2020年スーパーGT開幕戦富士スピードウェイでの決勝を終え、GT500クラスでポール・トゥ・ウインを達成したKeePer TOM’S GR Supraの平川亮とニック・キャシディが、GRスープラのデビュー戦をふり返るとともに、同じく3週間後に富士で開催される第2戦への展望を語った。
ニック・キャシディ
「とてもハッピーだよ、今日は僕らにとって完璧な1日になった。朝の予選でポールポジションを獲得し、決勝ではファステストも記録してのポール・トゥ・ウインだからね。決勝ではセーフティカーが2度も出てきて、僕らが築いたリードが失われてしまう場面もあったけれど、リョウが素晴らしいドライビングでこらえてくれて、こうして勝つことができた。マシン開発を主導したTCDやトヨタ、トムスの素晴らしい仕事に感謝を言いたい。全員のオフシーズンの努力がこの結果に繋がったんだ」
「ここがスタートだし、この結果をキープするのが重要になる。それはとても大変な仕事だ。次のレースではウエイトも載ってくるし、それを乗り越えて結果を出していきたいと思っている。個人的には、昨年からスーパーGTで3戦連続の優勝だ(スーパーGT×DTM特別交流戦含む)。僕自身も信じられないような結果だし、こんなことがあるなんてね。とてもうれしく思うよ」
「そしてGT300クラスで勝ったGRスープラのみんなにもおめでとうを言いたい。デビュー戦で勝てたのも素晴らしいが、実は僕たち3人(吉田広樹と川合孝汰)はここ数週間、一緒にカートでトレーニングを積んできた仲でもあるんだ。彼らはカーターとしても素晴らしいドライビングを見せていたし、僕はついていくのも大変なぐらいだった(笑)。本当に多くを学ばせてもらったよ」
平川亮
「まずは優勝できてすごくうれしいです。去年からGRスープラの開発にも携わってきて、TRDやブリヂストンさんと一緒にたくさん苦労をしてクルマを作り上げてきましたし、それがこういう形で実って本当に良かったと思います。でもまだ始まったばかりですし、次も富士でのレース。ウエイトも載ることでまたツラくなると思います。今回は優勝できましたが課題も見えています。GRスープラもまだ1戦目ですし、今後も速いクルマに仕上げていきたいと思います」
──予選まではNSX-GTと互角のように見えましたが、レースでGRスープラが圧倒したのは何か要因があるんでしょうか?
平川亮
「一番はタイヤ選択だと思います。上位にいたNSXはみんなブリヂストンタイヤで、どのタイヤ(コンパウンド)を履いているかはわかっていました。今日は暑くなりましたし『厳しくなるな』とは予想していました。スタートして最初の2~3周だけ踏ん張れれば、あとは引き離せると思ったので、そこはあまり心配していなかったです。でも最後にスープラが並んで走っているときは、周りもみんな同じ条件だったので、そこはしっかり集中して首位を守り切ったような感じです」
ニック・キャシディ
「僕もほとんど同じ意見だ。ただ、NSXの存在は僕らにとって脅威だ。かなり強力なマシンを持ってきているし、今日は本当にタイヤチョイスの面が大きかったと思う。それによって僕らは今日、結果的に有利になったと思うけれど、今後も僕らとNSXのバトルは続くと思う。まだまだプッシュしなくてはいけないね」
■トップ走行中に2度のセーフティカー。その時の心境は?
──2度目のSCが出た時の心境と、その後の36号車とのバトルの状況は?
平川亮
「セーフティカーが出たときはギャップが20秒以上ありましたし、後ろともどんどん離れていく状況だったので、もちろん『マジか』とは思いました。でも300などでトラブルの出ているクルマもあちこちに居ましたし、このまま終わる感じもしていなかったので『何か起きるだろうな』とは考えていました。逆に20秒以上ギャップがあったら集中できなかったかもしれないです。36とのバトルはなぜか僕の方がツイてたのか、300との絡みが少なくて36の方が苦しんでる感じはあった。そこは落ち着いて処理をしてたので、あまり『抜かれるかな』という心配はなくて。逆に『こっちが失敗しなきゃ大丈夫』と思っていました。ピュアなペースはこちらの方が速いので、そこは自信持って行っていました」
──無観客だったことは何か影響したか?
ニック・キャシディ
「やはりファンがいないのは不思議な感じだよね。このスーパーGTはファンあってのものだと思うし、出来るだけ早くファンのみんなの前で走ることが、僕らや僕個人の願いだ。もちろん、今の状況下ではこの判断がベストだとは思っているし、決断を尊重している。ファンの盛り上がりの前で走るのは最高だし、それがベストだけど……強いて言えば、週末の約束事が減るせいでチームとの時間が増え、レースに向けより相談する時間が増えるのはいいことかもね」
平川亮
「雰囲気がシンとしてて違和感がありますし、そのせいなのか喜びの湧き方もいつもより少ない気がします。(実況の)ピエールさんはすごく盛り上げてくれてるんですけど、ファンの方がいた方が良いし、走っていても応援の旗が見えなかったり人の姿が見えないと、なんか違うなと思います。あとは富士だとフラッグの揺れ方や方向で風向きを判断したりしますし、一刻も早く状況が落ち着いて、いつもどおりのみなさんがいるなかでのレースができればいいなと思います」
──3週間後、再び富士の第2戦に向けて。
ニック・キャシディ
「僕らは40kgも積むから、ステイホームかな(笑)。真面目に言えば、リョウがトップチェッカーを受けてインラップでピットへ戻ってくる間に、僕はエンジニアと次のレースの話をしていたよ。重りを積むし『タイヤ選択はどうしようか』とかね。そういうモチベーションが湧いた。もちろん、今回は僕らのスープラがワン・ツーを決めて素晴らしい結果になったけど、まだまだ改善を続ける必要がある」
「本当、ウエイトなしで富士スピードウェイを走るのは最高なんだ、昨年のDTMとのレースもそうだった。大体、いつも富士に来る頃にはウエイトが満載の状態になっていて、本来のマシンパフォーマンスが発揮できない状況なんだ。死ぬほど頑張って『2位で良かった』とかね。それに条件の違う、他の軽いマシンと同列で比べられたり。でも今回は全車ノーウエイトで実力差を示たから良かったよ」
平川亮
「先ほどと重なりますが、まだスープラで1戦しか戦ってなくて、クルマにはまだポテンシャルがあると思うのでそこを磨いていきたい。次は40kgも載ってかなり厳しい戦いになるとは思いますけど、去年はああいう形でチャンピオンを逃して、その分だけ僕らも強くなれたと思ってるので、それを第2戦の重たい状況で発揮できたらな、と思います」
from 決勝でライバルを圧倒したKeePer GRスープラ「本当にタイヤ選択の面が大きかった」/スーパーGT第1戦 GT500優勝会見
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