日本のモータースポーツファンの皆様、いかがお過ごしでしょうか。
皆さまにご好評いただいています【写真で振り返るGT進化の旅】企画。7月18~19日の開幕を前にちょっぴり昔を振り返り知識をつけておけば来たる開幕がより楽しく迎えられはず。
そこで今企画はJGTC時代 2003年(全日本GT選手権 03規定)から2013年頃(スーパーGT 09規定)までのメカものを振り返る企画になります。当時は自主規制でNGとした写真ももはや時効、バンバン出しちゃいます!
それでは世界に誇る『ニッポンGT進化の旅 2004年GT500フェアレディZ編』いってみましょう!
“ミスターK”片山豊さんであります。今回はフェアレディZを取り上げるという事で、フェアレディZの生みの親である片山さんに敬意を表し、2004年シーズン開幕戦を表敬訪問された際のお姿からスタートです。
車両を見てみましょう。ベースとなった特別仕様限定車であるタイプEなどの詳しい説明はこちらの大串さんの記事に譲るとしますが、何故かあまりそそられません。しかしながらGT500のBNR34型スカイラインGT-RとR35型GT-Rの橋渡しをした大事な車両です。細部を見ていきましょう。
エンジンルームです。エンジンは2003年シーズンと同様、VQ30DETT型3リッターV6ツインターボ。インタークーラーからサージタンクへの配管がドライカーボン化され、前方中央にはパワステクーラーが設置されています。
第5戦からサージタンクを大型化(通称:マンボウくん)。それに伴う設計変更からかパイピングは金属製に変更されています。また両側のタイヤハウス後方にダクト状のデバイスを設置。パワステクーラーから出る空気の排出用なのか、エンジンルームのエアアウトレットなのか、今ではもう分かりません……。
ちょっとピンボケですがこちらの写真も見てみましょう。どちらかの空気を利用しようとしている事は読み取れます。なおこの2004年からGT500フェアレディZ勢はサスペンションに“ザックス”を採用。それまで常識だった別タンク式から一体式となり軽量、コンパクト化を実現。
リアハッチ内部をちょっとだけ。サードダンパーが見えます。当時の記述では“足廻りは2003年シーズンのスカイラインGT-Rからほぼ移植”と書いてありますが、当時の広報写真を見るとサスペンションの取付位置も2003年のスカイラインGT-Rと異なるのでほぼ新設計と考えていいのでしょう。
室内も見てみましょう。第3戦マレーシアでの写真ゆえ、そこらじゅうにダクトが追加されています。またロールケージの接合方法もこの写真を見る限りではシンプル。
ペダルです。今では共通部品のペダルですが当時は3メーカーがオリジナルで設計。
フロントバンパーを外した姿です。フロントエアインテークを仕切りによって細分化し役割分担をさせる構造、2003年のGT500ホンダNSXのオマージュらしきフロントアンダーにある2枚のスプリッターなどが目を引きます。また牽引フックが装着されるロールケージ状のパイプも気になります。
フロントバンパーを外した姿の側面です。ワイヤーがぶら下がっている斜めの部分の内部にインタークーラーが設置されます。タイプEの恩恵でしょう、ヘッドライトから先がかなり延長されています。フロントアンダーはさらにここから延長されます。ただ延長されたゆえに車体の姿勢変化には敏感な車だったそう。
フロントアップライト、ブレーキを見ます。ニッサンはJTCC全日本ツーリングカー選手権時代からAPレーシングと共にブレーキを開発。GT500フェアレディZでもその知見、開発能力は生かされたそう。アップライト奥には大きめのフロントアップスイーブが見えます。
『ニッポンGT進化の旅 2004年GT500フェアレディZ編』いかがだったでしょうか。主要コンポーネンツを前年から引き継ぎつつも、新たな車体に組み込みブラッシュアップされていく様子が読み取れました。
GT500フェアレディZ勢はこの2004年に7戦中4勝を挙げ、ザナヴィ・ニスモZ(本山哲/リチャード・ライアン)がドライバーズタイトルを、そしてニスモがチームタイトルを獲得します。
しかしながら翌2005年からライバル勢の猛追により失速気味となり2008年のGT500 R35型GT-R復活まで厳しいシーズンを過ごす事になります。
私の中ではGT500のフェアレディZはそういう印象です。ただこの先、再びGT500にZが復活する時が来るかもしれません。
またその時には速く、強く、勝つフェアレディZを期待したいと思います。
from 【秘蔵私的写真で振り返るGT進化の旅/第6回】 2004年GT500フェアレディZ
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