Max Racing
レース結果報告書
2020 SUPER GT
Rd.1
富士スピードウェイ
日時 2020年7月18-19日
車両名 たかのこの湯 RC-F GT3
場所 富士スピードウェイ
ゼッケン 244
監督 田中哲也
ドライバー 久保凛太郎/三宅淳詞
チーム MaxRacing
リザルト 予選23位/決勝 16位
熱血哲也監督がいく。 GTルーキーチームと若手ドライバーの成長物語
ようやく待ちに待った開幕戦です。「AUTOBACS SUPER GT Round1 たかのこのホテル FUJI GT 300km RACE」が7月18〜19日富士スピードウェイで開催されました。
今シーズンより SUPER GTへと戦いの場を拡げた我々 Max Racingも、この時を待ち望んでいました。車両は昨年のスーパー耐久を戦ったレクサス RC F GT3を継続使用し、メンテナンスはつちやエンジニアリングにRS中春がジョイントして担当します。ドライバーは1年ぶりのSUPER GT復帰となる久保凛太郎と、昨年 FIA F4シリーズ2位の三宅淳詞です。三宅はこれがSUPER GT初参戦でツーリングカーレースも未経験の21歳。久保は26歳と若いコンビでGT300クラスを戦います。
チーム監督はチームオーナーGo Maxの師匠でもある田中哲也。JTCCや SUPER GT GT500の参戦経験豊富であり、GT300ではシリーズ2位を記録。スーパー耐久では5回のチャンピオンを獲得しています。F1への登竜門として名高い鈴鹿レーシングスクールSRS-Fの講師も務めており、ドライバー育成の経験も豊富です。その哲也監督の目線で Max Racingの新たな挑戦、GT300の世界を1シーズンにわたりレポートしていきます。
「最初からネガティブなことを言うようですけど、『最初からチャンピオンを目指します、勝ちます』という最高のものを揃えた体制ではありません。クルマも 2シーズン、スーパー耐久を走っていたクルマですし、ドライバーも経験の浅い若手。新興チームとドライバーがいっしょになって伸びてくことを目指しており、その過程を大事にしたいと考えています。
そのドライバー若手ふたりもここまで順風満帆できたわけではありません。久保は速さがあっても、飛び抜けた成績が残っていないですし、三宅は F4でシリーズ2位になりながらメーカーの育成枠からは外れてしまいました。苦労しながらも『負けないぞ』と頑張る若者を応援して、いっしょにレースを楽しもうとするチームオーナー Go Maxさんの意向もあり、体制は決まりました。しかし Go Maxさん自身がフェラーリチャレンジで上位を争うような実力のドライバーなのでGT300にもいつかは出たいという気持ちがあります。だからドライバーには『チンタラしているとシートをなくすよ』と活を入れています(笑)」(哲也監督)
さて、今回の第1戦は変則のワンデイスケジュールで土曜の夕方に公式練習。日曜朝に予選、そして午後に決勝が開催されました。公式練習では25位。2グループ分けされた予選Q1ではBグループ 15台中12位で、Q2に進出できる8台の枠には入ることができませんでした。アタックを担当した凛太郎のコメントを聞いてみましょう。
「昨日(の公式練習で)は、クルマ側でいろいろトライをしたのが全部裏目に出てしまいました。公式テスト富士の状態にすべて戻して走り出したので、予選では公式練習とはクルマの動きが全く違っていて正直、ボクがいき切れていませんでした。そこはドライバーとして反省です。でもRC Fは決勝でいいと思うので、他の RC Fに負けないように頑張りたいと思います」
土曜の公式練習は霧と低温でグリップの低いコンディション。一転して日曜朝は天気予報を覆して晴れとなり、路面温度も上がり一気に路面状況も改善するなか予選が行なわれ、合わせ込むのが非常に難しい状況でした。ルーキーチームには試練となりました。
コンビを組む三宅はこれがSUPER GT初レースであり、スプリントレースの経験しかありません。「僕自身、フォーミュラーで短いレースしかしてきていないんで、こんな長いレースは初めてです。GT500との駆け引きなど勉強して、今シーズンのあとにつなげられるようなレースにしたいです」。経験のある凛太郎がスタートドライバーを務めて、三宅が後半スティントを担当します。
GT300クラス23番手グリッドで迎えた決勝もドライコンディション。日差しがさらに路面熱し路面温度は 39度に上昇します。フォーメーションラップからローリングでスタートが切られたものの、 GT500にアクシデントが発生して1周目からセーフティカーランとなりました。5周目にグリーンランプが灯り、リスタートが切られると凛太郎は2ポジションアップ。さらに兄弟チームのHOPPYポルシェを抜き、10周目には18位。早めにピットインするライバルも多く、ピットインした 25周目には13番手となっていました。
「僕はあんまり記憶がないタイプで(笑)、覚えていないですけどリスタートでなんか抜きましたね。 HOPPYの前に出て、もうちょっと前を追いかけようというタイミングからリヤタイヤがオーバーヒート気味になってきてペース上がらなくなってガマンしていたんですけど、ちょっと予定より早いタイミングでピットインという感じでした」(凛太郎)。
凛太郎から交代した三宅はコンスタントにラップタイムを刻んでいましたが、ラップダウンになったタイミングで不運に再びセーフティカーが介入して、前車に対して 1周差がついてしまいバトルの持ち込むチャンスは消えてしまいました。トップ争いの群れに入った三宅に対して哲也監督は「菅波(冬吾 65号車ドライバー)にしても、川合(孝汰 52号車ドライバー)にしてもF4のときにお前が勝っていた相手だろう、クルマで負けても離されるな」と無線を通じて檄を飛ばしていました。道具で劣っている状況でもそこで全力を出し切っていればチャンスは巡ってくる……。それは哲也監督自身の経験からくる叱咤激励の言葉でした。
三宅はレース後、「バトルはなかったですけど、トップの後ろで走ることでどこが遅いのか、反省点、問題点がわかりました。前半は1分39秒台で走っていましたけど後半はタレて1分40秒前半くらいになっていたので、タイヤを守れるような走り方も勉強しなければいけないなと思いました。次は予選からいきます!」と SUPER GTデビューレースにおける担当スティントを振り返りました。
Max Racingの SUPER GTデビューレースは16位完走でした。このレースを哲也監督が総括します。
「決勝だけのことを語らせてもらうと、チーム全体、ノーミスで完走しようと話をしていたので目標をクリアできました。その点では満足です。凛太郎も順位を上げて帰ってきてくれましたし、三宅もセーフティカー出たときに、ちょうど GT300のトップの後ろになってしまい、そこで勝負は決まりましたけど、トップ争いをそこでみることができた。それに GT500の処理もうまくやってくれていました。いい経験を積むことができました。
1回しっかりレースができれば、次のレースに不安なく臨めますし、条件がそろったらその時、思い切りいこうと言うこともできます。たとえば今回、攻めてぶつかっていたら、そこから悪循環になってしまうこともあります。
あまりテストが充分にできなくて、貴重なテストも天候に恵まれず、ロング(ラン)もちゃんとできていない厳しい条件で、メカニックもドライバーも、今やらなければいけないことをすごくわきまえてやってくれたと思います。次のレースに向けてインターバルも短いので、大きなことは難しいですが、チームとしてもできる限りのことをして臨もうと思います。運転手にもコンマ 1秒でも削って、まずはライバルの RC Fを1台でも食うことをターゲットにやれること、やるべきことを見つけてほしいですね」
熱血哲也監督と凛太郎、三宅の挑戦は続きます。
from Max Racing 2020スーパーGT第1戦富士 レースレポート
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