TGR TEAM ZENT CERUMO 2020スーパーGT第1戦富士 決勝レポート

2020 AUTOBACS SUPER GT Report

たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE
第1戦 富士スピードウェイ

ZENT GR Supra
#38 立川祐路/石浦宏明

◆7月19日(日) QUALIFY/RACE
公式予選結果 5位
決勝結果 4位

 霧の影響もあり、想定よりも短い時間で慌ただしくZENT GR Supraの確認を強いられた7月18日(土)の公式練習から一夜明けた7月19日(日)。心配された荒天はなく、SUPER GT第1戦富士の決勝日は早朝は曇天、そして少しずつ雲が切れ、ひさびさの晴れ間が見えはじめるなかで迎えた。TGR TEAM ZENT CERUMOにとっても待望の晴れ模様だ。

 この日は午前9時30分からGT300クラスの公式予選Q1がスタート。午前10時03分からGT500クラスのQ1が始まった。TGR TEAM ZENT CERUMOは、Q1のアタッカーを石浦宏明に任せた。まだGT300の予選Q1時は濡れている部分もあったため、タイヤ選択を悩む部分もあったが、ソフトめのタイヤを履いた石浦はまず1分34秒台から1分31秒台に縮め、アタックに入っていく。石浦は5周め、1分27秒308というタイムをマークし、5番手につけQ2に控える立川祐路に繋いだ。

 GT300クラスのQ2をはさみ、迎えたGT500クラスのQ2。ZENT GR Supraのコクピットに乗り込んだ立川は、タイヤを温めながらペースを上げ、石浦と同じく5周目に1分27秒352といいうタイムをマークしてみせた。ただ、ライバルは1分26秒台に突入しており、いまひとつハードめのタイヤのフィーリングが良くなかったZENT GR Supraの順位は5番手。決勝を見すえ悪くない位置ではあるが、もうひと声伸びが欲しい。午後3時からの決勝を前に、TGR TEAM ZENT CERUMOはさらなる改良をZENT GR Supraに加えた。

 午前中は晴れ間も広がったものの、昼すぎには雲が出はじめ、迎えた午後2時40分からのウォームアップ。ZENT GR Supraはふたたび立川がコクピットに乗り込み、レースに向けたセットアップの確認を行っていく。その間にふたたび晴れ間も広がり、今度は初夏の陽気が富士スピードウェイを包んだ。

 ZENT GR Supraのスタートドライバーは立川。今回はパレードラップもなく、1周のフォーメーションラップのみでスタートが切られていく。立川は5番手をキープし前を追うが、後方で#12 GT-Rと#64 NSX-GTがクラッシュ。コースサイドにストップしたため、早くも2周目にセーフティカーが導入された。

 レースは6周目にリスタートが切られ、立川は前を走る4番手の#36 GR Supraを追っていく。本来、立川のレースは序盤からひとつずつポジションを上げ、トップを狙っていくもの。ただ、この日は5番手を守ってはいるものの、ポジションは変わらず。17周目には前を走っていた#8 NSX-GTを見事にオーバーテイクし4番手に浮上したが、トップ3とはやや差が開いていた。

 TGR TEAM ZENT CERUMOはレースがやや膠着しはじめた28周を終え、立川をピットに呼び戻す。とはいえ、ZENT GR Supraの背後につけていた#17 NSX-GT、#8 NSX-GTが25周を終えピットインしており、アンダーカットされてしまう懸念があった。準備を整えていた石浦とTGR TEAM ZENT CERUMOは、アンダーカットされないように綿密に計算を行ったうえでのピットインだった。

 この狙いは功を奏し、ピットの迅速な作業、そして石浦が履いたユーズドのソフトタイヤの温まりの良さも手伝って、#8 NSX-GTに対してマージンを築いて4番手で石浦を送り出すことに成功する。しかし36周目、GT300クラスの#360 GT-Rが接触によりスピンを喫し、13コーナーのコース中央でストップを喫してしまったため、まさかのセーフティカー導入となってしまった。

 上位は接近したものの、後続との差も近づいてしまい、せっかく築いたマージンが失われてしまった。石浦は43周目のリスタートの後、ふたたび前を追うが、今度は僚友WAKO’S 4CR GR Supraを駆る坪井翔が近づいてくる。石浦は必死に坪井を抑えるが、後方から好ペースで追い上げてきたWAKO’S 4CR GR Supraを抑えきれず、ペースが鈍っていた#100 NSX-GTとの三つ巴のバトルの末、#100 NSX-GTこそかわしたものの、WAKO’S 4CR GR Supraの先行を許し、順位は4番手となった。

 石浦はその後も粘り強く走行を続けたが、順位は変わらず4位でチェッカーを受けた。結果的には、GR Supraがトップ5を占め、ZENT GR Supraもその一翼をになうかたちにはなったが、やはり開発を続けてきたふたりにとっては、せめて表彰台で終えたかったレースだけに悔しさも残った。

 しかし、新型コロナウイルスの影響によるタイトなスケジュールのなかで、第2戦はまたすぐにやってくる。チームのホームコースである富士スピードウェイで、ふたたびTGR TEAM ZENT CERUMOはチーム一丸となって勝利を狙っていく。

ドライバー/立川祐路
「公式予選ではQ2を担当しましたが、ハードめのタイヤが想定よりも温まりが悪く、思ったよりもグリップが出なかったのが少し悔しいところですね。決勝レースでは、なるべく序盤から順位を上げていこうと臨みましたが、もう少し順位を上げ、トップに食らいついて石浦選手に渡したかったところでした。その点は少し悔しいですね。正直、少しペースが足りませんでした。次はまた同じ富士スピードウェイでのレースですし、今回良くなかった部分をきっちりと修正して次戦に臨みたいと思います。応援ありがとうございました」

ドライバー/石浦宏明
「朝はまだサーキットも濡れていたのでタイヤ選択は悩みましたが、僕は公式予選にソフトめのタイヤで臨みました。他車に引っかかってしまったりと、完璧なアタックではなかったですが、Q1を突破することはできたので、そこは自分の仕事ができたと思います。レースでは、立川選手が走っているのをみて、少し苦しいのかな……と思っていましたが、タイヤ選択がうまくいき、僕に交代してからはアウトラップも早く、いい戦略を採ることができましたが、残念ながらセーフティカーが出てしまい、いまひとつかみ合いませんでしたね。今回はライバルに対してペースで劣る部分も見えたので、次戦に向けてどう改善するかが大事ですし、SUPER GTは開幕が4位だからダメか……といえばそうでもないレース。今回学んだことを次戦に活かしたいと思っています」

村田淳一監督
「GR Supraのデビューレースで、37号車、さらにGT300でも優勝を飾ったので、まずはおめでとうございますと伝えたいですね。そのなかで我々が優勝とならなかったのは非常に残念ですが、それは足りない部分があったからだと思っています。全体的にスピードが足りない週末になってしまいました。ドライバーとエンジニアが頑張ってくれ、取り戻すことはできてはいましたが、上位を占めたGR Supra勢の5台のうち4位ということなので、次戦富士に向けて車両のセットアップ、タイヤの見直しと、全体的に底上げをして、ライバルに追いつき、追い越せるように努力を重ねていきます。応援ありがとうございました」

ZENT GR Supra
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