開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:LM corsa

 新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第32回目は、GT300クラスに参戦するLM corsaだ。

■LM corsa

マシン:SYNTIUM LMcorsa RC F GT3
ドライバー:吉本大樹/河野駿佑
カーナンバー:60
監督:飯田章
タイヤ:ミシュラン

 2019年第6戦オートポリス。刻々と変わりゆく天候を読み切り、悲願の初優勝を飾ったのがLM corsa。奇しくも吉本大樹のスーパーGT参戦100戦目のレースで、チーム全体で記念のレースを祝っていたが、これ以上ない展開に感動の涙と笑顔があふれるレースとなった。それもそのはず、2015年からLM corsaと吉本は苦労を続けてきたからだ。

 LM corsaは、2014年にスーパーGTに参入する。2014年はTWS LM corsa BMW Z4での参戦で、飯田章/吉本大樹、第3ドライバーに佐藤晋也というトリオで参戦。第6戦鈴鹿では参戦初年度ながら優勝を飾り、チームのポテンシャルの高さをみせた。

 しかし2年目の2015年から、チームは苦戦を強いられる。レクサスRC F GT3の先行開発を担うことになるが、予選では後方に沈み、飯田と吉本が2回の10位フィニッシュを果たすも、ドライバーズランキングでは27位。2016年もアップデートはなく、耐えるシーズンとなった。LM corsaとしては2015年〜2017年にINGINGとのコラボでもうZ4やフェラーリが参戦していたが、ランキングでも後れをとってしまった。

 翌2017年からは、現在も使用するレクサスRC F GT3にスイッチ。第4戦SUGOでは予選3番手を奪うなど、レクサスが得意とするコースでは速さをみせる。しかし、同じくLM corsaとして参戦した51号車JMS P.MU LMcorsa RC F GT3が2勝。飯田と吉本の60号車にとっては、これまで開発を進めてきただけに悔しいシーズンとなる。

 2018年からはふたたびLM corsaとしては60号車の1台となり、飯田が監督に就任し若き宮田莉朋が加入。第2戦から2戦連続ポイントを獲得し、第4戦タイでは嬉しい表彰台を獲得する。ただ、やはり同じレクサスを使うK-Tunes Racingからは水をあけられてしまっていた。なんとしても欲しいのは勝利。宮田は2019年に向けて望んでチームに残り、第2戦以外SYNTIUM LMcorsa RC F GT3をドライブ。そんなチームの苦闘がこの年、第6戦オートポリスの勝利に結実した。さらにautosport web Sprint Cupでも連勝を飾っている。

 さて、チームの母体である大阪トヨペットは、2005年に片山右京とともにクロスカントリーに挑戦するなど、モータースポーツ活動をスタートさせた。「レースを行うことが目的ではなく、それにより得たものを広め、お客さま、社会へ還元することが目的」で、2006年からモータースポーツ活動を本格化。スーパーGTのほかにもOTG Motorsportsとして、服部尚貴や吉田広樹、菅波冬悟、佐藤、山﨑武司らを擁しTOYOTA GAZOO Racing 86/BRZ RaceやFIA-F4、鈴鹿10時間に参戦。FIA-F4はシリーズ全体も支えながら若手育成に努め、菅波をGT300に輩出している。

 このモータースポーツ活動を始めた2005年の翌年が、カーナンバーの由来になっている。活動を本格化させた2006年は大阪トヨペットの創立60周年の年で、これ以降、OTG Motor SportsとLM corsaでは、60周年にちなんだ『60』がエースナンバーとなった(TGR 86/BRZ Raceでは服部が使用)。

 そして2014年から参戦したスーパーGTでは『LM corsa』というチーム名がつけられているが、これはLが『LEXUS』、Mが『Motorsports』の頭文字。そしてイタリア語で競争を意味する『corsa』が組み合わされた名前だ。大阪トヨペットグループとして「レクサス(トヨタ系)車両でのモータースポーツへの挑戦を行おう!」とRC F GT3の開発からレクサス/トヨタとタッグを組み、レクサス車での参戦をはじめるにあたってつけられた名前だ。

 2020年に向け、チームは宮田をGT500クラスへ送り出し、新たに河野駿佑を起用。さらにひさびさのGT300での戦いとなるミシュランを履く。新シーズンへ向け、新たな武器とともにLM corsaが目指すのは、タイトルというさらなる高みだ。

2020年のスーパーGTに挑むSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2020年のスーパーGTに挑むSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2014年第6戦鈴鹿では飯田章/吉本大樹/佐藤晋也というトリオで優勝を飾った。
2014年第6戦鈴鹿では飯田章/吉本大樹/佐藤晋也というトリオで優勝を飾った。
2015年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2015年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2016年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2016年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2017年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2017年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2018年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2018年のSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2019年オートポリスでのSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2019年オートポリスでのSYNTIUM LMcorsa RC F GT3
2019年第6戦オートポリスで優勝を飾ったSYNTIUM LMcorsa RC F GT3の吉本大樹と宮田莉朋、飯田章監督
2019年第6戦オートポリスで優勝を飾ったSYNTIUM LMcorsa RC F GT3の吉本大樹と宮田莉朋、飯田章監督
2019年第6戦オートポリスで優勝を飾ったSYNTIUM LMcorsa RC F GT3の吉本大樹と宮田莉朋
2019年第6戦オートポリスで優勝を飾ったSYNTIUM LMcorsa RC F GT3の吉本大樹と宮田莉朋


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