スーパーGT:路温、コンディション……。不順な天候で公式練習だけでは予想もつかないGT300

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により、延びに延びた2020年のスーパーGT開幕。いよいよ7月18日に第1戦富士の公式練習がスタートしたが、その幕開けは予想外の霧によって大幅にディレイしてのスタートとなった。GT300クラスでは、ひさびさのスーパーGT復帰となる柳田真孝駆るシンティアム・アップル・ロータスが1分36秒719というトップタイムをマーク。その実力をみせたが、まだまだ混沌としており決勝までの展開は予想がつかない。

 今季のGT300クラスは、ニューマシンの登場やミシュランタイヤの参入など新たな要素が加わっているが、この日行われた公式練習の結果を見ると、柳田がマークした1分36秒719が首位とは言え、16番手のStudie BMW M6までが1秒差圏内。ほぼ全車が、日曜午前の予選が雨で中止になった場合、この公式練習の順位がグリッドに採用されることもあり、終盤にアタックをこなしたが「なぜこのマシンがこの位置?」という順位のマシンも多く、混沌としている。

 この日は午前中こそ雨模様だったものの、昼前に雨は上がり晴れ間も出て、路面はドライコンディションに転じた。とはいえ公式練習直前に出た霧の影響もあり、トヨペット100Rコーナーなど、わずかに濡れている部分もあった。また6月27〜28日に行われた公式テストよりも、路面温度は低くなっていた。

 そのため、事前に天気予報を見て合わせ込みはしていたものの、想定していたタイヤの温度レンジを外してしまっていたり、持ち込みのセットアップが悪い方向に行ってしまっていたチームも何チームかいた様子だ。特に、本来であれば土曜午前に行われた公式練習で方向をつかみ、その修正を行って予選に臨むのが通常なのに、この日は“いきなりアタック(日曜午前に予選があることを願いたいが)”になってしまったのが混沌に繋がったと言えるだろう。

 また上位陣も安穏とはしていられない。「たまたま先にアタックしたのが繋がっただけですよ」とトップタイムの柳田は言う。

「もちろん、セッティングなどを変えてきたことがタイムには出ていますが、決勝はおそらく厳しいはずで、ぜんぜん喜べないです。もし決勝でもトップにいたら『柳田がんばった』って言ってください(笑)」

 特に、シンティアム・アップル・ロータスをはじめマザーシャシー勢は雨は本来苦手。またウエットになれば、この公式練習で上位に食い込んだマシンも、思わぬ苦戦を強いられる可能性がある。明日午前、予選があるかないかで勢力図は変わるはずだし、決勝でも今の天気予報だとウエット路面からドライアップしていくと言われている。波乱があるのは間違いないだろう。

 ちなみに、公式テストまでのウエットでのパフォーマンスは、昨年から変わらぬ強さをみせるのがブリヂストン勢。雨量にもよるがダンロップも速い。また、今季参入したミシュランもウエットはかなりパフォーマンスがありそうだ。そこにヨコハマ勢がどう進歩を遂げたのかも注目どころで、公式テストでは好タイムも出している。

 結局のところ、明日の予選/決勝では、マシンやタイヤの有利不利よりも、やはりチーム、そしてドライバーの即座の対応力、そして戦略力が問われることになりそうで、近年のGT300のレベルの高さを考えれば、まったく予想はつかない。それは数少ない取材(感染防止のため、昨年までのようにコメントをとりにまわることは実質不可能なのをご了承いただきたい)で話を聞いた相手も異口同音に語る。

 とはいえ新型コロナウイルスの影響でシーズンがどう変わろうとも、これこそがGT300の魅力だ。レースでもその魅力が楽しめるはずだ。

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