新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入。年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から3戦が延期となってしまった。ただ開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第3回目は、GT300クラスのK2 R&D LEON RACINGだ。
■K2 R&D LEON RACING
マシン:LEON PYRAMID AMG
ドライバー:蒲生尚弥/菅波冬悟
カーナンバー:65
監督:黒澤治樹
タイヤ:ブリヂストン
漆黒のメルセデスAMG GT3で、スーパーGTの中でも際立つ『カッコ良さ』を誇るのがLEON PYRAMID AMG。もちろん見た目ばかりではなく、黒澤治樹/蒲生尚弥のコンビで2018年のGT300チャンピオンを獲得。取材を進めていても、しばしば「今回はLEONでしょ」「LEONをマークしてる」等々、ライバルから意識する声が聞かれる強豪チームだ。
そんなK2 R&D LEON RACINGだが、参戦開始は2013年と比較的“若い”チーム。LEON自体は、2008年にREAL RACINGをサポートしたり、GREEN TEC & LEON with SHIFTとして2012年に参戦したが、そのときは文字どおりシフトとのコラボレーションだった。2013年からは『LEON RACING』として自チームで参戦し、当時メルセデスベンツSLS AMG GT3としては世界初だったマットブラックをカラーリングに採用。いまも受け継がれている。
2016年からは現在のチーム名である『K2 R&D LEON RACING』となったが、LEON RACINGは分かっても、一見分からないのがK2 R&Dの部分だ。黒澤に話を聞くと、治樹と父である名ドライバー、黒澤元治の会社の名だという。
『K2』というのは、“ふたりの黒澤”の意味。『KUROSAWA』×2で『K2』ということだ。ちなみに、パキスタンと中国の国境にあるカラコルム山脈の山の名も『K2』。標高8,611mでエベレストに次ぐ世界第2位の高さだが、その険しさから世界でも最も登頂が難しいそう。その険しき高みを登る……という意味も込められているそうだ。
そしてR&Dは、文字どおり“リサーチ&デベロップメント”の略なのだが、ブリヂストンや多くの自動車メーカーでテストドライバーを務めてきた黒澤元治が、メーカーと契約する際には個人ではなく会社単位での契約が必要で、その会社名に『R&D』がつけられていたのだ。この会社を治樹が継いだが、現在のK2 R&D LEON RACINGの遠藤大介オーナーから「社名を入れよう」という提案があり、現在のチーム名となった。
そのK2 R&D LEON RACINGのカーナンバーだが、LEON RACINGの参戦初年度である2013年には『62』を使用していた。なぜ62かというと、この年はチーム参戦初年度で、治樹がドライバーとして縁が深かったアールアンドデースポーツに1年間ファクトリーや運営などを委託していたから。62はアールアンドデースポーツのカーナンバーだ。
迎えた2014年、チームは自社ファクトリーを作り、自分たちのチームで活動することになる。そこで「カーナンバーは何番にしよう?」という話になるのだが、遠藤オーナーがメルセデスAMGの市販車のS65を所有しており、ナンバーも『65』にしていた。そこから65になったのだとか。
少し意外なエピソードではあるが、治樹にとって65は、実は思い入れが深い数字だという。2018年、GT300チャンピオンを獲得したときのカーナンバーが65なら、1996年にNAKAJIMA RACINGから初めて全日本F3選手権に参戦したときのカーナンバーも『65』だったからだ。思い入れが深いからこそ、2019年にGT300のチャンピオンが使用できる『0』を使わず、『65』を使い続けたのだという。
2019年のシーズン途中で治樹は監督に就任し、2020年は若き蒲生尚弥と菅波冬悟のコンビでタイトル奪還を目指すことになる。今年も早く、美しい漆黒の新型メルセデスAMG GT3の走りを目にしたいところだ。
from 開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:K2 R&D LEON RACING
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