2020年スーパーGT開幕戦・富士スピードウェイでのGT500クラス公式予選は、今季からTOYOTA GAZ00 Racing(TGR)として参戦する37号車KeePer TOM’S GR Supraが最上位タイムをマーク。FR化されたNSX-GTとの直接対決制し、GRスープラデビュー戦でポールポジションを獲得している。
日本列島を含め今も世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス(COVID-19)感染症の影響により、7月中旬まで延期された2020年シーズン。待望の開幕を迎えた18日(土)16時からの公式練習は濃霧のため1時間15分のディレイとなり、ドライバー、チーム、そして無観客開催のためスクリーンの前で見守る全国のファンにとって、最後の最後まで焦らされての今季初セッションとなった。
全国的に連続降雨日数の記録を更新するほど不安定な天候を受け、予報でも予選開始時刻の19日(日)午前9時30分には雨が予想されたことから、土曜の公式通知で「悪天候により公式予選開始時間が当初の予定より30分以上遅れた場合は、公式予選をキャンセルする。なお、その場合の決勝グリッドは、本日の公式練習で達成されたベストタイムを採用する場合がある」との決定がなされた。
そのため各陣営はライバルとの戦力直接比較の場に加え、予選キャンセルを睨んでの専有走行シミュレーションでは、本番さながらのタイムアタック合戦の様相を呈した。
そんな状況で速さを見せつけたのは、今季から投入されるFR化なったホンダNSX-GTで、こちらもブランニューモデルのGRスープラを3番手以下に押さえ込み、100号車RAYBRIG NSX-GT、8号車ARTA NSX-GTがワン・ツーの位置を占拠した。
一方、公式テストから不調が伝えられていたニッサン陣営は、3号車CRAFTSPORT MOTUL GT-Rの11番手を最上位に4台がトップ10圏外に沈む苦しい船出となり、ワンデイの予選セッションでトヨタvsホンダの構図に割って入り、どこまで巻き返せるのかが焦点となった。
■GT500クラス予選Q1 明暗分かれたニッサンGT-R陣営
午前8時時点で富士スピードウェイの周辺では降雨があったものの、大雨の予報に反してトラック上は曇り空で序々に晴れ間が見える展開。9時半からレインタイヤ選択可能なウエット宣言下で始まったGT300を経て、気温24℃、路面温度29℃という条件のなか、いよいよGT500クラス真剣勝負の幕が上がった。
10時3分のセッション開始でレコードライン上はドライ、ミシュランタイヤを履くMOTUL AUTECH GT-Rロニー・クインタレッリ、CRAFTSPORT MOTUL GT-R平手晃平を先頭に各車ウォームアップを進めると、1ラップほどピットで待機していた12号車カルソニック IMPUL GT-Rの平峰一貴が計測2周目の早い段階で1分28秒350をマークしてくる。
その他のマシンも計測4周目以降の本格的アタックラップへ突入すると、残り1分30秒の時点でこちらも待機組だったRAYBRIG NSX-GT、山本尚貴が計測3周目に一気に1分26秒937を記録してトップに躍り出る。
このターゲットタイムクリアは厳しいかと思われたその直後、ARTA NSX-GTでGT500にステップアップを果たした2019年GT300クラス王者の福住仁嶺が計測4周目に1分26秒433と悠々のレコードブレイクを果たし、セッション終了を待たずにNSX-GTがワン・ツー体制を固めていく。
一方、明暗分かれたのはGT-R勢で、3番手に飛び込んだCRAFTSPORT MOTUL GT-Rに対し、MOTUL AUTECH GT-Rはチェッカー時点で1分27秒435で8番手と、その時点でQ2進出カットラインの当落線上がやっと。
そしてそのわずかな望みを打ち砕いたのもNSX-GTで、最後の最後にアタックラップへと入っていったヨコハマタイヤ装着のRed Bull MOTUL MUGEN NSX-GTが1分27秒306のタイムで5番手に飛び込み、この時点で23号車はバンプアウト。いきなりGT500からのスーパーGTデビューとなった大物ルーキー、笹原右京は見事にQ2進出を決めてみせた。
一方、安定して290km/h台後半を記録する最高速を武器とするGRスープラ勢は、4番手ニック・キャシディのKeePer TOM’S GR Supraを皮切りに、38号車ZENT GR Supra、39号車DENSO KOBELCO SARD GR Supra、au TOM’S GR Supraの4台がQ2に進出。前日から苦戦が見受けられた新生14号車WAKO’S 4CR GR Supraは、残念ながら11番手に終わっている。
■GT500クラス予選Q2 スープラとNSXの直接対決
GT300クラスQ2を挟み10時41分から8台の勝負となったQ2は、au TOM’S GR Supraのサッシャ・フェネストラズがコースオープンと同時にコースイン。その後を『富士マイスター』の立川祐路がドライブする38号車ZENT GR Supraが続いていく。
そして本格的アタック合戦に入った計測4周目以降、先行してラップを重ねる36号車au TOM’S GR Supraが5周目に1分26秒794を記録し、100号車RAYBRIG NSX-GTの牧野任祐、8号車ARTA NSX-GT野尻智紀も4周目の計測で次々と1分26秒台に入れ、トップタイムを更新してくる。
しかし、その集団背後から1コーナー手前のスピードトラップ300km/h越えで迫ってきたのが37号車KeePer TOM’S GR Supraの平川 亮で、自身計測5周目に1分26秒550を叩き出し、NSX-GTの前に立ちはだかる。
続く周回も301.676km/h、セクター1で最速タイムを更新する勢いを見せていた平川だったが、チェッカーの6周目以降にライバルのタイム更新がないと判断するやアタックを止め、ノーウエイトでの勢力図を測る最初の舞台で2020年初ポールシッターの座を射止めた。
2番手ARTA NSX-GT野尻、3番手au TOM’S GR Supraサッシャ・フェネストラズ、そして4番手100号車RAYBRIG NSX-GT牧野と、GRスープラ対NSX-GTの対決構図がより鮮明となった公式予選。19日午後15時からは、いよいよ2020年スーパーGT最初の66周、300kmのバトルが繰り広げられる。
from GRスープラがデビュー初ポール獲得。KeePer TOM’SがNSX勢との直接対決を制す【スーパーGT500クラス予選】
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