2020スーパーGT第3戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』(8/22~23)
鈴鹿サーキット(1周5.807km)
8月23日(日)、スーパーGT第3戦『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』の決勝が行われ、9番グリッドから不撓不屈に勝利を狙っていったDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、復帰したヘイキ・コバライネンが流石の攻防の駆け引きによる怒濤の追い上げを見せて9番グリッドから5位に浮上する快走。
25周終了で抜群のピットタイミング、素早いピットワーク、中山雄一の速いアウトラップとチームワークの合わせ技で2台ほど逆転、その後も中山が良いペースで3位表彰台のポジションを堅守していたが、3度目のセーフティカー導入明けとなる36周目にヘアピン進入で8号車に追突されスピン、コースオフ。表彰台圏内を失ってしまい、クルマにダメージを負いながらも戦列に何とか復帰。
そこから中山は最後まで諦めずに後続の猛追を振り切って逃げ切り、執念の5位フィニッシュ。開幕3戦連続ポイントを獲得した。ドライバーポイントでは6点(計17点)を獲得、チームポイントでは9点(計26点)を獲得していずれもランキング7位に。次戦は、9月22日(土)・23日(日)にツインリンクもてぎにて第4戦として開催される。
■事前情報
富士で真夏の開幕2連戦を終えて現在シリーズランキング6位のDENSO KOBELCO SARD GR Supra。第3戦は、国際的にテクニカルなドライバーズコースとして有名な鈴鹿サーキットへと舞台が変わる。今回から当初の第1ドライバー登録のヘイキがようやく日本入国が叶い復帰。中山とレギュラーコンビが復活。
大会のラウンドパートナーに当チームパートナーでもあるFUJIMAKI GROUPがつき大会名称は『FUJIMAKI GROUP SUZUKA GT 300km RACE』となり、8月22日(土)午前に公式練習、午後にノックアウト方式(Q1、Q2)の公式予選で、23日(日)決勝は13時スタートの300km(52周:約2時間)で争われる。
ドライバー交代を伴うピットストップは1回が義務付けで、今回のウエイトハンディは現獲得ポイントの倍となる22kgを搭載する。鈴鹿はウエイトハンディによる重量増によるタイムの落ち込みは、22kgだと約0.4~0.5秒と大き
めとなる。
DENSO KOBELCO SARD GR Supraは公式画像に描かれるなど期待も高く、チームの本拠地に近いため応援団も例年だと大挙して訪れるが、この第3戦も引き続き様々な感染対策を講じて無観客での開催。富士での2連戦では決勝ペースが上がらず苦戦を強いられたが、得られたデータから状況は解析済み。
ランキング上位勢に追いつくためにも大量得点となるポディウムフィニッシュは必須。タイトルを狙う上で上位に喰らいつくための踏ん張りどころとなる。真夏の鈴鹿で距離は通常の300kmであるが、暑く熾烈極まる戦いが予想される。ヘイキの復帰戦でチーム一体となり、シリーズランキング上位を目指して不撓不屈に勝利を狙っていった。
■公式練習走行
22日(土)公式練習走行は10時から開始。残暑厳しい、うだるような蒸し暑さのなか、気温32度/路面温度42度のコンディションで90分間の混走セッションが開始された。開始と同時にコースインした中山は、まずはソフト側ドライタイヤを装着して、タイヤのピークパフォーマンスとフィーリングを6周チェック。続いてハード側タイヤを装着しておなじく6周の評価走行し、7番手タイムを刻む。
続いて13周目から今回から復帰したヘイキがハード側タイヤで評価しながらの長めの走行で、久々のドライビングで自分自身の感覚を取り戻していった。途中セット調整を行い、28周目からソフト側タイヤのリピート評価も実施。20周にわたってドライビングを行った。
混走セッションは中山がマークした1分49秒102の9番手となった。10分間のGT500単独セッションは、引き続きヘイキがソフト側タイヤでアタックシミュレーションを実施し、1分49秒001の13番手タイムとなった。公式練習走行ではトータル37周を走行。
続いて、導入が予定されているフルコースイエロー(FCY)システムの動作確認を11周にわたって実施した。走行後にミーティングを長めに行い、前回よりもさらに良いグリッドを目指してクルマを予選までに徹底的にデータ分析して仕上げるべく準備を進めていくこととなった。
■公式予選
Q1:中山が0.089秒差でQ1突破ならず
22日(土)15時03分Q1開始時点では気温34度/路面温度51度に跳ね上がった。開始から残り8分でコースインした中山。公式練習走行で感触の良かったハード側タイヤを装着してコースイン。4周目にアタックラップと決めてタイヤの温まりを合わせてウォームアップ。
予定通り4周目にアタックに入った中山は、セクター1でトップと同等のタイムを刻み駆け抜けると、セクター2のデグナー2立ち上がりでわずかにトラクションがかからず。セクター3のスプーン付近でも思うようにタイムが稼げず。セクター4で巻き返したが、1分47秒577のタイムで、わずか0.089秒差でQ1突破ならず悔しい予選結果となった。
■決勝
ウォームアップ走行
23日(日)11時40分から開始されたスタート前20分間のウォームアップ走行は、気温31度/路面温度48度の高温のなか、スタート担当のヘイキがハード系ユーズドタイヤを装着して決勝セットを確認。
ピットワーク作業の練習を行った後に中山が3周走行してソフト系ユーズドタイヤの確認。ウォームアップ走行は決勝セットの調整に費やしトータル10周を走行して、1分53秒279の15番手タイムとなった。
決勝レース
第1スティント:復帰戦でヘイキが快進撃の5位浮上
23日(日)13時決勝スタート時点は気温32度/路面温度49度の暑さに。ウォームアップ走行のデータ解析とドライバーフィーリングにより、スターティンググリッドでコンディションに合わせた調整を実施。
9番グリッドから不撓不屈に勝利を目指していったヘイキが駆るDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、1周目から セーフティカー(SC)が導入される波乱の幕開けのなかで、序盤に虎視眈々とチャンスを伺う走り。復帰戦であるがヘイキは流石のレース攻防の駆け引きの巧さを披露しながら、13周目に19号車をシケインでかわし、15周目には遅れ始めた64号車をデグナーでパス。130Rコーナー進入で17号車を抜き去る怒濤の追い上げを見せて5位に浮上する快進撃を見せた。
17周目に2度目のSC導入で各陣営のピットが慌ただしくなり始める。22周を終えSC解除でピットインを始める車両が出始め、ステイアウトしたヘイキがここがチャンスとばかりに猛プッシュ。25周目に戦況を見図っていた脇阪寿一監督が最高のタイミングを狙って決断し、ヘイキをピットに呼び戻した。
第2スティント:中山が諦めない走りで連続ポイント獲得を堅守
25周終了で抜群のピットタイミング、素早いピットワーク、中山の速いアウトラップとチームワークの合わせ技で2台ほど逆転、その後も中山が良いペースで3位表彰台のポジションを堅守していたが、3度目のセーフティカー導入明けとなる36周目に、ヘアピン進入で8号車に追突されスピン、まさかのコースオフを喫してしまう。
このアクシデントで表彰台圏内を失ってしまい、車体後部にダメージを負いながらも何とか戦列に復帰。そこから中山は気力を再び振り絞って、最後まで諦めずに後続の
猛追を振り切って逃げ切り、執念の5位フィニッシュ。開幕3戦連続ポイント獲得を堅守した。
ドライバーポイントでは6点(計17点)を獲得、チームポイントでは9点(計26点)を獲得していずれもランキング7位に。次戦は、9月22日(土)~23日(日)にツインリンクもてぎにて第4戦として開催される。
■コメント
ヘイキ・コバライネン
「約5カ月振りの走行となり、土曜の走り始めの感覚はまだ全力ではなかったけど、決勝では十分にバトルを楽しめるほど感覚が研ぎ澄まされてレースに戻って来たと感じた。それにも増して、寿一監督のもとで、クルマもチームも自分が居ないあいだに大きく成長していたことが、とてもうれしかった」
「結果は残念だったけど、3位表彰台を争った内容には満足している。次のもてぎはどの様な勢力図になるのか開けてみないとわからないけど、自分たちが上位にいることの自信はあるよ。楽しみにしていて欲しい」
中山雄一
「5位でのフィニッシュとなりました。ピットタイミングとピット作業の速さもあって3番手まで上がることができていただけに残念な結果です。追突されて押し出されたときはもう終わったと思いましたが、走行に大きな影響があるダメージもなく、残り周回を諦めずに最後まで走り切れてノーポイントにならずに幸いでした」
「毎戦チームみんながひとつひとつ課題をクリアしていて、とてもポジティブな内容ですので、次回こそ良い結果を期待してください!!」
脇阪寿一 監督
「過去2戦の結果から、課題となった決勝のパフォーマンスを上げるべく様々な対策をし鈴鹿に挑みました。ヘイキも加わりようやく本来のSARDとなり、決勝中は一時3番手までポジションを上げるも後続車に追突されスピン、5位」
「終わって振り返れば、色々悔しいこともありますが、チームのメンバーの顔つきも仕事のレベルも、どんどん変わり、彼らの成長を感じています。そんな彼らと一緒に戦えることを嬉しく感じていますし、彼らと喜びを分かち合うために、さらに高みを目指して努力していきます。引き続き応援のほど、よろしくお願い申し上げます」
from TGR TEAM SARD 2020スーパーGT第3戦鈴鹿 レースレポート
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