GT300クラス優勝はシンティアム・アップル・ロータス。加藤寛規はじつに10年ぶりの勝利【スーパーGT第2戦富士決勝】

 2020年のスーパーGTは新型コロナウイルス蔓延の影響を受け、例年とは異なるスケジュールで行われている。8月9日(日)、静岡県の富士スピードウェイでは第2戦の決勝レースが行われ、スーパーGT GT300クラスはシンティアム・アップル・ロータスの加藤寛規/柳田真孝組が優勝を飾った。

 シリーズ全8戦で争われる2020年のスーパーGT。3ヵ月遅れで開幕した第1戦から3週間のインターバルを経て開幕した第2戦は、今シーズン4戦の開催が予定されている富士スピードウェイを舞台に争われた。

 霊峰富士の麓にサーキットがある富士スピードウェイは週末を通して気温が30℃前後を記録しているが、時折日が差すものの、終始雲が空を覆っていた。決勝日はグリッドでは日が差したがスタート時には雲がかかり、気温29℃、路面温度42℃というコンディションで迎えた。
 
 スタートはポールポジションのADVICS muta MC86が阪口良平、2番手グリッドのARTA NSX GT3は高木真一、3番グリッドのシンティアム・アップル・ロータスは加藤寛規と、トップ3チームはベテラン勢が担当する。

 ポールポジションのADVICS muta MC86、2番手ARTA NSX GT3、3番手シンティアム・アップル・ロータスと続いていくフォーメーションラップを経て、定刻の13時、決勝レースがスタート。

 オープニングラップの1コーナーを制したのはADVICS muta 86MC、その後ろ2番手争いは昨年王者のARTA NSX GT3にシンティアム・アップル・ロータス が迫り、2番手にポジションアップ。4番手グリッドからいいスタートを決めたSUBARU BRZ R&D SPORTもコカコーラコーナーまでにARTA NSX GT3を捉え3番手にアップ。さらにSUBARU BRZ R&D SPORTはセクター3でシンティアム・アップル・ロータスの後ろにピタリとついて最終コーナーへ入っていく

 しかし2周目、ストレートではやはりマザーシャシーのほうが伸びがよく、SUBARU BRZ R&D SPORTは1コーナーでシンティアム・アップル・ロータスを捕らえることができない。ただ、あきらめないSUBARU BRZ R&D SPORTはピタリと後方についたまま、セクター3で再びその差を詰め、GRスープラコーナーのイン側に入り、立ち上がりでシンティアム・アップル・ロータスを捉え2番手に。直後のストレートでは2がテールにつくも、今度はストレート勝負に勝ち、ポジションを守り切った。

 レース4周目、早くもGT500の集団が追いつき、GT300を周回遅れにしていく。ここからGT500をかわしながらの接戦が始まった。GT300の周回で5周目、トップを走るADVICS muta 86MCの後ろ、0.5秒差までSUBARU BRZ R&D SPORTが迫り、さらにその後ろにはフリー走行から好調をキープしているシンティアム・アップル・ロータスもついてくる。

 そして6周目、セクター3でSUBARU BRZ R&D SPORTがコーナリングの良さを活かしてADVICS muta 86MCのテールを捕らえ、最終コーナーでインに入る。これでトップ交代かと思われたが、なんとSUBARU BRZ R&D SPORTは立ち上がりで失速。そこにすかさず、トップ争いを3番手のポジションから見ていたシンティアム・アップル・ロータスがストレートで勝負をかけにきた。

 チャンスから一気にピンチへと陥ったSUBARU BRZ R&D SPORTだが、なんとかポジションを守り切った。GT300の周回で7周目、トップ3台は4番手以降に3秒以上の差をつけ、激しい攻防が続く。中団では360を先頭にした7番手争いが接近していた。

 8周目、超接近戦を演じていたGT300のトップ争い集団は、ダンロップコーナーでアウトからSUBARU BRZ R&D SPORTがADVICS muta 86MCをかわしてついにトップが交代。さらに、抜かれたADVICS muta 86MCは立ち上がりでわずかにマシンが滑ったところをシンティアム・アップル・ロータスにも捉えられてしまい、一気に3番手までポジションを落としてしまった。

 GT300の周回で11周目、7番手争いの集団に動きがあり、前戦で勝利して60kgのウエイトを積む9番グリッドスタートの埼玉トヨペットGB GR Supra GTが開幕戦と同じくレースでの強さを見せ、序盤で7番手までポジションアップ。

 14周目、3番手のADVICS muta 86MCはトップ2台から離されてしまい、3秒近い差が生まれてしまった。トップの2台は変わらず0.5秒前後の差で周回を重ねていく。その後方では4番手のARTA NSX GT3 にLEON PYRAMID AMG が13コーナーでテールに迫っていた。LEON PYRAMID AMGはストレートでスリップストリームを利用するも、1コーナーのブレーキングでは捕らえることはできず。

 だが、15周目の最終コーナーで再びARTA NSX GT3 に迫っていたLEON PYRAMID AMGがイン入り勝負あり。16周目のストレートでもう一度ARTA NSX GT3と横並びになるが、LEON PYRAMID AMGの菅波冬悟が冷静に守って、ポジションをひとつアップした。

 レースの約1/3が消化された19周目。早々とピットに入ったのはLEON PYRAMID AMGの菅波。チームメイト蒲生尚弥へとドライバー交代。今回の第2戦から義務付けられたタイヤ4輪交換を危なげなく済ませてコースに復帰する

 レース20周目、再びストレートで2番手のシンティアム・アップル・ロータスがSUBARU BRZ R&D SPORTの後ろに迫る。抜きそうで抜けない0.5秒差以内の超接近戦のバトルはじつに15周以上にも及んでいる。後方ではポールスタートのADVICS muta 86MC、グッドスマイル 初音ミク AMGらがピットイン。

 レース23周目、この辺りからGT300クラスは続々とピットへ入るマシンが増えてきた。

 レース26周目の終わりで、トップのSUBARU BRZ R&D SPORTがピットイン。山内英輝から井口卓人ドライバーチェンジを済ませ、実質のトップでコースに復帰した。一方、見た目上のトップに立ったシンティアム・アップル・ロータスはピットインのタイミングをずらし、そのまま走行を続ける。

 そのシンティアム・アップル・ロータスはレース30周目の終わりでピットイン。今季久しぶりに2年ぶりにスーパーGTへフル参戦復帰を果たした柳田真孝へバトンを繋ぐ。ちょうどその頃、後方を走っていたエヴァRT初号機 X Works R8の右リヤタイヤが最終コーナーを立ち上がって先で外れてしまう。なんとかピットロードへと戻ってきたエヴァRT初号機 X Works R8はコントロールタワーの下にマシンを止めてここでリタイアとなった。

 レース31周目、シンティアム・アップル・ロータスはSUBARU BRZ R&D SPORT の前でコースに復帰。SUBARU BRZ R&D SPORTは先にピットインしていたこともあり、暖まったタイヤでシンティアム・アップル・ロータスを追うが、その差はピット作業を済ませる前よりも広がっていた。その理由としてシンティアム・アップル・ロータスはインラップで約1秒、アウトラップでも約5秒。SUBARU BRZ R&D SPORTより速く走行していたためだ。タイヤは暖まっていたものの、その差は予想以上のものだった。

 GT300の周回でレース33周目、ターン12でGT500 クラスのトップを走行していたARTA NSX-GTがスピン。イエローフラッグが振られるが、セーフティカーは出動せず。FROに牽引された後、ARTA NSX-GTはなんとかコースに戻り、イエローフラッグは解除された

■インラップとアウトラップの速さでギャップを手にしたロータスが有利に

 レース35周目、すべてのGT300車両がピットインを済ませ、後半戦がスタート。トップを走るシンティアム・アップル・ロータスと2番手SUBARU BRZ R&D SPORTの差は約4.5秒。その後方、3番手争いは36周目に白熱の様相を見せ、LEON PYRAMID AMGの蒲生尚弥の後ろにGT300クラスルーキーのARTA NSX GT3大湯都史樹が0.5秒差以内で迫る。同じGT3車両ではあるがストレートではLEON PYRAMID AMGのほうが伸びが良く、なかなかその差を詰めることができない。

 この時点の順位はシンティアム・アップル・ロータスを先頭に、2番手にSUBARU BRZ R&D SPORT、3番手にLEON PYRAMID AMG、4番手ARTA NSX GT3、5番手はADVICS muta 86MCというオーダー。

 レース38周目、前の周ではLEON PYRAMID AMGを捕らえることができなかったARTA NSX GT3だが、先ほどよりその差を詰めて最終コーナーを立ち上がり、スリップストリームを利用して1コーナーで3番手にポジションアップ。しかし、前を走る61井口との差は9.263秒あり、実質のトップ争いはシンティアム・アップル・ロータスとSUBARU BRZ R&D SPORTの2台に絞られた。

 レース45周目、膠着状態のトップ争いの後方で5番手争いが白熱する。リアライズ 日産自動車大学校 GT-Rがセクター3でスタートからポジションを落としてしまっていたADVICS muta 86MCのテールを捉える。その頃、グッドスマイル 初音ミク AMGはタイヤトラブルが発生した模様で2度目のピットイン。4輪を交換して再びレースへと戻る。

 5番手争いはリアライズ 日産自動車大学校 GT-Rが56周目のストレートでADVICS muta 86MCのスリップストリームに入ると、1コーナーでインを刺し、ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラがルーキー小高をオーバーテイク。

 レース48周目、300Rからダンロップコーナーまでの間にアールキューズ AMG GT3にタイヤトラブルが発生。なんとかピットに戻るこちらもなんとかピットに戻り、その後タイヤを交換してレースに復帰、チェッカーまで走り切っている。

 レース残り約10周あまりになるとトップの2台と2度目のピットインでタイヤを変えたグッドスマイル 初音ミク AMG以外のタイムが39秒台〜40秒台中盤で落ち着いた展開に。

 そのグッドスマイル 初音ミク AMG はGT300の周回数で55周目に、3度目のピットイン。再びタイヤを変えてコースに戻り、最終的にチェッカーフラッグを受けているがトップから2周遅れの27位に終わってしまった。

 一時は5秒以上の差がついてしまっていたトップのシンティアム・アップル・ロータスと2番手のSUBARU BRZ R&D SPORTだが、井口卓人がスパートをかけ、一周0.2〜0.3秒ずつ速いペースで周回を重ね、レース終了もまもなくといったところの56周目に3.7秒差まで差が縮まる。しかし、残り5周でこの差を詰めることはできず。最終的に2.367秒差で2番手のままチェッカーフラッグを受けた。

 14時45分、チェッカーフラッグが振られ、GT300クラスの決勝レースはトップが61周で終了。今季はテストから好調を維持し、前戦はトラブルに見舞われリタイアという悔しい結果だったシンティアム・アップル・ロータスが2020年シーズン初優勝を飾った。加藤寛規はじつに10年ぶりの勝利。チームメイトの柳田は2016年のスーパーGT第3戦もてぎGT500クラスで優勝した以来の勝利となる。

 以下、2位はSUBARU BRZ R&D SPORT、3位ARTA NSX GT3、4位LEON PYRAMID AMG、5位リアライズ 日産自動車大学校 GT-R、6位埼玉トヨペットGB GR Supra GT、7位Modulo KENWOOD NSX GT3、8位Hitotsuyama Audi R8 LMS、9位ADVICS muta 86MC、10位TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-Rまでがポイントを獲得した。

 2位のSUBARU BRZ R&D SPORT、3位のARTA NSX GT3ともに今季初表彰台を獲得となった。

 ポイントランキングは開幕戦で勝利し、この第2戦も6位に入賞した埼玉トヨペットGB GR Supra GTの吉田広樹/川合孝汰組が25ポイントでランキング首位をキープ。2位には今回優勝したシンティアム・アップル・ロータス加藤/柳田組が5ポイント差の20ポイント、3位はGAINER TANAX GT-R平中克幸/安田裕信組、SUBARU BRZ R&D SPORT井口/山内組、ARTA NSX GT3高木/大湯組が15ポイントで並んでいる。

 以下、リアライズ 日産自動車大学校 GT-R藤波清斗/オリベイラ組14ポイント、LEON PYRAMID AMG蒲生/菅波組14ポイント、マッハ車検 GTNET MC86 マッハ号坂口夏月/平木湧也組11ポイント、Modulo KENWOOD NSX GT3道上龍/ジェイク・パーソンズ組とTANAX ITOCHU ENEX with IMPUL GT-R星野一樹/石川京侍組が7ポイントというトップ10。

 2020年のスーパーGT第3戦は舞台を西に移し、鈴鹿サーキットで8月22~23日に行われる。

シンティアム・アップル・ロータス
シンティアム・アップル・ロータス
SUBARU BRZ R&D SPORT
SUBARU BRZ R&D SPORT
ARTA NSX GT3
ARTA NSX GT3
LEON PYRAMID AMG
LEON PYRAMID AMG
リアライズ 日産自動車大学校 GT-R
リアライズ 日産自動車大学校 GT-R


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