6月27~28日、富士スピードウェイで開催されたスーパーGT富士公式テスト。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、2020年のカレンダーは大幅に変更され、3月の岡山公式テスト以来となるスーパーGTマシンの走行となったが、そんななか今季年間エントリーしているドライバーのうち、複数の外国人ドライバーの来日が叶わず、テストに参加することができなかった。Audi Team Hitotsuyamaのクリストファー・ミースもそのひとりだ。
2020年、スーパーGT GT300クラスに参戦するAudi Team Hitotsuyamaは、そのカラーリングだけでなく、大きく体制を変更した。新たにマシンメンテナンスをチームルマンが担当し、アウディを良く知り、速さをみせる川端伸太朗、そしてエースとしてアウディファクトリードライバーのミースを迎えることになったのだ。
アウディワークスとして数多くのレースで結果を残してきたミースは、スーパーGT参戦に向け、3月の岡山で初の公式テスト参加を果たしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、他の外国人ドライバー同様、各国の渡航禁止制限のために足止めされ富士公式テストには参加できず、歯がゆい思いをしていたに違いない。
一方で、先日、ドイツのGT3選手権であるADAC GTマスターズにシリーズ参戦することも発表されたばかり。現在はドイツ国内や、国境が解放された欧州諸国でのテストに参加している状況だが、ミースに今の状況、スーパーGTへの思いを聞いた。
■「一日も早く日本へ渡航できる日がくるように」
──ドイツでは他の欧州諸国同様に、新型コロナウイルス禍のなか、外出自粛令が長らく出されていましたが、その期間はどう過ごしていましたか?
クリストファー・ミース(以下CM):ウイルス感染拡大防止のために、自宅待機の時間が増えたね。多くのスポーツに取り組んだり、フィットネストレーニングを自主的に行っていたよ。通常ならばそれらの準備は11~12月に集中していたんだ。1月からは本格的にテストに参加したり、デイトナ24時間やドバイ24時間に参戦しているからね。でも今年は、たとえばロードバイクなら、この自粛期間で4,000㎞以上を走破したよ! 2019年と比べて多忙にしているはずの期間に時間が空いたからね。プロのレーシングドライバーとしてのリズムが崩れないように、ハードにトレーニングを継続し、いつでもテストやレースに集中できる環境を継続すべきだと考えていたからだ。そのおかげもあって、減量にも成功したよ。あとは外出や接触制限が解除された後は、友人や家族との時間を大切にしてきた。
──本来であれば、スーパーGT富士公式テストに参加したいところでした。いまのあなたが置かれた状況はいかがでしょうか?
CM:現在、ドイツ人である僕も含めて、基本的に世界129ヶ国からの来日が禁止されている。だから現段階では日本を訪れることができない状況にあるんだ。だから日本政府の海外からの受け入れ状況を毎日のようにチェックし、一日も早く日本へ渡航できる日がくるように強く願いながら、我慢強く待っている状態だ。
──今季のスーパーGTのカレンダーは富士、鈴鹿、もてぎの3コースで開催されることになりました。すでにこの中で走ったコースはありますか? また、どのサーキットが気になっていますか?
CM:今季の当初のカレンダーを見たときには、開催予定のサーキットをすべてチェックして、初めて走るであろうコースにとてもワクワク、ドキドキしていたんだ。特にスポーツランドSUGOやオートポリスのレイアウトには、すごく興味をそそられたね。新しいカレンダーでは、ツインリンクもてぎは初めてになるから、とても楽しみにしているよ。鈴鹿はすでに2018年と19年に、インターナショナルGTチャレンジ(鈴鹿10時間)で走った経験がある。また、富士は2014年にはGTアジアにジェフリー・リーと組んで、アブソリュート・レーシングから出場したんだ、レース1では4位、レース2では優勝をした思い出があるサーキットだ。その2014年に、富士を初めて訪れたんだけれど、壮大な富士山と、富士スピードウェイの施設に大感動したよ。
■「日本のファンと再会できるのを心待ちに」
──今年は世界中のレースが新型コロナウイルスの影響で、夏以降に集中して行われることになりました。あなたがエントリーしているADAC GTマスターズとスーパーGTでは2戦の日程が重なっており、また例年参戦しているスパ24時間もスーパーGTと同日開催です。現時点であなたの今季の予定を教えてください。
CM:基本的に現時点では、予定どおり両シリーズにそのままエントリーをする予定だ。しかし、これからシーズンが開幕し、両選手権でチャンピオンを狙っていくうえで、ポイントを獲得する状況などをみながら、どちらのシリーズでチャンピオンの可能性があり、重点を置くべきなのかは、アウディスポーツ・カスタマーレーシングと協議をしながら決めていくことになりそうだね。
──今季あなたがアウディファクトリードライバーとして、初めてスーパーGTにシリーズエントリーし、慣れない国で新たな挑戦をすることになりますが、日本での活動で何を期待していますか?
CM:一ツ山亮次代表率いるAudi Team Hitotsuyamaと、チームメイトの川端伸太朗とは、3月に岡山国際サーキットで開催されたテストで初めて正式に顔を合わせたんだけど、とても温かく迎えられた。僕がふだん仕事をともにしているヨーロッパのチームとは違った、日本式の仕事のスタイルにも興味をもったし、学ぶことは多いと感じている。彼らのプロフェッショナルな仕事ぶりと、新たな挑戦になるスーパーGTには非常に高い期待をしているんだ。そして、もちろん日本という国をもっと知りたいよね!
──ニュルブルクリンク24時間など、数多くのレースで活躍してきたミース選手に会えることを、日本のファンも大変期待をしながら待っていると思います。ファンのみなさんへのメッセージをお願いします。
CM:日本の熱狂的なファンの皆さんと、一日も早くサーキットで再会できる日を心待ちにしているんだ。今まで日本に行ったときには、ファンの皆さんはいつも礼儀正しく、フレンドリーに話しかけてくれたし、僕たちアウディドライバーを熱心に応援してくれていたからね。皆さんと接する時間をいつも楽しみにしているんだ。日本のモータースポーツファンは、ヨーロッパのどの国よりも熱心で情熱にあふれていると感じている。ドイツやヨーロッパのファンも日本のファンをお手本としてくれたら嬉しいと思うくらい、日本のファンは僕には特別で素晴らしい存在なんだ。
from スーパーGT:来日を待ち焦がれるアウディワークスのミース「ファンと再会したい」
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