということも思ったりしたのですが、そこで焦ってしまうことは良くないと自分に言い聞かせて、最終的にはGT300クラスの処理をうまくこなしました。ただ、ピックアップが付いてしまったときに、平峰選手にかなり近寄られてしまったときもありましたね」
「自分でも、ドリフトなどでピックアップを取る方法を練習していたので、それをいろいろと実行したりしたので、ピックアップは良い感じで取れてくれました。ピックアップが取れたときに差をうまく広げられたので、それが相手の戦意喪失に繋がって、それをうまく維持できたかなと思っています」
「本当に今回の鈴鹿は重要だと思っていたので、昨日クラッシュしてしまったことは本当に申し訳ないと思っていましたが、絶対にこの鈴鹿を勝たなければいけない気持ちが強かったので、その気持ちを走りに表すことができて本当に良かったと思います」
「この鈴鹿がチャンピオンシップに残るため重要になるといことはわかってたので、悪くても表彰台に上がらないといけないという気持ちで挑んでいました。その気持ちが昨日の予選では強すぎてしまって、ああいうことになってしまいましたが、そういう意味では、ここで勝てたというのは、本当にチャンピオンシップ争いを戦う上で、残り2戦そんなに簡単ではないと思いますが、今年はGT-Rが良くないと言われているなかで、それを払拭したい気持ちも僕たちにはあります。それをこの2勝目ができたといのは大きいですし、自分たちもチームとドライバーが残り2戦、しっかり準備をしたいと思います」
「最多勝記録に関しては、22勝目を挙げられたというので、自分のなかでは20勝を超えるのは大変だなと思っていましたが、2018年に20勝になりました。今年は21勝目を挙げられたらいいかなと思っていましたが、22勝目を挙げられることができました。次に勝てばニッサンの“23”勝目になるので(笑)、そこを目指して頑張りたいと思います」
「前回の鈴鹿戦は無観客での開催でしたが、やはり今回のようにお客さんが入ると僕たちもモチベーションが上がりますし、今日もフィニッシュ後にいろいろなスタンドに手を降ったりしましたが、これがどんなスポーツでも大事なことだと思います。本当に今はコロナ禍でいろいろと大変な状況だと思うのですが、僕たちのレースを見て頂いて、勇気づけられるかはわからないですが、楽しんで頂けたら良いなと思っていますし、そのために良いレースができるように頑張ります」
from 最多勝記録更新の松田「絶対にこの鈴鹿を勝たなければいけない気持ちが強かった」【第6戦鈴鹿GT500優勝会見】
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