3月14〜15日、岡山国際サーキットで開催されたスーパーGT公式テスト。新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のために無観客開催となったテストだが、2日間のテストでは、その他にもさまざまな影響が聞こえてきた。
■マスクは着けていても……
全世界的に感染拡大をみせる新型コロナウイルス。経済への影響も大きく、2021年のモータースポーツに影響があるのではないか……という声もあちこちで聞かれた。そんな状況下でのテストだったが、参加エントラントのチームスタッフやドライバー、さらに我々メディアも含め、毎日体温を測定。健康チェックを行ったほか、エントラントにはマスクも配布され、サーキットには各所にアルコール消毒液が用意された。
そんな万全の対策を行った上でのテストだったが、多くのスタッフは新幹線や航空機を使っての移動で、もちろんマスクは着けていたものの、「こういった状況下で、多人数が移動するテストを行ってもいいのだろうか?」「もしテストを行って、スーパーGTに携わる人から感染者が出たらどうするのか」という不安の声も聞かれた。
また、マスクについては、どうしても作業の際の邪魔になったりもした。屋外のサーキットであり、感染はマスクで完全に防げるものではないと言われているのだが、やはり「これでいいのだろうか」という不安の声も。
とはいえ、全世界が初めて対処しなければならない新型コロナウイルス。正解がなんなのかはまだ分からない。今回のスーパーGT公式テストは、開幕に向けて必要なテストだったのは間違いないのだが、行われた対応が正しかったことを願うばかりだ。
■移動できない! 欧州メーカー・ドライバーに影響が
現段階では、日本国内に比べてヨーロッパでの感染拡大が激しい。その影響がスーパーGTはもちろん、他の日本のレースにも波及しそうだ。
この時季、新シーズンに向けて新しいレーシングスーツやシューズ、グローブ、メカニックスーツなどを用意しなければならないが、感染が拡大するイタリアの影響があった。イタリアは多くのレーシングウェアメーカーがあり、到着が遅れているチームもあるという。
また、ヨーロッパのメーカーに所属するエンジニア等のスタッフは、メーカーから1日目のみで帰国の命令が出たり、そもそもテストに参加しないよう指示があったという。スーパーGTがインターナショナルなレースとなったことを感じさせるエピソードではあるが、逆に言えば彼らがいなければ、急なトラブルには対処しづらくなってしまう。
これは直接スーパーGTとは関係ないが、先日ヨーロッパでGT3のバランス・オブ・パフォーマンスのテストが行われたという。これに参加した日本メーカーのスタッフは、現在2週間の自宅待機中だとのこと。スタッフが移動できなくなってしまうことは、現代のGT300にとっては重要な問題とも言える。
ドライバーについても、ヨーロッパ出身の選手は、日本に“足止め”になってしまったり、逆に来日できないケースが出てきそう。Modulo KENWOOD NSX GT3の道上龍は、テストが近い全日本スーパーフォーミュラ選手権ではThreeBond Drago CORSEの監督を務めるが、今季起用したタチアナ・カルデロンが、現在住んでいるスペインから「出られるか分からない」状況だと語った。
■サーキットやスタッフの収入にも……
さまざまな影響がモータースポーツ界にも及んでいるが、やはり今回のスーパーGT公式テストで多く聞かれたのが、「第1戦岡山は開催されるのだろうか」「事態はいつ収束するのだろうか」といった不安の声だ。
そもそも、この無観客開催という状態は、サーキットにとっては入場料収入がなくなってしまう。またチームスタッフ、メカニックにはフリーランスも多く、レースが開催されない状態は収入にも繋がってしまう。
全世界が影響を被っている新型コロナウイルス。この混乱はいつまで続くのか、そして国内モータースポーツカレンダーはどうなってしまうのか……。残念ながら不安な日々はまだ続きそうだ。
from 不安が広がる新型コロナウイルスの影響。厳戒態勢のスーパーGT岡山公式テストで聞こえた声
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