Max Racing
レース結果報告書
2020 SUPER GT Rd.4 ツインリンクもてぎ
日時 2020年9月12-13日
■車両名 たかのこの湯 RC-F GT3
■場所 ツインリンクもてぎ
■ゼッケン 244
■監督 田中哲也
■ドライバー 久保凜太郎/三宅淳詞
■チーム MaxRacing
■リザルト 予選8位/決勝26位
プレッシャーに打ち勝ってこそプロ
今シーズンからSUPER GT GT300クラスに参戦する新チームMax Racingのレースレポートを熱血田中哲也監督の目線でお届けします。メンテナンスはつちやエンジニアリングとRS中春がジョイントして担当。監督を含めて経験豊富な体制ですが、ドライバーはSUPER GTへ1シーズンぶり復帰の27歳久保凜太郎と、FIA-F4で19年ランキング2位となった21歳三宅淳詞がコンビを組みます。若いふたりをどれだけ成長させられるかが、今シーズン、チームの大きなテーマでもあります。上位にはGT500経験を持つドライバーが名を連ね、超ハイレベルとなっているGT300だけに、挑戦しがいのあるフィールドだと言えるでしょう。
GT500参戦経験を持ち、GT300ではチャンピオン経験もある哲也監督がどのようにふたりを導くのか、第4戦もてぎの最重要ミッションはポイント獲得でした。前戦第3戦鈴鹿では予選4位を獲得。新チームとして速さを充分アピールしたものの、後半スティントを担当した凜太郎に不運なアクシデントもありポイント獲得はなりませんでした。それだけにプロセスはどうであれポイントを持って帰りたいと哲也監督は言います。ポイントランキングは来季に向けてシード権を獲得できるかどうかにもかかってきます。SUGO戦ではピット数の関係でシード権がない場合には予選落ちの心配もあるのです。
9月12日土曜日、朝からツインリンクもてぎは不安定な天候に見舞われていました。公式練習では小雨が路面を濡らす場面もありましたが、フルウェットという状況はなく、路面コンディションも不安ななか、1時間45分間の走行を終えました。たかのこの湯 RC F GT3は1分49秒550のタイムで15番手。今回も予選ではGT300はグループ分が実施されるためにQ1において15台中8位以上でなければQ2には進出ができません。Q1突破ぎりぎりのラインと哲也監督はみていました。「練習走行ではもう少しウェットになるかと思っていたのですが、ドライの確認はできたもののウェットの確認はあまりできず予選に対しては不安が残りました。タイムを出しているタイミングも各チームそれぞれなので順位では判断できなかった」(哲也監督)。
その不安をQ1で凜太郎が払拭してくれました。午後も天候、路面とも不安定な状況が続きウェットタイヤで走り出すチームもあるなか、スリックタイヤで走り続け、最終ラップ1分51秒486のベストタイムをマークしてBグループの2番手でQ2進出を決めたのです。
前回、三宅に経験を積ませるためと彼が鈴鹿を得意としていることも考慮して、三宅主導でセットアップを進めて予選Q1も担当。今回は、もてぎへの適性も考慮して凜太郎主導でセットアップも進めてQ1も担当しました。Q2を担当した三宅はコンディション改善もあり1分51秒020までタイムを詰めたものの、ライバルのタイムアップ幅は大きく8位で予選を終えました。「この予選順位は上出来だと思います。もう少し苦戦することを予想していました。スポーツは何でもそうですけど、失敗したあとは、怖いものです。活躍することで挽回したい気持ちがある反面、また失敗したらどうしようと不安な気持ちにもなる。そんなプレッシャーを凜太郎は予選で跳ね返してくれました。プレッシャーは大きいチームになればなるほど大きいものですし、その大きいプレッシャーを跳ね除けて走ってくれるドライバーが、お金がしっかりもらえるプロになる。プレッシャーがないなかで思い切り走れるドライバーはたくさんいるはずです。
決勝に関しては、もてぎでのしかも暑い時期の300kmは誰にも経験がなく、ここまでの300kmとは違う展開になるはず。タイヤだけでなくブレーキの苦しさも出てくるでしょう。今回はスタートを凜太郎にして、経験を活かしてブレーキやタイヤを温存しながらポジションをキープしてもらいたい。三宅には三宅で、後半苦しいところを経験させたい。クルマがいい状態ばかりで乗ってもドライビングの幅が広がらないので。
ボクが長谷見(昌弘)さんに言われたのは、予選はクルマ、決勝はドライバー。決勝ではクルマの調子がよかろうが、悪かろうが、走り出したらドライバーがなんとかするしかない。例えばメカニックやボクらのミスがあったとしてもドライバーがカバーしてくれて『ありがとう、助かった』言えるのが素晴らしいドライバー。みんな速さはそこそこある。そこからどうドライバーとして成長していくのかみていくのがボクの今シーズンの楽しみです。自分が若い頃にできておらず、長谷見さんに気づかせてもらって、後につながったからこそ、彼らにも伝えていきたいと思います」(哲也監督)
9月13日日曜日、心配された雨は降らずドライコンディションでの決勝となりました。8番手からスタートした凜太郎は、ポジションを守ることよりも、タイヤとブレーキをしっかり温存して、後半スティントにつなげることを優先した結果、18周目には13番手まで後退。25周目にピットイン。給油とともに4輪タイヤ交換、三宅に交代します。
後半スティントの三宅も、前車を追うものの抜くチャンスをつくることはできず12番手を走行していましたが、59周目に原因不明のメカニカルトラブルが発生、マシンをストップしました。第3戦鈴鹿に続き予選で速さをみなせながら、決勝リザルトにそれを結びつけることができない展開となったのです。「いつも言っていることですが、まずは同じクルマよりも速く走るのが目標。鈴鹿でも富士でもそれはできていましたが、今回は同じRC Fの96号車にすべてのセッションで負けたのが悔しいですね。毎回SUPER GTはドライバーの戦い、クルマの戦い、タイヤの戦い、いろんな要素があって、このもてぎに対してはライバルタイヤメーカーが元々得意だったかもしれません。
ドライバーもチームもやれる範囲のことはやったと思うし、単純にパッケージとして速さが足らなかった。止まってしまった原因探求するとともに、今回のレース内容を見直して次につなげたいです」(哲也監督)
使っている道具のコースに対する有利不利や性能調整の状況、さらにはウェイトハンディの状況なども絡み、チャンスが巡ってくるのがSUPER GT。訪れたチャンスをいかにものにできるか、Max Racingの挑戦は続きます。
【久保凜太郎のコメント】
(予選について)練習走行でのタイムをみるとボクらが走ったBグループに速いクルマが多かったので、思い切りいってもギリギリだろうと感じていたのですが、スリックで粘ったことでタイムが出ました。96号車にはかないませんでしたが、ちょっと濡れている路面では近いところまでいけると確認できました。決勝に向けては、ウォームアップでのタイムをみると、いいペースを持っているわけではなかったので、ボクのスティントのトータルタイムを落とさないことを心がけ、バトルを避けて自分のペースを守りました。前回の鈴鹿ではボクがタイヤをけっこういじめてしまった反省もありタイヤを温存したのですが、セーフティカー開けに残り周回数を聞いてからプッシュしたら意外とタイムが出てので、抑え過ぎてしまったかもしれません。今回の決勝データは、次の富士や鈴鹿に活きてくると思いますし、自分自身、見直すべきところは見直して臨みたいと思います。
【三宅淳詞のコメント】
公式練習のタイムをみても、鈴鹿の状況と違って甘くないなというのが第一印象でした。運よく雨が絡んで、全体的にRCF勢が前にいったので、雨が降ったことでボクらのクルマが助けられた面はあると思います。今回も鈴鹿に続いてシングルポジションからスタートできたので、今回こそポイントを獲りたかったのですが、ウォームアップでのタイムをみても20番手より下で、ちょっとドライは厳しい状況でした。決勝は中段での争いができて、そのなかで感じたのは1周回ってタイムは同じでも、クルマによって速い場所が違うということです。それで勝負が仕掛けられませんでした。大事なところでいけなくて抜けない。しかしタイヤの残し方とか勝負の仕方はあると思うので、次の富士では勝負が仕掛けられるような組み立てをしていきたいと思います。
from Max Racing 2020スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート
コメント
コメントを投稿