新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第37回目は、GT300クラスに参戦するNILZZ Racingだ。
■NILZZ Racing
マシン:植毛ケーズフロンティア GT-R
ドライバー:田中優暉/飯田太陽
カーナンバー:48
総監督:井倉淳一
監督:井上恵一
タイヤ:ヨコハマ
ニッサンGT-RニスモGT3勢の一角としてGT300クラスに参戦するNILZZ Racingは、ツインリンクもてぎ近くにガレージを構えるレーシングチーム。2011年にピレリスーパー耐久シリーズでホンダS2000を走らせたのがその活動のスタートだ。スーパーGT参戦の歴史も古く、2012年からキャラウェイ・コルベットZ06R GT3を走らせた。当初はスポンサーであったDIJON Racingをチーム名として前面に打ち出していたが、長年メンテナンスを担ってきたのがNILZZ RACING FACTORY。2019年からはエントラント名もNILZZ Racingと改められた。
そんなNILZZ RACING FACTORYは、スーパーGTでの活動以外にもスーパー耐久に参戦するMP RacingのメンテナンスやTCRジャパンへの参戦、もてぎチャンピオンカップ、VITAなど、「おそらくスーパーGT参戦チームのなかでは唯一地方戦までこなしているチーム」だ。さまざまなレーシングカーのメンテナンスもこなし、若手育成にも力を入れているほか、多くのスーパーGTルーキーがチームから育ってきた。これまでのスーパーGT活動のなかでも富田竜一郎など、光る若手ドライバーがチームから巣立ってきたのもこれとは無縁ではないだろう。
チームは2013年からはニッサンGT-RニスモGT3を投入し、2015年にはスポット参戦ながら2台体制を構築したこともある。また2014年第7戦タイでは、富田がファステストラップを記録するなど活躍をみせてきたが、白眉とも言えるのが、NILZZ Racingのエントラント名となった2019年。11月のスーパーGT×DTM特別交流戦で行われたautosport web Sprint Cupでは、タイヤ選択を的中させ、見事2位フィニッシュを飾った。
さて、そんなNILZZ Racingの『NILZZ』の由来だが、チームのロゴのそばにある鳥のシルエットを見てピンとくる方もひょっとするといるかもしれない。この『NILZZ』は、1906年にスウェーデンで刊行されたセルマ・ラーゲルレーヴの作品『ニルスのふしぎな旅』の主人公の名から来ている。日本では1980年にNHKでテレビアニメが放映され、感動のストーリーを覚えている方も多いだろう。
この主人公のニルスは、わんぱくないたずらっ子。妖精に魔法をかけられ小さくなってしまったニルスは、動物のことばを理解するようになり、ガチョウのモルテンと、ガンの群れとともに旅をし、成長していくというストーリーだ。
NILZZ Racingは、「わんぱくないたずらっ子」の雰囲気をもつ仲間たちが集まったチームだったことから、『ニルス』を複数形にして『ニルズ』と名付けられた(東北人が多くてなまったとの説もアリ)。多くのドライバーが成長して巣立っていく姿も、チーム名称にピッタリかもしれない。
そしてカーナンバーの『48』についてだが、こちらは「なんとなく空いていた番号だったので」……とのこと。2015年にはHKT48のシングル名が車体に躍ったこともあり、関連もささやかれたが、もともとカーナンバーの方が先にあるもので、特に関連はないとのことだ。
2020年に向けては、新たにニッサンGT-RニスモGT3の2020年モデルを投入する。岡山公式テストでも好感触を得ており、今季はさらなる躍進に期待がかかる。
from 開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:NILZZ Racing
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