開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:GAINER

 新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第8回目は、GT300クラスのGAINERだ。

■GAINER

#10
マシン:GAINER TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL
ドライバー:星野一樹/石川京侍
カーナンバー:10
監督:藤井一三
タイヤ:ヨコハマ

#11
マシン:GAINER TANAX GT-R
ドライバー:平中克幸/安田裕信
カーナンバー:11
監督:藤井一三
タイヤ:ダンロップ

 京都府京都市に本拠を置くGAINERは、2015年にアンドレ・クートがGT300チャンピオンを獲得したほか、毎年のようにチャンピオン争いに絡むGT300クラスのトップチームのひとつだ。そんなGAINERとしての最初のレースは1999年。『Team GAINER』として鈴鹿1000kmにフェラーリF355で参戦したのがはじまりだった。

 2000年からスーパーGTの前身であるJGTCに挑戦を開始し、2001年はポルシェで参戦。2002年に一時参戦を休止し、2003年に向け、童夢が製作したJAF-GT規定のフェラーリ360を制作。さらに2004年からは2台体制とした。2006年にはタレントとして活躍するヒロミさんも所属した。2008年には自社開発・製作のフェラーリF430で参戦し、コンストラクターとしての地位も確立している。

 2009年には、現在もエースとしてチームを支える平中克幸が加入。2010年からはミケロット製のフェラーリF430 GT2へスイッチすると、2012年にはアウディR8 LMSを走らせた。さらに2013年からはメルセデスベンツSLS AMGへ。メルセデスAMG GT3も使用した。一方で2015年から10号車として導入したニッサンGT-RニスモGT3は、チームにとって初の国産車となったが、この年千代勝正、富田竜一郎とともに10号車を駆ったクートが初のチャンピオンをもたらした。

 2018年からは、ニッサン/ニスモのオフィシャルパートナーチームとしてニッサンGT-RニスモGT3の18年モデルの2台体制に変化した。特徴的なのは、マシンが変わりながらもほぼ毎年優勝を飾っているという点だ。チーム、ドライバーの力がいかに高いかを証明していると言える。

 そんなチームに相応しい名が『GAINER』だ。田中慶治オーナーが名付けたチーム名は、“勝利者”の意味。2003年から『JIMGAINER』となったが、2012年からはふたたびGAINERというチーム名に戻っている。とはいえ勝利にストイックなばかりか……と言えばそうではなく、チームはプロフェッショナルながらもいつもアットホーム。以前所属したドライバーがしばしばピットを訪れ談笑しているシーンも見かけるほどだ。

 そしてチームが使うカーナンバーは『11』がエースナンバー。JGTC初参戦時は『111』だったが、これはGT300クラスでは『1』がつけられないため、「たくさんの『一番』を」という思いでつけられたもの。フル参戦となった2001年から『11』にスイッチし、現在まで使われ続けている愛着がある番号だ。

 また、もう一台の『10』については、チームとしては2004年から2台体制を敷くにあたり連番を希望したが、『12』はもちろんGT500クラスのTEAM IMPULが使用していた。ところが、2003年まで参戦していたTEAM LeyJunがJGTC参戦を休止することになり、今は亡きOSAMU代表に交渉したところ、『10』を譲ってもらったのだという。

 長い歴史を誇るGAINERにとって、2020年は2回目のタイトルを目指すシーズンとなる。熟成成ったGT-Rの実力と4人のドライバーたちの力ならば、十分可能な目標のはずだ。

GAINER TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL
GAINER TANAX ITOCHU ENEX with IMPUL
GAINER TANAX GT-R
GAINER TANAX GT-R
1999年のJGTCに登場したJIM GAINER F355
1999年のJGTCに登場したJIM GAINER F355
2003年のJGTCに参戦した童夢製のJIM RodeoDrive ADVAM F360
2003年のJGTCに参戦した童夢製のJIM RodeoDrive ADVAM F360
2012年の開幕戦を制したGAINER DIXCEL R8 LMS
2012年の開幕戦を制したGAINER DIXCEL R8 LMS
2014年に最終戦までチャンピオンを争ったGAINER DIXCEL SLS
2014年に最終戦までチャンピオンを争ったGAINER DIXCEL SLS
2015年王者のアンドレ・クートと、ともにGAINER TANAX GT-Rをドライブした千代勝正と富田竜一郎
2015年王者のアンドレ・クートと、ともにGAINER TANAX GT-Rをドライブした千代勝正と富田竜一郎
2015年にアンドレ・クートをチャンピオンに導いたGAINER TANAX GT-R
2015年にアンドレ・クートをチャンピオンに導いたGAINER TANAX GT-R


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