開幕までに知識を増やそう。カーナンバーとチーム名の由来を知る:Cars Tokai Dream28

 新型コロナウイルスの感染拡大に揺れる国内モータースポーツ界。2020年はGT500クラスへのクラス1車両の導入、年間2戦の海外開催、熾烈さを増すGT300クラスなど数多くのトピックスがあったスーパーGTも、開幕から5戦が延期となってしまった。ただ7月の開幕を前に、ちょっぴり知識をつけておけば、来たる開幕がより楽しく迎えられるはずだ。そこで、不定期連載となるがスーパーGT参戦チームのチーム名とカーナンバーの由来をお届けしよう。第18回目は、GT300クラスに参戦するCars Tokai Dream28だ。

■Cars Tokai Dream28
マシン:シンティアム・アップル・ロータス
ドライバー:加藤寛規/柳田真孝
カーナンバー:2
監督:後藤誠
タイヤ:ヨコハマ

 2020年、6年目を迎えるミッドシップレイアウトのGT300マザーシャシーであるシンティアム・アップル・ロータスでスーパーGTに挑むCars Tokai Dream28。JGTC全日本GT選手権には2001年途中から参戦を開始し、GT500クラスで戦っていたホンダNSX-GTをGT300に投入。高橋一穂と木村博、渡辺明ドライブで登場した。初参戦はもてぎだったが、実は高橋はこの時もてぎが初走行だったという。

 チームは2004年までNSXを使用し、2005年はヴィーマックにスイッチ。さらに2006年、高橋が由良拓也と出会い「自分が納得できるカッコいいクルマでレースを」とリクエストして生まれた紫電MC/RT-16をGT300クラスに投入した。1977年にGCに登場した伝説のマシンの名を復活させたレーシングカーは、当時アメリカで行われていたグランダム用のデイトナプロトタイプ、ライリーMk.XIをベースに誕生した。

 当然ながら純レーシングカーをベースとした紫電は、2006年・2007年に高橋と加藤寛規のコンビでそれぞれ1勝ずつを挙げる。ただ、惜しくもチャンピオンには届かなかった。その後も紫電はプリヴェチューリッヒカラー、さらにエヴァンゲリオンカラーに姿を変えながら2012年まで戦い、GT300の主役の一台として愛されてきた。

 Cars Tokai Dream28は、2013年からは一転GT3カーを使用する。GT300初登場だったマクラーレンMP4-12C GT3を投入するが、2015年に向けてふたたび自分たちのマシン作りをはじめた。それが現在も戦うロータス・エヴォーラMCだ。高橋はホンダカーズ東海の社長であるとともに、ロータスの正規代理店であるエルシーアイの社長でもあったことから実現した。

 そんなCars Tokai Dream28だが、チーム名は2001年の参戦時、ベルノ東海ドリーム28だった。当時のホンダの販売店の名称であるベルノ東海は後にホンダカーズ東海となり、それゆえチーム名も『Cars Tokai』に変化している。

 気になるのは『Dream28』だ。これは、高橋がJGTCに鈴鹿でクラブマンレースに出ていたころにさかのぼる。高橋はこだわりとして「ミッドシップのクルマが好き」なのだそう(実際、GT300でもすべてミッドシップのマシンに乗っており、スーパー耐久でもKTMに乗っている)。

 そこでNSXでレースに出場するのだが、NSXのオーナーズクラブ会長がチーム監督を務めた。そのオーナーズクラブの名が『ドリーム28』だったのだ。この名称は、ホンダのスポーツカーであるSシリーズが登場してから28年後にNSXが発表されたことにちなみ、「28年後に夢が叶った」という意味があったそう。

 こうしてチームは『ベルノ東海ドリーム28』としてエントラント登録を行い、そのままのエントラントライセンスでJGTCにも出場。現在に至るというわけだ。ただ、現在ではNSXも使っていないし、多くの他エントラントにもファンにも「カーズ東海」で通じてしまう。チームには『Dream28』は外そうかという議論もあったようだが、改名すると事務的に新規エントラントとして見なされてしまうようで、そのままつけているのだとか。

 そしてカーナンバーは、2001年の参戦以来『2』をずっと使っている。実はJGTCではそれまで『2』はほとんどの年でニスモが使っていた番号だ。1999〜2000年はニスモが『1』と『2』で揃えていたが、2001年からは『22』と『23』を使っている。

 そこで参戦を開始したCars Tokai Dream28が『2』を使いはじめるのだが、理由は単純。高橋は『1』を使いたかったが、当然『1』は使えないので、公式プログラムでいちばんはじめに紹介される『2』を使ったのだ。GT300の場合、当然プログラムでいちばん最初に来るのは『0』か『2』。「なぜ空いていたのか不思議なんですが」と後藤誠監督も笑う。

 2020年は、加藤と新たに加入した柳田真孝のコンビで挑むCars Tokai Dream28。岡山公式テストで柳田はさっそくシンティアム・アップル・ロータスにも慣れており、感触も良好。加藤も結果を残すために強い意気込みで臨んでいる。マザーシャシーが速いコースではライバルも一目置く存在なのは間違いないだろう。

シンティアム・アップル・ロータス
シンティアム・アップル・ロータス
2001年にJGTCに参戦を開始した際のドリーム28NSXアメリカンR
2001年にJGTCに参戦を開始した際のドリーム28NSXアメリカンR
2006年スーパーGT第1戦鈴鹿 Privée Zurich・アップル・紫電
2006年スーパーGT第1戦鈴鹿 Privée Zurich・アップル・紫電
2012年のエヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電
2012年のエヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電
2013年のエヴァRT初号機アップルMP4-12C
2013年のエヴァRT初号機アップルMP4-12C
2015年にスーパーGTに登場したシンティアム・アップル・ロータス
2015年にスーパーGTに登場したシンティアム・アップル・ロータス
シンティアム・アップル・ロータス


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