スーパーGT:徹底した感染防止対策を定め、7月開幕へ向けて再始動

 日本の新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言は、全国民の協力と医療従事者の努力によって5月25日に全面解除された。社会全体が少しずつ、慎重に動き始めたのと同様に、国内レース界も徐々に歩を進めている。

 本稿執筆時点ではまだ正式発表はないものの(編注:6月4日GTアソシエイションがカレンダーの改訂版および、新型コロナウイルス対策のロードマップ、ガイドラインを発表)、エントラントからの情報をまとめるとスーパーGTの今季スケジュールは別項のものへとあらためられるようだ。

 危機管理の原則は「最悪の事態を想定する」ことで、新型コロナの第二波、第三波は「必ずやってくる」という前提で備えておく必要があるだろう。一方で、いまの日本は充分な感染症対策を講じつつ、経済を回していくための合理的な判断が求められるフェーズにあり、スーパーGTの改訂版カレンダーにもそうした苦悩の跡が見て取れる。

 今季のスーパーGTは「全戦無観客」を想定してシリーズをスタートさせ、今後の感染収束状況や社会情勢を踏まえて段階的に見直しをはかっていくつもりのようだ。開催サーキットについては残念ながら岡山、SUGO、オートポリスが見送られ、富士、鈴鹿、もてぎの3コースに限定されている。多くのチームが御殿場にファクトリーを構えている実情を踏まえ、彼らが公共交通機関を使用せず、自家用車等によって移動できる開催地としたためだろう。

 また、GTアソシエイションはテストやレースなどの公式イベント開催に向けたロードマップとして、関係者全員が遵守する『公式イベント開催に向けた新型コロナウイルス感染防止対策ガイドライン』と『入場・活動禁止ガイドライン』を策定した。とくに後者はチーム内で感染者が発生した場合の「サーキットへの入場禁止」や「ガレージ業務の停止」を見極める際の判断基準として機能しそうだ。

 さらに、GTアソシエイションは全エントラントに「健康管理者」を選任させて、チームスタッフの体調管理にあたらせる。その「健康管理者」はテストやレース期間中は当然のことながら、イベント開催「14日前から」、イベント終了の「14日後まで」、チームスタッフの体調管理や行動履歴を確認する問診票の提出を行うという。こうした取り組みは言うまでもなく、関係者内での感染拡大・クラスター発生を未然に防ぐことを目的としているのだろう。

 見えない脅威の見える化を徹底し、7月からの開幕に向けて前進しているスーパーGT。再始動の日は着実に近づいている。

■2020年スーパーGT 改訂版スケジュール

Rd. Date Circuit
Test 6月27~28日 富士スピードウェイ
1 7月18~19日 富士スピードウェイ
2 8月8~9日 富士スピードウェイ
3 8月22~23日 鈴鹿サーキット
4 9月12~13日 ツインリンクもてぎ
5 10月3日~4日 富士スピードウェイ
6 10月24~25日 鈴鹿サーキット
7 11月7~8日 ツインリンクもてぎ
8 12月26~27日or11月28~29日 チャン・インターナショナル・サーキットor富士スピードウェイ



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