年々観客動員数も増加し、2020年からドイツのツーリングカーシリーズ、DTMドイツ・ツーリングカー選手権との共通車両規定『Class1(クラス1)』も導入されるなど、世界的にも存在感を増しているスーパーGT。日本国内に目を向ければグランツーリスモSPORTにマシンが収録され、ゲームセンターではシリーズをイメージにしたゲーム機が稼働するなど、さらに認知度、ファン層が広がっている。
4月6日時点で、2020年シーズンの開幕は7月11~12日とされている。開幕までのおよそ3カ月の間、これからスーパーGTをチェックしようというかたのために、あらためてシリーズの歴史やレースフォーマットをおさらいしてみよう。熱心なスーパーGTファンのかたも、スーパーGTの魅力を再確認する機会になれば幸いだ。
今回は2020年のスーパーGTが開催される国内外8つのサーキットを2回にわけて紹介しよう。後編となる今回はツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキットの国内2サーキットとタイのチャン・インターナショナル・サーキット、マレーシアのセパン・インターナショナル・サーキットというふたつの海外サーキットだ。
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4月6日に発表された新たな2020年開催スケジュールは全8大会で構成され、岡山国際サーキット、富士スピードウェイ、スポーツランドSUGO、オートポリス、ツインリンクもてぎ、鈴鹿サーキットと国内6つのサーキットと、タイ・ブリーラムにあるチャン・インターナショナル・サーキット、マレーシアにあるセパン・インターナショナル・サーキットのふたつの海外サーキットで開催される予定となっている。
今回はこの8サーキットの特徴やスーパーGTのコースレコードなどを紹介しよう。なお、4月6日発表の最新カレンダーでは具体的なラウンド数などは発表されていない。そのため本稿では便宜上、7月11~12日の岡山大会を第1戦、以降すでに日程が決まっている11月7~8日のもてぎ大会までを第2~5戦、鈴鹿を第6戦、タイ・ブリーラム大会を第7戦、マレーシア・セパン大会を第8戦として紹介していく。
第5戦は栃木県芳賀郡茂木町にあるツインリンクもてぎで開催予定。鈴鹿サーキットと同じくホンダ系列のサーキットで、株式会社モビリティランドが運営している。過去にインディカー・シリーズの日本大会『インディ・ジャパン』で使用されていたオーバルコース『スーパースピードウェイ』、スーパーGTやスーパーフォーミュラ、MotoGPが開催される『ロードコース』の2コースがある。
ロードコースはストレートと中低速コーナーを掛け合わせた全長4801メートル。特に第1セクターはストレートとヘアピンカーブが連続するストップ&ゴーレイアウトとなっているのが特徴だ。
また最終セクターにある下り勾配のダウンヒルストレートから、その先の90度コーナー、最終コーナーであるビクトリーコーナーまではバトルが頻発する場所。2020年最終戦ではレクサスLC500同士が文字どおり肉弾戦を繰り広げたセクションでもある。
GT500クラスのレコードタイムは2018年の第8戦で野尻智紀(ARTA NSX GT3 NSX-GT)が記録した1分35秒550、GT300クラスは2019年の第8戦でアレックス・パロウ(McLaren 720S GT3)が記録した1分45秒907。
4月6日発表時点で日程調整中となっている鈴鹿大会が行われる鈴鹿サーキットは、三重県鈴鹿市に位置するサーキット。世界に類を見ない立体交差を備えた8の字レイアウトが特徴で、中高速コーナーのS字カーブが連続する第1セクター、バックストレート先の超高速コーナーである130Rなど、マシンセットアップの最適化に加え、ドライバーのテクニックと度胸が試されるため、世界屈指のドライバーズサーキットと呼ばれている。
鈴鹿では、モータースポーツの最高峰であるF1の日本GPがこれまで通算31回開催されていることから世界的な知名度も高い。また2018年からはGT3カーの世界一決定戦として鈴鹿10時間耐久レースや二輪レースを代表する耐久レースのひとつ鈴鹿8時間耐久ロードレースの舞台としても知られる。
スーパーGTでは2006年から2017年までの間、シリーズ最長の1000kmレースがシリーズに組み込まれてきた。例年夏頃の開催で気候的にも過酷で、獲得できるシリーズポイントも他大会より多かったことからシーズンを占う重要な一戦でもあった。
また敷地内にホテルや遊園地、温泉施設などがあり、家族連れでも楽しめるのがポイント。サーキット近隣に鉄道の駅があるため、公共交通機関を使ってもアクセスしやすいのもポイントだ。
レコードタイムは両クラスとも2018年大会で記録されており、GT500クラスは野尻智紀(ARTA NSX-GT)の1分44秒319、GT300クラスは中山雄一(K-tunes RC F GT3)の1分55秒531。
海外ラウンドとして予定されている2大会のうち、タイで行われる1戦は同国北東部のブリーラム県にあるチャン・インターナショナル・サーキットが舞台。2014年に建設されたサーキットで、2020年シーズンのスーパーGTカレンダーのなかではもっとも新しい。
コースの特徴は高低差が9.668メートルとほとんどフラットなサーキットであること。グランドスタンド席から全コーナーを一望でき、コース上で繰り広げられるバトルを余すところなくチェックできるはずだ。レーシングコースの全長は4554メートル。
東南アジアのタイが開催国ということもあり、例年気温と湿度が高いコンディションとなることが多く、移動や異国での体調管理を含めてドライバーやマシン、タイヤ、そしてチームにとっても厳しい戦いとなる。
レコードタイムは両クラスとも2019年大会で記録されており、GT500クラスは山下健太(WAKO’S 4CR LC500)の1分23秒260、GT300クラスは松井孝允(HOPPY 86 MC)1分31秒839。
もうひとつの海外ラウンドは、マレーシア、セランゴール州にあるセパン・インターナショナル・サーキットで行われる。セパンでのレースはスーパーGTがJGTC全日本GT選手権だった2000年から、シリーズ名改称後の2013年まで開催されていた。
2014年からはカレンダーに組み込まれず、シリーズ戦に組み込まれるのは実に7年ぶりのことだが、オフシーズン中のテスト会場として常用されていることから、スーパーGTファンにとってはおなじみのコースだろう。コースの全長は5542メートル。
ちなみに2020年のスーパーGTでは、このセパン大会はナイトレースとして組み込まれている。タイと同じく東南アジアのマレーシアが舞台のため、2013年までのデイレースでは高温多湿な気候がドライバーたちを苦しめてきた。ナイトレースとして開催されることで、そのコンディションがどう変化するのかは、見どころのひとつだ。
GT500クラスのレコードタイムは2007年の第4戦で小暮卓史(TAKATA 童夢 NSX)が記録した1分54秒306、GT300クラスは2013年の第3戦で高木真一(ARTA CR-Z GT)の記録した2分03秒025。それぞれ13年前、7年前のレコードタイムなので、2020年大会でのレコード更新はほぼ確実と言えそうだ。
次回はスーパーGTをシーズンを通して楽しむ上でおさえておきたい“シリーズポイント”と“ウエイトハンデ”をご紹介しよう。
from 【スーパーGT基礎講座】国内外8つのサーキットが持つ魅力。もてぎ、鈴鹿、タイ、マレーシア編
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