apr Race Report
2020 AUTOBACS SUPER GT ROUND 6
鈴鹿サーキット
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km
10月24日(予選)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:9500人
10月25日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:1万9000人
今季最上位の表彰台を目指して疾走するも、SCに希望を断たれ……
コロナ禍によって、大幅なスケジュール変更を強いられたスーパーGTは、今回も3週間のインターバルで鈴鹿サーキットに舞台を移し、第6戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT300km RACE』を開催した。FRに改められた、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)で、aprは引き続き2台体制で挑み、『#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT』をコンビ2年目となる、嵯峨宏紀選手と中山友貴選手に託す。タイヤは信頼高きブリヂストンを使用する。
ここまでの5戦の結果は、まさに右肩上がり。前回の富士では5位入賞を果たすまでとなった。予選ではすでにポールポジションも、まさにここ鈴鹿で獲得しており、その後ウエイトが積まれても3番手、2番手につけており、その速さが決勝に結びつくのは時間の問題ではないだろうか。そのウエイトだが、33kgとまだまだ狙える数値にある。今後のレースはハンデ半減、ノーハンデとなるだけに、ライバルが最も厳しい状態の中、一気にポイント荒稼ぎといきたいところだ。
公式練習 10月24日(土)9:20〜10:55
10月になって2回目のスーパーGTは、走行開始となる公式練習の気温は18度、路面温度24度と、前回よりも下がって季節の深まりも感じさせた。今回も#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTには中山選手のドライブから始まり、ルーティンである『計測開始と同時にコースインし、すぐピットに戻る』を行なってから、最初のセットアップが進められた。
周回を重ねて間もなく中山選手は2分を切り、2回目のピット後にはセッションベストとなる1分58秒454をマークする。そこから先は普段以上に、決勝での安定感を重視したセットアップが行われていく。ラスト10分間のGT300専有走行を間近に控えたタイミングで、ようやく嵯峨選手が乗り込み、2分1秒442をベストに、2分1秒台でコンスタントに走行し続けていた。
公式練習の順位は14番手だった。その後、初めてFCY(フルコースイエロー)訓練が実施され、引き続き嵯峨選手がドライブ。FCYは2回テストされ、その合間に嵯峨選手は2分0秒765を記していた。
公式予選Q1 10月24日(土)14:18〜14:34
2グループに分けられたQ1に、#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTはBグループでの走行となり、今回も中山選手の担当となった。気温は20度、路面温度は28度と、公式練習より若干上がっていたものの、もちろん想定の範囲であった。
開始早々、S字でスピンが、さらにヘアピン先では停止した車両があり、赤旗で計測が中断されたが、中山選手はアタック前だったこともあって、タイヤを傷めずに済んだのは何より。むしろ一皮剥けたことで早々にアタックすることができ、マークした1分57秒034はBグループのトップタイムを記録。速さを見せつける結果となった。
公式予選Q2 10月24日(土)15:13〜15:23
Q1で赤旗が相次いだことにより、Q2は当初の予定より20分遅れでのスタートとなった。しかし、その間も集中力を保ち続けていた嵯峨選手は、焦ることなくウォームアップに専念。計測3周目からのアタックでは1分56秒926と、中山選手を上回るタイムをマークする。続けてのラストアタックでこそタイムアップならなかったものの、渾身の走りができたことに嵯峨選手も満足そう。
ただ、全体のアップ率が戦ったこともあって、#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは8番手から決勝レースに臨むこととなったが、選んでいた決勝重視のハードタイヤからすれば納得のポジションでもある。もちろん、決勝での激しい追い上げが期待される。
嵯峨宏紀選手
「今までの反省を踏まえて、予選より決勝重視のタイヤを選んでいたので、結果8番手でしたが、アタック自体はあれ以上出ないかな、という感じでした。正直、タイヤは硬いのを選んでいるので、温まりきらないまま行かざるを得ないという状況でしたから。この位置にいるのが正解なのか、決勝を走ってみないと分かりませんし、僕らJAF-GT はストレートが厳しいので。でも、自分たちを信じて決勝に臨みたいと思います」
中山友貴選手
「公式練習を走ってみた段階では、路面もできていないということもあって、あまりフィーリングが良くなかったんで、そのあたりを踏まえて予選に向けてサスペンションセットも変更して臨みました。走る前の心境として、けっこうギリギリな感じで。何とかタイム出したいと思っていたので、結果的にQ1トップで終われたのは良かったです。Q2の結果を見ると、他社のタイヤを履くライバルは我々よりソフトタイヤだったようですが、僕らはしっかりハード目のタイヤを履いて予選でタイムも出たから、決勝はしっかり戦えるんじゃないかと思っています」
金曽裕人監督
「仕上がりは上々です。予選は思っていた以上に、まわりのパフォーマンスが高かったけれど、それはタイヤ選択の違いだと思うんです。我々は淡々とコンスタントラップで走れるような状況を、このレースウイークはずっと作っているので、狙いどおりの展開になっています。知らぬ間に後ろから追い上げてきて、前にいるというレースをしてみたい。ロングランに強いクルマに仕上げてきたつもりなので、その成果を今回見てみたいと思っています。表彰台を目指し、いいところをお見せします」
決勝レース(52周)10月25日(日)13:00〜
決勝を前にして行われた20分間のウォームアップには、今回もスタートを担当する中山選手からの走行に。タイヤにしっかり熱の入ったラスト2周は、2分0秒650を筆頭に、2分フラットを連発。残り5分で嵯峨選手に交代し、最終チェックを済ますこととなった。
スタート直前の気温は20度、路面温度は32度。上空には青空が広がって、何よりグランドスタントを含めた観客席にファンの姿があるのが、ドライバーのモチベーションを高めてくれた。
オープニングラップのうちに#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTはひとつ順位を上げ、さらに4周目には4番手を走行していた車両がストップしたこともあって、6番手に浮上。しばらく表彰台を争うバトルを中山選手は繰り広げていく。16 周目には早くもドライバー交代を行う車両も現れたが、#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT的には前後の車両より後にして、プレッシャーの減った状態でプッシュしたいところ。20 周目までは狙いどおりの展開だったのだが……。
その20周目にピットアウトした車両がS字でコースアウト。そのため、セーフティカー(SC)が3周にわたって導入されたのは、完全に予想外だった。解除直後の25周目に中山選手から嵯峨選手への交代が行われたが、SCラン前に交代を行った車両が上位につけ、表彰台圏内を争っていた車両は#6号車以外は、ことごとく大幅に順位を落とすこととなったからだ。
全車ドライバー交代を済ませた時の#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTのポジションは18番手。完全に勝負権を失ってしまったことで、嵯峨選手は無意味に周回を重ねるのではなく、コクピット内で調整できるスタビライザーなどを試しながら走行。結果として、そのままのポジション、18位でのフィニッシュとなったものの、また多くの収穫を得ることとなった。
今回は表彰台の可能性は十分あっただけに、SCによって運に見放されたのは残念だったが、明らかなマシンに進化を得られたのは、今後に向けての好材料。次回のレースは2週間後の11月7~8日に、ツインリンクもてぎで開催される。ラスト2戦の本領発揮が期待される。
嵯峨宏紀選手
「あのタイミングで、あの感じでSCが入るとは思わなかったけど、入ってしまったのはしょうがない……。だけど、あのタイミングで入っていない表彰台圏内の車両がみんな沈んでしまうとは……。戦略的にSC入るのを見越して早く入ったチームに対してはリスペクトしなければいけない部分ではありましたが、僕らはガソリンの搭載量や燃費の問題で、そういう作戦を採れませんでした。やるせない……。もはやポイントとか順位に関係ないところを走っていたので、いろんなところをいじったり、走りを試したりしながら、久々にノープレッシャーで走れたんですが、これで結果がついてくればなお良かったんですけどね」
中山友貴選手
「運が左右するレースになってしまいましたが、自分のスティントとしては、しっかり安定して走ることができました。ただ、速さ以外にクルマの方で少し改善したい点はいくつかあるので、そのあたりは今後に向けて修正したいと思っています。やっぱりレースに強いクルマにしたいので、タイヤのマッチング、車両のセットアップ、メカニカルグリップを向上させるという課題を、残り2戦でクリアしていかないと。予選の速さはありますけど、やっぱり決勝に強いクルマになってくれたら、もっとレースができると思うので、頑張ります」
金曽裕人監督
「SCで表彰台のシナリオがすべて台無しになってしまいました……。FCY規則が無いGTでは仕方がない。我々も早めに入れていたら、って話ですが、タンク容量と燃費の関係で20周より早く入れていたら、間違いなく最後にガス欠になっていたでしょう。運も引き寄せ、歯車をもっと噛み合うようにしないとダメですね。今までクルマに集中しすぎていたけど、レースに対する組み立て方にも集中です。残り2戦しかないが、このままじゃ終わりません。感動のフィナーレにご期待ください」
from #31 TOYOTA GR SPORTS PRIUS PHV apr GT 2020スーパーGT第6戦鈴鹿 レースレポート
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