9月12日(土)午後に行われたスーパーGT第4戦ツインリンクもてぎでのGT500クラス公式予選は、天候によるタイヤチョイスの混乱で好機を逸したかと思われていた、38号車ZENT GR Supraの立川祐路が、雨絡みの難コンディションで自身の最多ポールポジション獲得記録を更新する圧巻のアタックを披露した。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響により、大幅に圧縮された変則カレンダーを採用する2020年シーズンは、富士、鈴鹿、そしてもてぎのみでの限定開催に。そのうち最後の会場となる栃木県ツインリンクもてぎでのシーズン第4戦は、引き続き無観客ラウンドとなった。
週末の天気予報は高い確率で雨と出ていたが、午前10時開始の公式練習中盤には相変わらずの曇り空ながら路面がドライとなるほどに好転し、午後14時30分開始の予選までにどうコンディションが変化するか。各陣営が頭を悩ませる状況となる。
もしドライでの予選となった場合、9月のもてぎと残暑の高温を見込んだドライタイヤがどの程度、機能するかが勝負の分かれ目になると見られ、事前のGT500クラス専有走行シミュレーションでは、首位の19号車WedsSport ADVAN GR Supraを筆頭に、64号車Modulo NSX-GT、16号車Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTと、路面温度30℃台と事前想定より低いレンジでヨコハマ、ダンロップが勢いを見せるなど、波乱を予感させるシチュエーションとなった。
<Q1>
今回も組み分け予選を採用したGT300クラスのQ1 A組のセッション開始時には気温25℃、路面温度29℃、湿度は91%の曇天下で、ときおり霧雨が舞う程度のドライ路面だったものの、Q1 B組が始まると同時に雨粒は勢いを増し赤旗が出たことから、15時11分に遅れて幕を開けたGT500のQ1はWET宣言下でのスタートに。
そのGT300クラスからコース上の雨量を確認した各陣営は、ほとんどの車両がスリックタイヤをチョイスしてすぐさまコースへと入っていく。コンパウンドを発動させるべく入念にウォームアップを進めた各車だが、計測2周のところで24号車リアライズコーポレーション ADVAN GT-Rがピットへと飛び込み、降雨想定で装着していたレインからスリックへと履き替えてコース復帰するなど痛いロスを強いられる。
一方のコース上では残り3分半を切った計測3周目で、Modulo NSX-GTの大津弘樹がいきなり1分40秒116を記録し、じっくりと温まりを進めるライバルたちを突き放すタイムをマーク。すると続く4周目にはWedsSport ADVAN GR Supra宮田莉朋が唯一の1分37秒台突入の1分37秒499で首位に浮上し、2番手にRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが続くなど、ヨコハマタイヤがワン・ツーを占拠する。
そして各車とも本格アタックと臨んだ計測5周目には、KEIHIN NSX-GTのベルトラン・バゲットやModuloの大津らが自己ベストを更新し、熾烈な2番手争いを展開。しかし直後に90度コーナーでRed Bull MOTUL MUGENの笹原右京がコースオフし、グラベルにスタックして2本振動のイエローフラッグが掲出される。
しかし、このラップでニッサン陣営の23号車MOTUL AUTECH GT-Rや3号車CRAFTSPORTS MOTUL GT-Rなど複数の車両が自己ベストを更新したことでチェッカー後に審議となり、7番手に入っていた3号車がベストタイム抹消でカットラインの8番手圏外となる9番手へ。
代わって38号車ZENT GR Supraが8番手に入り、首位のWedsSport ADVAN GR Supra以下、Modulo NSX-GT、KEIHIN NSX-GT、RAYBRIG NSX-GT、Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GT、DENSO KOBELCO SARD GR Supra、ARTA NSX-GTの8台がQ2進出。ホンダ陣営は全5台をQ2に送り込む結果となった。
<Q2>
同じくGT300クラスのQ2を挟み15時49分から開始されたQ2セッション時には、上空の雨雲からさらなる霧雨が舞う展開に。そんな判断が難しいコンディションで、各車ともスリックタイヤでピットを離れるも、KEIHINの塚越広大らがコースオフするなどレインタイヤが必要な路面との判断から、ZENTの立川祐路を除いて全車がアウトインでピットへと戻ってくる。
これで路面状況が好転すれば勝機が生まれる計算だったZENT GR Supraだが、続く周回で38号車もピットロードヘ。ライバルに対し本格アタックの機会を1周奪われる結果となってしまう。
一方のライバルたちもピットロード渋滞で失った貴重な予選時間を取り戻そうと早めのペースで熱入れを進め、計測3周目でKEIHIN塚越、RAYBRIG牧野任祐がワン・ツー体制へ。さらに後方から続いたARTA福住仁嶺が1分45秒489で首位に立つ。
しかしここで一閃、いきなりトップタイムを叩き出したのは、実質計測1周目だった”GT最速男”こと立川祐路で、ほとんど満足なウォームアップもできないままに1分43秒878をマークし、自身の持つGT500最多ポールポジション獲得記録を24回に伸ばす劇的な結末に。
そのアタックラップでは同陣営のWedsSport ADVAN国本雄資とダウンヒルストレートエンドのブレーキングで軽いコンタクトを伴った末のタイムだったこともあり、最速男がシリーズ争いへの生き残りを賭けた執念の走りを披露した。
その背後、フロントロウ2番手にKEIHIN、3番手にARTAとNSX-GT勢が並び、4番手にはDENSO KOBELCO SARD中山雄一のセカンドロウ。Modulo、RAYBRIG、Red Bull MOTUL MUGENと続き、WedsSportはタイム更新ならずの8番手となっている。
from 立川祐路が最多記録を更新。ZENT GRスープラが難コンディションで圧巻のポールポジション獲得【スーパーGT第4戦もてぎGT500クラス予選】
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