TOYOTA GAZOO Racing 2020スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート

スーパーGT 2020年第4戦もてぎ FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE
立川/石浦組GRスープラが2位表彰台獲得

 スーパーGTの第4戦がツインリンクもてぎで行われ、立川祐路/石浦宏明組 ZENT GR Supra 38号車が2位表彰台を獲得。ランキング上位につける大嶋和也/坪井翔組 WAKO’S 4CR GR Supra 14号車が4位、平川亮/ニック・キャシディ組 KeePer TOM’S GR Supra 37号車が6位フィニッシュを果たしました。

 スーパーGT第4戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』が9月12日(土)、13日(日)の両日、栃木県のツインリンクもてぎで開催されました。3カ月遅れて開幕した2020年シーズンのスーパーGTも、全8戦の前半戦最後となる第4戦を迎え、舞台はツインリンクもてぎへと移りました。今大会も前戦同様無観客で、スタッフの感染防止対策を充分に実施した上での開催となります。

 今季より新型車両としてスーパーGTに参戦しているGRスープラは、開幕戦で圧倒的な速さを見せデビュー戦を上位独占で制しました。第2戦、第3戦では勝利こそ逃したものの、上位争いを繰り広げ、ランキングではトップ2を占める活躍を続けています。タイトなスケジュールでの激戦が続く今季のスーパーGTで、GRスープラはデビューイヤーでのチャンピオン獲得を目指します。観客を入れての開催が予定されている次戦からのシーズン後半戦へ向け勢いをつけるべく、GRスープラにとって初となるもてぎラウンドに臨みました。

予選

 予選が行われる12日(土)は朝から弱い雨が降ったりやんだりの不安定な天候。午後2時半の時点で気温は25度、路面温度29度。路面はやや乾いてきている、悩ましいコンディションでノックアウト方式の予選が開始されました。

 先にQ1を行ったGT300クラスの走行時には若干雨が強まり、レインタイヤで走行した車両もありましたが、続いて行われたGT500クラスのQ1は、全車スリックタイヤでコースイン。この難しいコンディションのQ1セッションで、WedsSport ADVAN GR Supra 19号車を駆る宮田莉朋が素晴らしいアタックを見せてトップタイムをマーク。この日30歳の誕生日を迎えた国本雄資にQ2へのバトンを渡してみせました。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ WedsSport ADVAN GR Supra(国本雄資/宮田莉朋)

 ヘイキ・コバライネンがアタックしたDENSO KOBELCO SARD GR Supra 39号車が6番手、石浦の38号車が8番手に入りQ2進出。一方でランキング4位、48kgのウエイトハンデを課された14号車は坪井が健闘するも及ばず9番手。ランキング1-2につけるau TOM’S GR Supra 36号車と37号車も重いハンデに苦しみ14番手、13番手に終わりました。

 Q2では、各車スリックタイヤを装着してコースインしたものの、やや強さを増した雨により想像以上に路面は濡れており、38号車を除く全車が1周で再ピットインしレインタイヤへと交換。翌周、38号車もピットへ向かい、タイヤをレインへと交換、全車がレインタイヤでのアタックとなりました。

 38号車を駆る立川は、ライバルよりもタイヤを暖める距離が1周少ないにもかかわらず、計測1周目で1分43秒台に入れトップに浮上。その後このタイムを上回るライバルは出ず、38号車がポールポジションを獲得。立川は自身の持つGTでの最多ポール記録を24へと更新しました。中山雄一がアタックした39号車は4番手、国本の19号車は8番手から決勝に臨むこととなりました。

 GT300クラスは、Q1を2グループに分けて実施。15台のうち8台がQ2へと進むA組では、嵯峨宏紀がアタックを担当したTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 31号車が3番手でQ2進出。吉本大樹がアタックしたSYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車は、Q2進出ラインの8番手に僅か0.015秒及ばず9番手。75kgものウエイトハンデを負う埼玉トヨペットGB GR Supra GT 52号車が12番手、TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 30号車は13番手でQ1敗退となりました。

 Q1のB組は、セッション開始直後に強まった雨に足を取られた車両がコースオフ。赤旗中断となり、残り8分で再開されると、ここでレインタイヤとスリックタイヤの選択が分かれました。ここではスリックタイヤでのアタックを選択したLEXUS RC F GT3勢が速さを見せ、阪口晴南のK-tunes RC F GT3 96号車がトップタイムをマーク。久保凜太郎のたかのこの湯 RC F GT3 244号車が2番手、今大会も助っ人日本人ドライバーがドライブ、堤優威がQ1を担当したarto RC F GT3 35号車も4番手につけ、LEXUS RC F GT3は3台がトップ4入りでQ2進出を果たしました。

 Q2は、セッション終盤に目まぐるしくタイムが更新される展開となりましたが、中山裕貴の31号車が2列目3番手を獲得。新田守男の96号車が6番手、三宅淳詞の244号車が8番手、佐々木雅弘の35号車は11番手グリッドを獲得しました。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

決勝

 13日(日)、午前中は青空も見えたもてぎでしたが、昼過ぎには曇り空となり、気温27度、路面温度34度という暑さの和らいだコンディションで午後1時に300kmで争われる決勝レース(63周)のスタートが切られました。ポールポジションの38号車立川は絶妙なドライビングで序盤首位を守りましたが、8周目、GT300クラスの周回遅れ車両が多く出てコース上が混雑するなかで行き場を失い、ライバルの先行を許して2位へと後退。

 一方、8番手からスタートした国本の19号車は好走を見せ5位まで順位を上げていましたが、10周目、前方で接触からコースオフした車両がコースに戻ってきたところを避けられずクラッシュ。車両前部を激しく破損し、不運なリタイアとなってしまいました。このアクシデントによりセーフティカーが導入され、15周目に再スタート。38号車は2位で首位の車両を追う形となりました。

 レース中盤、各車がピットへ向かいドライバー交代、タイヤ交換と給油を終えると、9番手スタートの大嶋から坪井へとステアリングを受けとった14号車が6位へとポジションアップ。坪井はなおもライバルとの激しいバトルを繰り広げ、38周目には4位へと浮上しました。

 重いウエイトハンデに苦しみ後方グリッドからスタートした36号車と37号車もこの混戦のなかで徐々に順位を上げ、トップ10圏内へ浮上する健闘を見せました。しかし、バトルでヒートアップした36号車と37号車は、44周目にコーナー進入で接触。これによりコース上にパーツが脱落し、この日2度目のセーフティカーが導入されることとなりました。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ au TOM’S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)、KeePer TOM’S GR Supra(平川亮/ニック・キャシディ)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ au TOM’S GR Supra(関口雄飛/サッシャ・フェネストラズ)、KeePer TOM’S GR Supra(平川亮/ニック・キャシディ)

 51周目、残り13周でレースが再開。それまでに開いていたマージンが無くなっての終盤のスプリント勝負となる中、2位の38号車石浦はポジションをキープ。4位の14号車坪井は、後続から激しい追撃を受ける展開となりました。後方では関口の36号車、キャシディの37号車、中山雄一の39号車らを含むグループでの激しいポジション争いとなりましたが、10位でセーフティカーランからの再スタートを切ったキャシディの37号車が見事なパッシングを見せてポジションアップ。

 石浦の38号車は2位を守ってフィニッシュ。14号車坪井も後方からの猛追を凌ぎきって4位。キャシディの37号車が6位、中山雄一の39号車が9位、関口の36号車は11位でチェッカー受けました。

 GT300クラスでは、3番手スタートの31号車は嵯峨が上位争いを展開。タイヤ無交換作戦で中山友貴へとバトンを渡しましたが、後半ペースが落ちポジションダウン。6番手からスタートし、ベテラン新田から阪口晴南へとドライバーチェンジした96号車は、阪口が粘り強く上位での走行を続け、表彰台まであと一歩の4位でフィニッシュ。60号車が12位、31号車はタイヤ交換のために2度目のピットを強いられながらも追い上げ15位。35号車は19位。30号車が24位、52号車が25位、前半トップ10圏内を争った244号車は26位に終わりました。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ K-tunes RC F GT3(新田守男/阪口晴南)

ドライバーコメント
ZENT GR Supra 38号車 立川祐路

「スタートから17号車(KEIHIN NSX-GT)との争いになりましたが、ちょっと今日はペースで敵いませんでした。予選では一発前に行くことができましたが、レースでは正直ちょっと負けた感じです。ただGRスープラのフィーリング等は良かったので、なんとか食らいつこうと頑張ったんですが。そういう意味ではやりきった感はありますが、残念な気持ちも当然あります。今日は2位で終わりましたが、次の富士ではリベンジしたいです」

ZENT GR Supra 38号車 石浦宏明

「立川さんが走ってる前半スティントを見ていて、正直優勝を狙うには、ちょっと自分たちのペースが足りないなというのは分かっていたので、そのなかでどういうレースを組み立てるかというのを考えていました。ピットイン後、相手が選んだタイヤが変わったりして状況が急に逆転することもあり得るので、自分のできるペースで必死に食らいついて行きました」

「前に見えている17号車とは、しばらくおなじ距離でずっとレースができていたので、これは終盤に向かってワンチャンスあるかもと思い、セーフティカー明けで一発狙いたかったんですが、逆にこっちがリスタート後、タイヤの内圧が下がった状態のバランスがあまり良くなくて、後続から迫られる展開になってしまいました」

「ただ、内圧がしっかり上がってからはまた引き離すことができ、しっかり2位を守ることができました。本当は勝ちたかったですが、苦しいシーズンになっていた中で、大事な2位ですし、この結果を無駄にしないように、しっかり最終戦まで毎戦良いレースを続けて行きたいと思います」

2020年スーパーGT第4戦もてぎ 2位表彰台を獲得した石浦宏明と立川祐路(ZENT GR Supra)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ 2位表彰台を獲得した石浦宏明と立川祐路(ZENT GR Supra)


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