TGR TEAM WAKO’S ROOKIE 2020スーパーGT第1戦富士 決勝レポート

2020 AUTOBACS SUPER GT Report

たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE
第1戦 富士スピードウェイ

WAKO’S 4CR GR Supra
#14 大嶋和也/坪井翔

◆7月19日(日) QUALIFY/RACE
公式予選結果 11位
決勝結果 3位

 霧のため短い走行時間となった公式練習が行われた7月18日(土)から一夜明け、SUPER GT第1戦富士は7月19日(日)の予選/決勝の日を迎えた。前日は公式予選が行えないのではないか……という天気予報も出ていたが、夜のうちに予報は好転し、この日の朝は曇り。路面はまだ濡れてはいたが、午前9時30分からの公式予選Q1を前にして、晴れ間も出てほぼドライに転じていた。

 走行初日に手ごたえを得ていたTGR TEAM WAKO’S ROOKIEだったが、実はこの天候の好転が、思わぬトラブルに繋がっていた。チームは前日、予選がウエットコンディションになるのではないか……と予想し、公式練習でマーキングしていたタイヤを数多く使ってしまっていたのだ。できればニュータイヤで予選アタックは行いたいが、本数、種類等さまざまな条件を考えると、Q1では一度アタックで使ったタイヤを選ばざるを得なくなってしまった。

 午前10時03分からスタートしたGT500クラスのQ1で、WAKO’S 4CR GR Supraのステアリングを握ったのは坪井翔。タイヤのハンデを跳ね返してくれるはず……というチームの期待を背負い、坪井はWAKO’S 4CR GR Supraをアタックラップに突入させる。

 しかし、トップドライバーが集い毎戦激戦となるSUPER GTでは、やはりそれほど甘くはない。坪井は1分27秒452というタイムをマークするが、Q1突破が可能な8番手のタイムまであとコンマ1秒足りず、11番手。Q2に控えていた大嶋和也には繋げることができず、そのまま11番手から決勝レースを迎えることになった。

 とはいえ、WAKO’S 4CR GR Supraのパフォーマンス自体は悪くない。予選後一時曇り空が広がったが、午後2時40分からのウォームアップを迎える頃にはふたたび晴れ間が広がり、夏の暑さが戻ってきた。ここで大嶋がWAKO’S 4CR GR Supraのフィーリングを確認し、午後3時からのレースを迎えた。

 今回スタートドライバーを務めるのは大嶋。1周のフォーメーションラップを終えて切られたスタート直後、大嶋はWAKO’S 4CR GR Supraのフィーリングを再確認。追い上げを目指し気合を入れ直す。しかしその直後、後方で#12 GT-Rと#64 NSX-GTがクラッシュ。コースサイドにストップしたため、早くも2周目にセーフティカーが導入された。

 リスタート後、大嶋は11番手を守っていくが、好調なWAKO’S 4CR GR Supraのフィーリングとともに、まずは8周目に#23 GT-Rをオーバーテイク。さらに11周目には#3 GT-Rも抜き、9番手に浮上する。さらに22周目、#16 NSX-GTがピットインし、このタイミングで#39 GR Supraもかわし一気に7番手まで浮上した。大嶋の進撃は止まらず、25周目には2台のNSX-GTがピットインすると、僚友ZENT GR Supraに続く5番手まで順位を上げた。

 大嶋は29周目までドライブし、2番手を走っていた#36 GR Supraと同タイミングでピットに向かう。チームにとっては初のピット作業だったが、ミスなく交代した坪井をコースに送り出すと、前を行く#8 NSX-GTに狙いを定めていく。

 そんななか、36周目にGT300クラスの#360 GT-Rが接触によりスピンを喫し、13コーナーのコース中央でストップを喫してしまったため、セーフティカーが導入される。好フィーリングの坪井にとって、前とのギャップが詰まるのはチャンスだ。

 43周目のリスタート後、まずは#8 NSX-GTをTGRコーナーでオーバーテイク。坪井は5番手に浮上する。さらに今度は、前を行くZENT GR Supra、さらに#100 NSX-GTも接近し、三つ巴のバトルとなっていく。勢いに乗る坪井は、48周目のパナソニックコーナーでZENT GR Supraのインを突くと、続く49周目のTGRコーナーで4番手に順位を上げた。

 さらに坪井は、今度は3番手の#100 NSX-GTに狙いを定めると、51周目のストレートで#100 NSX-GT、ZENT GR Supraとのバトルに持ち込み、ふたたびTGRコーナーで#100 NSX-GTをパス! これで表彰台圏内に浮上した。

 猛烈な追い上げをみせる坪井は、今度は2番手の#36 GR Supraにも接近していき、チャンスをうかがうが、最後は仕留めきれず、そのままチェッカーを受けた。とはいえ、TGR TEAM WAKO’S ROOKIEにとって最初のレースで、まずは嬉しい3位表彰台だ。予選結果を考えれば会心のレースと言える。チームスタッフはみな、安堵の笑顔で開幕戦を締めくくった。

WAKO'S 4CR GR Supra
WAKO’S 4CR GR Supra

ドライバー/大嶋和也
「公式予選ではQ1を突破できませんでしたが、予選がドライではない……と踏んでタイヤを使ってしまっていたので、坪井選手には申し訳ないことをしてしまいましたね。でも、クルマが悪い状態ではないのは分かっていましたし、決勝に向けて切り替えて挑みました。レースではやっぱりスピードもありましたし、表彰台には届くことができたので良かったと思います。とはいえ、優勝するにはクルマでも戦略の面でも足りない部分があったと思います。チーム最初のレースで表彰台をとれたのは素直に嬉しいですし、関係者からも祝福のメッセージがいっぱい届いています。どうせなら優勝が良かったですが、今後もっと強くなりながら、優勝目指してがんばっていきたいですね」

ドライバー/坪井翔
「公式予選ではどのタイヤを選ぶのかすごく迷ったのですが、結果的に一度アタックをしていたタイヤを選ばざるを得ず、厳しい状況でしたが、なんとかQ1を通ればポールポジションに繋げるチャンスがあると思いアタックしました。ただ、そこまで甘くはなく、自分でもなんとかできたと思う部分もあっただけに、悔しい予選になりました。僕たちは決勝の方がパフォーマンスがあると思い、切り替えて臨みましたが、大嶋選手も順位を上げてくれましたし、十分チャンスはあると思っていました。セーフティカーのタイミングもよく追い上げることができ、バトルにもうまく対処できましたし、3位まで上げることができました。2位を抜けなかったので悔しい部分もありますが、11番手スタートを考えれば上出来かな……と思っています。でも、まだ優勝の経験がないので、早く表彰台の頂点に立ちたいですね」

高木虎之介監督
「公式予選では一発のタイムが出せませんでしたね。あれでグリッドが良ければもっといい結果に繋げられるとは思いましたが、決勝レースは温度も上がりましたし、自信があっただけに不安はありませんでした。予選11番手から表彰台で終わることができたので、良かったのではないでしょうか。今回GR Supra勢のなかではタイヤの種類もバラバラだったので、3週間後の次戦に合わせたタイヤをしっかり選び、次戦に向けて予選でももっと上位にできるようにしたいですし、そうすればレースでもさらに上位にいけるのではないかと思っています」

WAKO'S 4CR GR Supraの大嶋和也と坪井翔
WAKO’S 4CR GR Supraの大嶋和也と坪井翔


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