TGR TEAM SARD 2020スーパーGT第1戦富士 レースレポート

2020スーパーGT第1戦『FUJI GT 300km RACE』(7/18~19)富士スピードウェイ(1周4.563km)

 7月19日(日)、待ちに待った2020年シーズン開幕となるスーパーGT第1戦『たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE』の決勝が行われ、6番グリッドからの逆襲を目指していったDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、1周目にセーフティカー(SC)導入の波乱の幕開けとなったなかで、スタートを担当した中山雄一が序盤から思うようにペースを上げられず奮闘、26周を終えてピットインし、素早いピットワークで送り出すと山下健太が前走車を猛追。

終盤に入ると55周目に6位浮上、そこからさらにペースを上げて63周目に5番手にポジションアップ。4番手との差も詰めつつあったがチェッカーに。脇阪寿一監督率いる新生TGR TEAM SARDはヘイキを欠くなかで、悔しさが残るも健闘の5位フィニッシュを果たした。

 また同時にハイレベルの戦いのピリピリとした緊張感のなかに身を置いてレースができることの有り難さに感謝する開幕戦となった。ドライバーポイントは6点、チームポイントは9点の獲得でランキング5位に。引き続き無観客で行われることとなった次戦は、8月8日(土)、9日(日)に富士スピードウェイで第2戦として開催される。

■事前情報

 待ちに待った2020年シーズンが開幕。新型コロナウイルス感染拡大の影響で約3カ月遅れ、海外戦中止を含む年間スケジュールも大きく変更されたなか、様々な感染対策を講じての無観客での開催となる。

 TGR TEAM SARDも当初の第1ドライバー登録のヘイキ・コバライネンが今だに入国制限を受け、第1ドライバーに中山雄一、第2ドライバーに山下健太を緊急登録。しかしながら先日行われたGTA公式テスト富士でDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、総合4番手タイムをマークするなど、新体制が前に進み始めている。チームが機能し始め、速さが安定してくれば一気に流れに乗っていけそうな手応えとなっている。

 開幕戦の舞台は、『たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE』(富士スピードウェイ)。7月18日(土)午後に公式練習、19日(日)午前にノックアウト方式(Q1、Q2)の公式予選で、午後の決勝は約2時間の300kmで争われる。ドライバー交代を伴うピットストップは1回が義務付けで、ウエイトハンディは0kg。

 コースは、1.5kmにおよびロングストレートと迫力の1コーナーでの先陣争い、続く各コーナーでの高速バトルなどバラエティに富んだコースで歴史的にも幾多の名場面が生まれてきており、特異な年の開幕スタートで何が起こるか分からないドラマの幕開けが予想される。

 チームは、ヘイキ・コバライネンが不在という困難な状況での開幕を迎えるが、力強く頼もしい助っ人を擁してスタートダッシュを決めるべく、脇阪寿一監督のもと勇猛果敢に新体制の初陣での勝利を狙っていった。

■公式練習走行

 18日(土)午後に設定された公式練習走行は濃霧のため約1時間半遅れて17時15分から開始。翌日の公式予選も30分以上遅れた場合、この公式練習走行の順位でグリットが決まるとあって走行プランや持ち込みタイヤの使い方など通常とは違うオペレーションに。

 雲が低く垂れ込めるなか、気温20度/路面温度22度のコンディションで90分間の混走セッションが開始された。開始直後は所々ウエットな路面状況だったため、翌日を見据え、いくつかのドライタイヤのベディング(皮むき)を中山が実施。

 その後、夕方で暗くなり路気温も低く、なかなかタイヤが温まらない状況でハード系ドライタイヤを装着してタイヤ評価を11周実施。続いてソフト系タイヤを装着して8周を走行し4番手タイムに。25周目から山下がソフト系ユーズドタイヤのフィーリングを11周にわたって確認。

 混走セッションは中山がマークした1分28秒486の4番手となった。10分間のGT500単独セッションでは、山下がアタックシミュレーションを実施し、1分27秒370の3番手のタイムとなった。公式練習走行ではトータル42周を走行。まずまずの手応えで、明日の公式予選に向けて更なる速さを求めてクルマのデータを分析していくこととなった。

2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太)
2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太)

■公式予選

■Q1:山下が前走車に詰まる不運も7位でQ2進出を決める

 19日(日)午前中に公式予選、午後に決勝という変則1デイ設定での、午前中10時03分のQ1開始時点では気温23度/路面温度34度の曇り空。開始から残り9分ほどでコースインしたファーストアタッカーの山下。

 午後はいっそう暑くなるという天気予報を考慮してハード系タイヤを装着して丁寧にタイヤに熱を入れていく。次第にペースを上げて5周目にアタックに入ったが前走車に詰まる恐れがあったため次の周にアタックを開始。

 セクター1で自己ベストからコンマ2秒遅れてしまったが、セクター2で26秒台とトップレベルの区間タイムを叩き出す。コース後半も全開で攻めていく山下。セクター3もトップレベルの区間タイムで見事に最終ラップでQ2進出を決めた。

■Q2:中山がひとつ順位を上げ6番グリッドを獲得

 Q2開始時点では気温24度/路面温度34度に上昇。開始から残り9分ほどでコースインした中山。おなじくハード系タイヤを装着して入念にタイヤを温めていく。

 6周目にアタックに入ったセクター1で21秒台と期待がかかるタイムを刻む。セクター2でアンダー傾向で若干タイムをロスするも自己ベストをマーク。セクター3を無難にまとめて、Q1の順位を1つ上げる3列目外側の6番グリッドを獲得した。

 だが、まだタイムに伸びしろがある様子で、若干クルマのフィーリングに変化を感じており、要因を探ることとなった。午後の決勝までに走行データの確認やコンディションに合わせたタイヤ圧の調整確認などを行うこととなった。

2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太)
2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太)

■決勝
■ウォームアップ走行

 19日(日)13時40分から開始されたスタート前20分間のウォームアップ走行は、雲が多かったが晴れ間もあり気温26度/路面温度39度のコンディション。スタート担当の中山が決勝スタートタイヤと同スペックの11周走行したハード系タイヤを装着してロングランを実施。

 タイヤフィーリングやクルマの決勝セットの確認が中心となった。1分29秒~30秒台のペースで周回を重ね、ウォームアップ走行は14周を走行。1分29秒967の10番手タイムとなった。

■決勝レース

第1スティント:中山が序盤、ペースを上げられずに奮闘

 19日(日)15時決勝スタート時点は気温26度/路面温度39度の晴れのコンディションのなか、6番グリッドからの逆襲を目指していったDENSO KOBELCO SARD GR Supraは、スタート直後の1コーナー出口でポジション取りからうまく立ち上がりのトラクションをかけられずに16号車の先行を許すも100Rのアクシデント発生で、その1周目にセーフティカー(SC)導入の波乱の幕開けとなった。

 再スタートで5位を争うダンゴ状態となったが、思うようにペースを上げられずに苦しむ状況で奮闘。クルマのフィーリングにも違和感を感じている様子で、頑張って踏ん張ってきたペースもドライバー交替が許される22周を超えた頃からタイム的に鈍ってきたことから脇阪寿一監督が直ぐさま動き、26周を終え中山をピットに呼び戻した。

第2スティント:山下が健闘みせる5位フィニッシュ

 素早いピットワークで送り出すと山下が前走車を猛追。中山とおなじくクルマのフィーリングの変化を感じている様子で本来のペースに上げられない状況であったが、37周目に2回目のSC導入があり、前とのギャップが無くなる幸運。

 42周目にSC退去となると、前を追いかけ55周目に8号車をストレートでパスして6番手浮上、そこからさらにペースを上げた山下は、63周目に100号車を1コーナーでオーバテイクして5番手にポジションアップ。4番手の38号車との差も詰めつつあったがチェッカーに。

 脇阪寿一監督率いる新生TGR TEAM SARDの初陣はヘイキを欠くなかで、予選も含めまだまだやれたはず、という悔しさが残るも健闘の5位フィニッシュを果たした。また同時にハイレベルの戦いのピリピリとした緊張感のなかに身を置いてレースができることの有り難さに感謝する開幕戦となった。

 ドライバーポイントは6点、チームポイントは9点の獲得でランキング5位となった。引き続き無観客で行われることとなった次戦は、8月8日(土)、9日(日)に富士スピードウェイで第2戦として開催される。

2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太)
2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太)

■中山雄一

「レースのできる喜びを感じることができた開幕でした。ヘイキさんが来られずに山下選手に助けてもらいながらの開幕戦。脇阪新監督のもと、チーム全体や個人個人のやるべきこと、目標が明確であり、責任感があり、コミュニケーションもしっかりとれていて、モチベーションも上がりました」

「新しい体制のチームでの初戦。まだ色々と課題はありますが、思いっきり久々のレースを楽しめましたし、これからのチームの成長が楽しみです。自分自身の走りに反省点がありましたが、これからデータなどしっかり見ながら、次の走りに活かしたいと思います」

「ファンやスポンサーのみなさまの画面の前からの応援に感謝いたします。サーキットにも熱気が届きました。ありがとうございました!」

■山下健太

「このたびの乗車機会を頂きトヨタ/TRDさん、関係各位、脇阪監督始めチームの皆様に感謝いたします。久々のGTレースで新しいGR Supraのドライブも楽しくできました。この状況下で、レースをできることにも感謝です」

「ただ自分としては予選、決勝と悔しい内容と結果でした。まだまだ速く走れる要因はあったのですが、ひとつひとつの事を合流したばかりのチームに分かる様に伝え、それを実行してもらうことの難しさがありました」

「これはこれからの海外でのドライブ機会でも大切な事なので良い経験にもなりました。次回また走れる機会があったらライバル勢には借りを返したいと思います!」

■監督 脇阪寿一

「まずはGR Supraのデビュー戦ポール・トウ・ウインで1位から5位独占の達成と非常に素晴らしい結果で、我々もその一角を担えたことに安堵しています。新生チームとして精一杯戦いましたが、ギリギリの戦いのなかでは経験不足が露呈してドライバーには難しい予選・決勝をさせてしまい申し訳なかったです」

「助っ人として参加したヤマケン(山下健太)には要所要所で助けてもらい感謝です。流石でした。順位以上に悔しい結果でしたが、次への糧にして絶対成長します。皆様に一層応援していただけるように頑張って行きますので、引き続きご
支援ご声援のほどお願い申し上げます!」

「最後に、Supraすごいです。平川亮、ニック・キャシディ、トムスの皆さん、TGRの皆さん、TCDの皆さん、ブリヂストンの皆さん、そして、スープラファンの皆さん、おめでとうございました!!」

2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太/脇阪寿一監督)
2020年スーパーGT第1戦富士 DENSO KOBELCO SARD GR Supra(中山雄一/山下健太/脇阪寿一監督)


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