Max Racing 2020スーパーGT第2戦富士 レースレポート

Max Racing
レース結果報告書

■日時 2020年8月8〜9日 ■車両名 たかのこの湯 RC-F GT3
■場所 富士スピードウェイ ■ゼッケン 244
■監督 田中哲也 ■ドライバー 久保凜太郎/三宅淳詞
■チーム Max Racing ■リザルト 予選12位/決勝13位

トップ争いする日のために。ルーキー三宅を軸に組み立て。

「この予選12位は、自分が(ドライバーとして)ポールポジションを獲った時よりうれしい」と、予選後、田中哲也監督は興奮気味に語っていました。

 開幕戦に続きSUPER GT今季初挑戦、Max Racingの戦いぶりを熱血哲也監督の視点でお伝えしていきます。

 8月8〜9日、「2020 AUTOBACS SUPER GT Round2たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」が開催されました。SUPER GT第2戦は、新型コロナ感染症対策を徹底するため、無観客開催となり、開幕戦と同じ富士スピードウェイが舞台です。2戦続けて同じコースが舞台となればクルマのセッティングの熟成を進められるというメリットはありますが、その条件はどのチームも同じ。しかし、新チームであるMax Racingにとって、より大きなメリットがあったと哲也監督は言います。「同じコース、それも同じようなコンディションだったから、細かい部分を詰めることができて試すこともできた」。昨年までスーパー耐久で走らせていたレクサスRC F GT3ですが、SUPER GT参戦にあたり、ドライバーコンビネーションも代わり、タイヤもヨコハマタイヤに変更されています。またシリーズ全体のコンペティションレベルが高いので、戦闘力をより研ぎすます必要があるのです。同じ条件下だからこそ、その進化も明確にみることができます。

 開幕戦からのインターバルが短いなかでも、チームはセッティングの見直しはもちろんのこと、少しでも最高速を伸ばすためにカウルの立て付けをスムーズにするなどRC Fに改善を施して、第2戦に臨みました。「セットの方向性は簡単に言うと曲がるクルマにしたということです。予選でも決勝でも曲がらないとタイムが出ない。それに細かい部分ではABSの制御を最新バージョンにしました」(哲也監督)。

 こうした積み重ねが実を結び、公式練習でもタイヤ選択、さらなるセッティングの方向性確認などを順調にこなして、GT300専有時間を今回は三宅淳詞が乗りました。予選Q1も三宅が担当します。今回はSUPERGT経験のある久保凜太郎ではなく、FIA-F4からステップアップしたルーキーの三宅を軸にレースウイークを進めることにもシリーズを見据えた哲也監督の考えが反映されています。「今回は開幕戦と役割を真逆にしました。シーズン序盤、三宅に予選も経験させなければいけないし、スタートも経験させなければいけません。予選も決勝もふたりがどちらでも担当できるようにしておけばチームとしての幅が広がる」(哲也監督)

 こうして開幕戦で果たせなかった予選Q1突破の重要ミッションが三宅に託されたのでした。 2グループに分けられたQ1、Bグループで三宅がマークしたタイムは1分38秒014で9番手でした。Q2に進出できるのは 2グループ各上位 8台です。「レースコントロールの無線で○号車“4脱”(4輪脱輪・走路外走行)の疑いと聞いたし、再車検に呼ばれないのでこれはもしかして……」(哲也監督)。“期待”通りに上位車両が走路外走行のペナルティで当該タイム抹消となり、繰り上がりでQ2進出。さらに凜太郎がQ2で1分37秒677までタイムを伸ばして12番グリッドを確保しました。「ラッキーはあったけれども、今回、何がなんでもQ2にいくのを目標にしていたので、満足しています。凜太郎がさらにポイント獲得がみえる12位まで上げてくれた。SUPER GTでは性能調整もあるし、まずは同じクルマのなかで一番になるのがまず重要。他のRC Fには負けるなとドライバーにも発破をかけていて(笑)、それも達成できました。まだまだ上はあるけども、開幕戦より確実に進歩できた」(哲也監督)

 トップ争いしていないから、ある程度でやっておけばいいとの考え方は間違っている哲也監督は言います。「いま、この順位でも完璧にやっておかないと、もしも勝てる道具が揃い、勝てる状況になったときに、完璧な仕事はできません。つちやエンジニアリング、ジョイントしているRS中春、ボクも含めてチャンピオン経験を持った人が集まっているから、ドライバーにもそういう緊張感をもってやらせたいし、そのなかで評価していきたい」(哲也監督)。

 性能調整やウェイトハンディ制を採用しているSUPER GTだからこそ、チャンスは思いがけず巡ってくることもある……。より一層こうした備える気持ちが重要となるのでしょう。

 決勝結果は、そうした哲也監督の想いに、ドライバー、エンジニア、メカニック全員が応えて完璧に近い仕事をこなしたものの、予選グリッドよりひとつ下の13位。前を追うよりも防戦一方の展開で、目指したポイント獲得には手が届きませんでした。「ドライバーふたりがいい仕事をして、ピットもいい仕事をして頑張ったけども、今日はポイント獲得まで届かなかった。昨日の予選ではドライバーがいまのポテンシャルを最大限に引き出してくれて、本来の実力を超えた結果を出してくれたのに対して、決勝になったらトータルの戦闘力が明確になったということでしょう。同じRC Fのなかでみれば、最上位にいるからボクらのチーム力は確実に上がっていることは確認できました」。トップ争いが遠いからといって、ここで諦めたわけではないと哲也監督は続ける。「メカニックも、もっとタイヤ交換は速くできると言ってくれていますし、ドライバーだって、1周コンマ1秒ずつ詰めれば決勝トータルで6秒稼げます。チーム全体で上を目指す雰囲気ができています。今回幸いにもクルマにダメージがなかったので、修理が不要だから、さらに細かい部分を詰めることができます。トップ争いするときのために、ひとつひとつ過程を大事にしていきたいですね」。

 熱血哲也監督と凜太郎、三宅の挑戦は続きます。

たかのこの湯 RC F GT3
たかのこの湯 RC F GT3
たかのこの湯 RC F GT3
たかのこの湯 RC F GT3

【久保凜太郎のコメント】
前回のレースでは絶対に完走することがチームとしての目標でもあったので、ボク自身少し守りに入っていたのが反省点でした。今回はより上位を目指して、攻める気持ちで週末に臨もうと考えていました。
開幕戦での問題点を洗い出してチームがいいクルマを仕上げてくれました。走り出しから調子がよく、三宅がQ1を突破してくれて、ボクもQ2でタイムを伸ばすことができて非常にいい流れをつくることができました。
決勝は後半を担当するので長いスティントになることはわかっていました。それでも、全ラップを攻め続ける走りを心がけ、それはある程度達成できたので満足です。ペースが足らなくて、レース前にチームとして目標に掲げたポイント獲得には届かず、その点では残念でしたが、データは取ることができたので、次の鈴鹿ではこれを活かして上位進出を目指します。

【三宅淳詞のコメント】
ボクがQ1担当することになっていたので、セットアップもさせてもらいました。前回厳しいレースだったので、自分なりにRCFの乗り方、ヨコハマタイヤの乗り方を、他の選手の映像など観ながら改善点を考えてサーキット入りしました。それもあって前回よりも伸び代があったかなと思います。運よくQ1を突破できたのは、チームにとってもいいことでした。ただ、実際レースをしてみるとトップとは差があるので、優勝に向けて考えなければいけない点が多くあるとも感じました。
今回スタートを担当して、SUPER GTのスタートを初体験しました。ローリングスタート自体はレーシングカートで経験していましたし、スタートしてしまえばフォーミュラと変わることはないので違和感なくこなすことができました。ただペースが厳しく順位を落としてしまったのは悔しいです。
次の鈴鹿はRC Fが得意と聞いていますし、ボク自身フォーミュラで走り込んでいるコースでもあり、地元三重県での開催でもあるので、攻めて順位を上げられるようなレースがしたいです。がんばります。



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