9月8日、今季のル・マン24時間に挑戦するCARGUY RACINGは木村武史、ケイ・コッツォリーノとともに参戦するドライバーとして、ヴァンサン・アブリルの起用を発表した。すでに発表されていたエントリーリストには関口雄飛の名が記されていたが、新型コロナウイルスの影響による入国制限の問題もあり、残念ながら実現には至らなかった。9月9日、関口はプレスリリースを発行し、これまでの経緯と、またル・マンへのチャンスがあれば挑戦したいという思いを語った。
2019年にル・マン24時間に初挑戦したCARGUY RACINGは、今季ル・マンへの参戦を当初予定していなかったが、WEC世界耐久選手権に参戦していたMR RACINGの枠を使ってのル・マン参戦をAFコルセから打診され、これをうけ2年目の挑戦を行うことになっていた。
チームは“オールジャパン”での参戦を目指していたが、当初3人目のドライバーは発表していなかった。そんななか、8月25日に主催するACOフランス西部自動車クラブが発表したエントリーリストのなかに名が記されていたのが関口だ。
関口のエントリーについては、エントリーリストの報道後「多くのモータースポーツファンの皆さまから祝福の言葉や、励ましのメッセージをいただきました」というが、新型コロナウイルス感染拡大防止対策の一環として実施されている帰国後14日間の自主隔離が、ル・マン24時間参戦への大きな壁として立ちはだかっていた状態だったという。
当然ながら、関口のプライオリティはランキング首位を走るスーパーGT、また全日本スーパーフォーミュラ選手権での活動にある。関口は参戦へ調整を続け、CARGUY RACINGも関口の判断を待つ姿勢をみせていたが、「これ以上決断を引き延ばすと、逆にCARGUY RACING様の活動自体にご迷惑をおかけすることになると判断」し、今季はGT500、SFの活動を優先し、参戦を断念することになった。
「今回CARGUY RACINGの木村武史様から、親友のケイ・コッツォリーノ選手を通じてル・マン24時間参戦へのオファーをいただけたことを光栄に思います。自分自身もル・マン24時間参戦はレーシングドライバーとしての大きな夢のひとつであり、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として実施されている帰国後14日間の自主隔離という問題がなければ、即答させていただきたかったオファーでした」と関口は所属するランブラスのプレスリリースのなかでコメントした。
「お申し出をお断りするのは誠に遺憾でありますが、これ以上CARGUY RACING様のドライバー決定を遅らせるわけにはいかないと考え、周辺の状況を関係各所に本日午前中に最終確認し、この決断に至りました」
「自分はプロフェッショナルレーシングドライバーとしてさまざまな契約の中で、多くの方々の夢を背負って走っております。自分自身の夢であるル・マン24時間参戦へのチャンスをポジティブにとらえ、理解し、応援してくださる方々も多数いました。しかし全日本スーパーフォーミュラ選手権とスーパーGTのチャンピオン獲得を最優先している以上、今回のル・マン24時間参戦は実現できない状況となりました。新型コロナウイルス感染拡大防止対策のため、厳しい健康管理をしている自分ですが、本当にこのウイルスという見えない敵に、今回は夢を断念させられました」
自身の夢であるル・マン挑戦を断念せざるを得なくなってしまった関口だが、「これで自分のル・マン24時間耐久レース参戦への夢がすべて絶たれたわけではなく、来年、再来年でもチャンスが頂ければ挑戦したいという意志に変化はありません」と2021年以降もチャンスを探りたいという考えを示した。
「今回、お声掛けいただき、自分に一瞬でもル・マン24時間耐久レース参戦への夢を抱かせてくださったCARGUY RACINGの皆さま、木村武史代表、そして関係各所に問題解決のために寝る間を惜しんで奔走してくれたケイ・コッツォリーノ選手、そして自分の夢にご理解、ご協力を頂けた関係者の皆さま、そして自分を応援してくださっている多くの皆さまに心から感謝いたします」
「今日から気持ちを切り替え、次のレースの勝利のために突き進みたいと思っています。皆さん、応援よろしくお願いします」
from ル・マン24時間:関口雄飛、参戦は断念も「夢がすべて絶たれたわけではない」
コメント
コメントを投稿