スーパーGTシリーズのプロモーターであるGTアソシエイションは、レース開催期間中のサーキットで定例の記者会見を開き、坂東正明代表が記者の質問に答える。
9月13日に第4戦の開催地もてぎで行なわれた会見では、コロナ禍における第5戦以降の観客動員、ならびに第5戦に参加する関係者全員へのPCR検査などがその話題の中心となったが、DTMとのコラボレーション、GT500クラスとの共通技術規定である『クラス1』の現状と未来に関する質問も上がり、これに坂東代表が答えた。
なお、その後DTMは9月19日に声明を発表し、2021年からは“GTカーをベースとした車両によるレース”へと舵を切ることを明らかにしている。以下に紹介する坂東代表のコメントは、DTMの声明発表以前のものとなる点、ご留意いただきたい。
スーパーGTとDTMはかねてよりコラボレーションの道を探り、2019年にはDTMがついに2リッターターボエンジンを採用して『クラス1』規則へ移行。2020年にはスーパーGT・GT500クラスも、日本独自の開発領域を残した『クラス1+α』を導入した。
また、2019年10月には日本メーカーの3台のマシンがDTM最終戦にエントリーし、11月には富士スピードウェイでDTM車両を招いた『特別交流戦』を行なうなど、技術規則の共通化だけではない、両シリーズ間の交流イベントも実現し、ファンを楽しませていた。
しかしシーズン前にアストンマーティンで2019年に参戦したRモータースポーツが撤退を表明したのに続いて、2020年4月にはアウディが突如2020年限りでのDTM撤退を発表。以降、DTMを運営するITRは生き残りに向けさまざまな方策を検討してきたようだが、坂東代表によれば、その状況下にあってもGTAとITRは定期的・継続的に連絡を取り合ってきたという。
「9月下旬にも(ゲルハルト・)ベルガーとのTV会議が予定されています。コロナ禍でお互いにレースイベントを再開したので、そこの部分の意見交換などもしています」と坂東代表。
「向こうがプロモーターとして、ドイツの中でどう動いていくか。クラス1を続けるのか、メディアが騒いでいるようにGT3やGT3+αというものになっていくのか……これは向こうが(プロモーターとして)考える部分ではあるけれど、我々で分かることは教えています」
すでにもてぎ戦の時点でDTMが『クラス1』規則によるレースを反故にする可能性を念頭に置いていたとみられる坂東代表は、『クラス1』が共通技術規則である点を強調した。
「我々の立場としては、クラス1は技術規則。コストの面などを考えても、ひとつの規則ができたのでそれを継続していく。EBパーツ(共通部品)も継続していきます」
EBパーツはヨーロッパのサプライヤーによるものもあり、これまでどおりの価格や条件で日本のマニュファクチャラーに供給できるかといった細かい課題が今後発生する可能性は考えられるが、「日本で作る方が安くなるのであれば、こちら(日本)で作るということもあり得る」と坂東代表は言う。
「我々としては直ちに『さぁ困った』という状況ではありません。もちろん、せっかく(2019年に)交流戦をやって、いよいよこれから……というところで(アウディが撤退し)ああなってしまったのは残念ですが、我々とITRで作り上げたクラス1規則を『+α』の部分でしっかりと日本で残し、2023年まで続けていきたい」
「このコロナ禍においてコストや今後の予算の問題もあるが、粛々と(クラス1+αを)継続しながら、どういう方向でやっていくか、検討していきたいと思っています」
ドイツからクラス1規定のレースが消滅しても、スーパーGTではDTM/ITRとのコラボレーションの成果として生まれた共通規定を、当面は維持していく構えだ。果たして5年後、10年後には、どんな未来が待っているのだろうか。
from GTA坂東代表が『クラス1』の将来に言及「“+α”をしっかり日本に残し、継続しながら検討していきたい」【第4戦定例会見】
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