新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第29回目は、GT300クラスに参戦するGOODSMILE RACING & Team UKYOだ。
■GOODSMILE RACING & Team UKYO
マシン:グッドスマイル 初音ミク AMG
ドライバー:谷口信輝/片岡龍也
カーナンバー:4
監督:片山右京
タイヤ:ヨコハマ
2008年8月のスーパーGT第6戦鈴鹿サーキット。今までのスーパーGTに見たこともないようなマシンが姿をみせた。ボーカロイドの『初音ミク』をボディに描いたBMW Z4の登場は、今までの日本のモータースポーツ界の常識を覆すような参戦だった。チームはStudie & GLAD with ASADA Racing。この参戦にあたり、初音ミクの使用許諾等で協力したのがグッドスマイルカンパニー(GSC)だった。
もともとバンプレストに所属していた安藝貴範代表が、バンプレストの上場にともない移籍先を探していた所属アーティストたちとともに、マネージメントやイベント企画、映像制作業務を手がける会社として2001年に設立されたのがグッドスマイルカンパニーだ。そういった経緯もあり、社名は「みんなが笑顔になれる会社」として名付けられた。
GSCはその後、2002年から玩具の企画・制作を手がけはじめ、高いクオリティで世界的に定評を得ていく。そんななか、もともとクルマやモータースポーツが好きだった安藝代表は「お付き合い」でモータースポーツへのスポンサードもスタートした。あまり知られていないが、2007年のラリージャパンに参戦したマシンや、ドラッグレースにも『グッドスマイル・レーシング』としてスポンサードしたことがある。
GSCは業務上、フィギュア化に向けたキャラクターの版権を多く手がけている。Studie & GLAD with ASADA Racingは参戦に向け、GSCに初音ミクを手がけるクリプトン・フューチャーメディア社への相談を持ちかけた。これがGSCのスーパーGTへの関与のはじまりだ。
「基本的に、我々の事業は“巻き込まれて”始まり、いつの間にか本業になり、自分たちで物事を動かしていくことが多い」という安藝代表は、先述の2008年スーパーGT第6戦はまだ紹介しただけの立場で、「そのときはマンガ喫茶にいました(笑)」。ただその後、チームが個人スポンサー制度などを始め、『グッドスマイル・レーシング』としてチームを担っていく。
2009年からは車体に『GOODSMILE RACING』のロゴがつき、2010年はCOXとのタッグでポルシェで参戦。2011年はStudieとのタッグで片山右京監督を迎え、谷口信輝/番場琢組BMW Z4 GT3を走らせると、第3戦セパンでの勝利を皮切りに年間3勝をマーク。谷口にとっても悲願だったチャンピオンを獲得した。
その後も2012年に加入した片岡龍也とのコンビはライバルたちに「最強」と言わしめ、BMW Sports Trophy Team Studieと別チームとなり、GOODSMILE RACING & Team UKYOとなった2014年にもチャンピオンを獲得する。2015年からはメルセデスにマシンをスイッチし、2017年にも王座を得た。
さて、そんなGOODSMILE RACING & Team UKYOだが、2011年からカーナンバー『4』を使用する。チャンピオンを獲った翌年の『0』を使った年をのぞけば10年目の今季も変わらぬ番号で、いまやチームを象徴する番号と言える。この理由をチームに聞くと「SEO対策です(笑)」という。2011年に新たな番号を決めるにあたりいくつか候補があったが、数字が小さい方が公式プログラムをはじめ、さまざまな場で前に来るからだ。
チームには不思議な「3年に1回チャンピオン周期」が存在するが、今年はその周期の年。タイトル候補の1台なのは間違いないだろう。2020年もシーズンが始まれば、熱烈な多くのファンとともに、サーキットを盛り上げてくれるはずだ。
from 開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:GOODSMILE RACING & Team UKYO
コメント
コメントを投稿