2020 SUPER GT 第4戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』(9/12~13)
ツインリンクもてぎ(1周4.801km)
9月13日(日)、スーパーGT第4戦『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』の決勝が行われ、4番グリッドから進取果敢に勝利を狙っていったDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、決勝直前に曇りとなり路面温度が下がり、選択した硬めのドライタイヤの温度レンジがマッチせず、オープニングから遅れをとる厳しい展開。
軽い接触でエアロパーツにダメージを負い、さらにタイヤのピックアップ(タイヤカス付着)も発生してしまい、思い通りに走らないクルマで13位まで転落する苦しいレースとなるも挽回して9位でフィニッシュ。開幕4戦連続で貴重なポイントを獲得した。
ドライバーポイントでは2点(計19点)を獲得、チームポイントでは5点(計31点)を獲得して何れもランキング8位に。次戦は、10月3日(土)・4日(日)に富士スピードウェイにて第5戦として開催される。
■事前情報
前戦では表彰台を争うも悔しい5位に甘んじたDENSO KOBELCO SARD GR Supra。第4戦の舞台となるのは、ツインリンクもてぎ。当チームパートナーでもあるFUJIMAKI GROUPが鈴鹿続いて大会ラウンドパートナーになり、大会名称は『FUJIMAKI GROUP MOTEGI GT 300km RACE』。9月12日(土)午前に公式練習、午後にノックアウト方式(Q1、Q2)の公式予選で、13日(日)決勝は13時スタートの300km(63周:約2時間)で争われる。
ドライバー交代を伴うピットストップは1回が義務付けで、今回のウエイトハンディは現獲得ポイントの倍となる34kgを搭載する。ウエイトハンディの重量増によるもてぎでのタイムの落ち込みは、34kgだと約0.6~0.7秒となる。
この第4戦も引き続き様々な感染対策を講じて無観客での開催。ウエイトハンディが課せられた状態でのもてぎ戦は、2008年9月開催以来で暑い中での開催も久しぶり。また距離も300kmと例年より50km長くなる。コースは、ストップ&ゴーとテクニカルな区間が組み合わされ、ブレーキにもタイヤにも厳しく、抜き所も少ない難コース。
前回の鈴鹿戦では9番グリッドから一時3位を走る快走を見せ、シリーズ中盤に入りポテンシャルを上げてきているDENSO KOBELCO SARD GR Supra。今季はエンジニアリング面で大きく体制を変更。まだまだトライ&エラーは続くが、論理的帰結を数多くのデータから精度を高め、レース結果につながるように思考過程を見直しながら複雑に絡み合うすべての要素を、同一方向へのベクトルに一致させるという根気がいる繊細な作業を新たなスクラムを組んで臨んでいる。
シリーズ前半戦をよい形で折り返すためにも、もてぎでポディウムフィニッシュは必須。今回も脇阪寿一監督のもとチーム一丸となって、積極的に事を成し、強い決断力で大胆に突き進み、進取果敢に勝利を狙っていった。
■公式練習走行
12日(土)公式練習走行は10時から開始。雨が降ったり止んだりの不安定な天候のなか、気温27度/路面温度30度のコンディションで90分間の混走セッションが開始された。開始時点ではコースの所々ウエットパッチが残るドライコンディション。まずはこの先はウエットの展開を見据えて3セットのドライタイヤをベディング。
雨が強く降り出し完全ウエットとなった状況の4周目からハード系ウエットタイヤを装着して全体的な感触を6周チェック。続いてミディアム系ウエットタイヤを装着してコースインするも赤旗中断。ヘイキのコメントからこの先のタイヤ評価手順について判断した後に12周目から中山が再びハード系ウエットタイヤを装着して、3番手タイムを刻む。
続いて路面がドライになった15周目からはミディアム系ドライタイヤでヘイキがドライブ。18周目に1分39秒467の5番手タイムと、クルマの持ち込みセットの良さを感じるセッション出だしとなった。20周目からはヘイキがハード系ドライタイヤ評価を6周にわたってチェック。目まぐるしく変わるコンディションのなかで先を読んだタイヤプログラムを臨機応変に組みながら評価を行った。
26周目からそのままのタイヤで中山が確認。混走セッションはヘイキがマークした1分39秒485の9番手となった。10分間のGT500単独セッションでは、アタックシミュレーションは実施せず、そのまま中山がタイヤのロングラン評価を継続。明日の決勝を見据えたプログラムに終始専念した。公式練習走行ではトータル38周を走行して15番手となった。
■公式予選
・Q1:ヘイキが難しいコンディションをドライタイヤで6位Q1突破
12日(土)15時11分と8分遅れで始まったQ1開始時点で気温25度/路面温度29度。予選前に雨が振り微妙に濡れた難しいコンディション。まだドライでいけると判断したヘイキは開始直後にコースイン。公式練習走行でしっかり感のあったハード系タイヤを装着して緊張のQ1が始まった。
素早くタイヤを温め、その温まり状況から4周目にアタックに入ったヘイキ。微妙な路面コンディションはヘイキの得意とするところ。セクター1でトップと同等のタイムを刻み駆け抜けると、セクター2も好タイム。セクター3も上位区間タイムを刻み、セクター4も好タイムでまずは1分38秒682の6番手に。
続く6周目セクター1でコンマ2秒削り、さらにタイム更新が期待されたが、再び降り出した雨のためか、セクター4でコースアウト車両が出てイエローとなったためアタックを取り止めた。まだタイムは上げられる見込みであったが、6位でQ1突破となった。
■Q2:中山が見事に2列目4番グリッドを獲得
Q2開始時点では気温26度/路面温度29度であったが霧雨が路面をウエットに変わっていった。最初はドライタイヤを装着してコースインしたがすぐにピットに戻り、ハード系ウエットタイヤを装着して真っ先に再コースインしていった中山。
さらに滑りやすく難しい路面状況であったが落ち着いていけば上位は狙えると脇阪監督に檄を飛ばされてアタックに入った中山は4周目セクター1、セクター2と上位タイムを刻む。セクター3からタイヤがヒートし始め若干遅れたが、セクター4でトップ同等の区間タイム更新で、まずは1分45秒692の4番手タイム。
5周目もアタックを続け中山はさらにセクター1でコンマ1秒削ってくる。だがセクター2ではラインが乾いた路面状況に変わってタイヤのヒートアップが進みセクタータイムの更新ならず。難しい路面コンディションのQ2となったが、4周目に叩き出したタイムの1分45秒692で見事に2列目4番グリッドを獲得した。
■決勝
・ウォームアップ走行
13日(日)11時40分から開始されたスタート前20分間のウォームアップ走行は、朝から雲なく晴れ渡った青い空から一転して雲が広がり曇天に。気温26度/路面温度33度と涼しいコンディションとなった。
スタート担当のヘイキが決勝スタートタイヤと同じ種類のハード系ユーズドタイヤを装着して決勝セットを確認。ピットワーク作業の練習を行った後に中山が4周走行してミディアム系ユーズドタイヤの確認。ウォームアップ走行はコンディション変化により昨日から変わったクルマのフィーリングの調整に費やし、トータル12周を走行して、1分42秒052の9番手となった。
■決勝レース
第1スティント:低い路面温度にヘイキが苦戦
13日(日)13時決勝スタート時点は気温27度/路面温度34度と予報よりも3度も低くなった。4番グリッドから進取果敢に勝利を目指していったヘイキが駆るDENSO KOBELCO SARD GR Supra。あえて選んだ硬めのドライタイヤ。
日が照って路気温が高ければ非常に良いパフォーマンスを発揮するレンジだったが、決勝直前に曇天となってしまい、日が照らずに低くなった路面温度。ライバル勢とは違うハード系ドライタイヤの温度レンジがマッチしなくなってしまい、タイヤの温まりが遅く走り始めに遅れをとる展開に。
オープニングラップ3台にかわされ、軽い接触もあってエアロパーツにダメージも負ったせいかペースも上がらず。ようやくタイヤが温まった頃にアクシデントで最初のセーフティカー(SC)が導入される不運で再びタイヤが冷えてしまう悪循環となった。
だがSC解除後にペースを取り戻したヘイキは、ペースの遅い前の車両をようやくかわして7位まで落ちた順位を5位まで挽回してペースアップ。23周目あたりから他車もピットインを始めたため、アンダーカットの戦略でヘイキをピットに呼び戻した。
第2スティント:中山が13位から9位に挽回、連続ポイント獲得を堅守
クルマが連なった第1スティント戦況のなかでのピットインで、数秒のピット作業ロスがあり順位を10位にまで大きく落とすなど、ほんの僅かな狂いが順位を大きく変動させる僅差のレベルでの戦いとなっているこのスーパーGTを改めて思い知らされる戦況。
さらに後半に急激に路気温が下がってタイヤのピックアップ(タイヤカス付着)も発生してしまい振動やグリップダウンを招き、思いどおりに走らないクルマで13位まで転落する苦しいレースとなってしまった。2回目のSC導入もあって4位から連なる大集団の中、最後尾につける中山は最後まで諦めずに力を振り絞って意地で挽回を見せて9位でフィニッシュ。開幕4戦連続となる貴重なポイントを獲得した。
ドライバーポイントでは2点(計19点)を獲得、チームポイントでは5点(計31点)を獲得して何れもランキング8位に。次戦は、10月3日(土)・4日(日)に富士スピードウェイにて第5戦として開催される。
■コメント
ヘイキ・コバライネン
「スティント序盤はまったくタイヤの性能を発揮できず温まらなくてグリップしなかった。SCでタイヤがまた冷えてしまうなど不運もあったけど、周回を重ね遅いクルマをパスして前が開けたスティント後半は割りと良いペースで走れたので、もう少し路気温が高ければ良いパフォーマンスを見せられたと思うと残念でならない」
「チームとしては毎戦強くなってきていることを感じているし、爆発的に強さを見せられるときがくると信じている。観客がいるスタンドとなる次の富士こそ表彰台に上がってみんなを沸かせたいね」
中山雄一
「決勝はコンディションのせいか予選日の良かったフィーリングから一変してしまい、自分のスティントはなかなかタイヤが温まらず、その後もペースを上げることはできませんでした」
「為す術なく、ほぼ最後尾となる13位まで落ちてしまいましたが、残り周回はまだあったので最後まで諦めずに走りきって、ポイントを獲得圏内まで挽回してフィニッシュできたことは幸いでした。データも十分にあり、ようやく観客の皆様の前で戦うことのできる次戦の富士こそ、鬱憤を晴らす気持ち良いレースにします!!」
監督 脇阪寿一
「ヘイキと雄一には苦しいレースをさせてしまいました。条件が整えば優勝できると思っていましたが、そんなに甘くは無かったです。課題は山積みですが、データをまとめ、富士までに徹底的に検証・分析し、より速いクルマに仕上げます」
「後半戦をどんな状況でも力強く戦えるように頑張ります。久しぶりにファンの皆様を観客としてサーキットにお迎えする第5戦富士で良いレースをお見せしたいと思いますので引き続き応援のほどよろしくお願い申し上げます」
from TGR TEAM SARD 2020スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート
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