開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:NDDP RACING with B-MAX

 新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第19回目は、GT500クラスに参戦するNDDP RACING with B-MAXだ。

■NDDP RACING with B-MAX

マシン:CRAFTSPORTS MOTUL GT-R
ドライバー:平手晃平/千代勝正
カーナンバー:3
監督:田中利和
タイヤ:ミシュラン

 2019年、ニッサンGT-RニスモGT500勢のなかで唯一の勝利を挙げたのがCRAFTSPORTS MOTUL GT-R。この年からニッサン陣営に加わった平手晃平がフレデリック・マコウィッキとのコンビで第7戦SUGOを制し、その実力をみせつけた。2020年は、新たに平手とチーム復帰となる千代勝正のコンビとなるが、同じ86年生まれでスタイルも似ており、今季期待がかかる一台と言える。

 そんなNDDP RACING with B-MAXは、チーム名のルーツはふたつある。まずNDDPは、ニッサン・ドライバー・デベロップメント・プログラムのこと。若手ドライバーを育成するためのプログラムで、千代や佐々木大樹、高星明誠などが出身。また佐藤公哉や近藤翼、藤波清斗もNDDPに所属していた。

 当初はフォーミュラが中心の活動だったが、2012年から関口雄飛/千代のコンビで国産車初のGT3カーであるニッサンGT-RニスモGT3を使い、S Road NDDP GT-Rとして参戦を開始する。ここで使用されたのがカーナンバー『3』。チームは長谷見昌弘監督を迎えたこともあり、ハセミモータースポーツが使っていた番号を受け継ぐことになった。

 2013年は星野一樹/佐々木大樹のコンビとなったが、その年までニスモがメンテナンスしていたチームは2014年からB-MAX RACING TEAMがメンテナンスを担当することに。カーナンバー『3』も受け継ぎつつ、星野が“先生役”として高星やルーカス・オルドネス、ヤン・マーデンボローをGT500で戦えるドライバーに育ててきた。2018年からは、GT500クラスに挑戦。初年度は本山哲と千代、そして2年目の2019年は平手とマコウィッキのコンビとなった。

 一方、メンテナンスを担うB-MAX Racing Teamは、市販車の試作部品の製作や部品製作などを担う屏風浦工業の組田龍司代表が、2010年にB-MAX ENGINEERINGとして立ち上げた。組田代表は、2004年に鈴鹿1000kmのオープンクラスにポルシェで出場すると、2005年からはポルシェカレラカップにスポット参戦。しばらくPCCJを戦い、2009年からフォーミュラに挑戦するが、「自分が満足できる、妥協しないマシンを」とB-MAX ENGINEERINGを立ち上げた。

 このB-MAXと言う言葉は、屏風浦工業の頭文字である『B』と、“ベスト”の意味合いをもたせて、会社として「マックスまでもっていきたい」という意味で『B-MAX』として名づけられた。2011年には全日本F3に参戦を開始したほか、JAF-F4にオリジナルシャシーのRK-01を投入。2011年には関口雄飛がこのマシンでJAF-F4東日本のチャンピオンを得た。

 その後はマカオ挑戦を目指し、2013年からは活動チームをB-MAX Racing Teamとし、F3、GT300に参戦。F3では数多くのタイトルを獲得している。2017年からは全日本スーパーフォーミュラ選手権にも参戦を開始し、組田代表もドライバー『DRAGON』として2017年のF3-Nチャンピオンを獲得している。

 そんなB-MAX Racing Teamには、GT500とは別に“エースナンバー”が存在する。それはスーパーフォーミュラでも使っている『50』だ。この由来について組田代表に聞くと、実は「関口雄飛のラッキーナンバーなんです」という。

 関口は2006年にフォーミュラトヨタのチャンピオンを獲得しているが、このときのカーナンバーも50。2011年にRK-01でJAF-F4のチャンピオンを獲得したときも50だ。また、2011年にB-MAXから参戦して全日本F3のチャンピオン獲得のときのカーナンバーも50なのだ。

 組田代表と関口は、いわば盟友とも呼べる間柄。関口がすっかり日本のトップドライバーとして成長した2017〜2018年もマカオGPに挑んだのは、マカオ制覇という組田代表の夢があったからだろう。

 その高い技術力で、ニッサンGT500チームの一翼を担うNDDP RACING with B-MAX。2020年は、昨年得た1勝からさらなる高みを狙っているはずだ。

2020年のスーパーGTを戦うCRAFTSPORTS MOTUL GT-R
2020年のスーパーGTを戦うCRAFTSPORTS MOTUL GT-R
イベントに登壇したNDDP RACING with B-MAXの田中利和監督と平手晃平、千代勝正
NDDP RACING with B-MAXの田中利和監督と平手晃平、千代勝正
2012年のS Road NDDP GT-R。関口と千代のドライブで第4戦SUGOで優勝を飾った。
2012年のS Road NDDP GT-R。関口と千代のドライブで第4戦SUGOで優勝を飾った。
2014年のB-MAX NDDP GT-R
2014年のB-MAX NDDP GT-R
2016年第2戦富士 MOTUL AUTECH GT-RとB-MAX NDDP GT-Rが両クラス制覇を決めた。
2016年第2戦富士 MOTUL AUTECH GT-RとB-MAX NDDP GT-Rが両クラス制覇を決めた。
セルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing Team with B-Max)
セルジオ・セッテ・カマラ(Buzz Racing Team with B-Max)
2006年にフォーミュラトヨタのチャンピオンを獲得した関口雄飛。カーナンバー50をつけていた。
2006年にフォーミュラトヨタのチャンピオンを獲得した関口雄飛。カーナンバー50をつけていた。


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