新型コロナウイルス流行の国内モータースポーツ界への影響は現状なしも、気になるSGT海外戦

 2019年12月から、中国を中心に流行している2019年新型コロナウイルス(COVID-19)。日本でも連日ニュースで報じられているほか、FIA国際自動車連盟は、3月に予定されていたフォーミュラE2019/20年シーズン第6戦の三亜の延期、4月17〜19日に上海国際サーキットで予定されていたF1中国グランプリの延期を強いられた。日本でも感染者が報告されているなか、日本のモータースポーツ界に影響はあるのだろうか。現状のところでは影響はないが、気になるのは、東南アジア2カ国での開催だ。

 中国を中心に世界的に感染者が発生している新型コロナウイルスだが、日本では現在のところ感染者が報告されているものの、7月下旬に予定されている東京オリンピックをはじめ、開幕が迫るサッカーJリーグなどスポーツイベントへの影響はまだない。ただ、屋内や人が密集するイベントでは日本でも中止となったものもあり、2月27日からパシフィコ横浜で予定されていたカメラと写真のワールドプレミアショー『CP+ 2020』は中止となった。

 そんななか、国内モータースポーツ界からは、現在のところイベントの開催に関するニュースは届いていない。ただ過去の事柄からひとつ気になるのは、7月4〜5日にタイのチャン・インターナショナル・サーキットで予定されているスーパーGT第4戦、そして7月17〜18日に予定されているセパン・インターナショナル・サーキットで予定されているスーパーGT第5戦だ。

 この2カ国とも、新型コロナウイルスについては大きな影響は現段階で報告されていない。ただ、どうしても思い起こされるのは、長年スーパーGTを観戦しているファンならばご存じかもしれないが、2003年に当時の全日本GT選手権(JGTC)では、中国で流行していたSARS(重症急性呼吸器症候群)の影響でマレーシア戦が中止になり、富士スピードウェイで代替開催された歴史があることだ。

 参考までに、当時の開催中止の理由については、JGTC公式サイト『JGTC.net』には下記のように記載されていた。以下、2003年5月8日のJGTC.netのアーカイブから引用する。

「マレーシア自体はSARSの危険地域に指定されてはいないが、総勢700名以上のレース関係者がアジア間を移動することや、サーキットにはアジア諸国から多数の観戦客が来場するだけに、万が一でも感染した場合に日本及び自動車業界に与えるリスクを考えるとやむを得ない」

「また、現時点では危険地域でないマレーシアや日本もこの1ヶ月でどう変わるか分からないだけに、GTAとセパンにとっては苦渋の選択だったようだ」

 具体的な中止の理由については、「SARSによる先行きの見えない状況下での開催は、主催者であるS.I.C.(セパン・インターナショナル・サーキット)にとっても、GTアソシエイションにとっても負担が大きいという判断に基づき、中止を決定した」とされている。また、当時は参戦していた自動車メーカーが、社員に海外出張を禁じたこともあり、やむを得ない中止決定だった。

 当然ながら、今回の新型コロナウイルスについても、エントラントからは危惧の声も上がっているようだ。ただ、2月初旬に行われたエントラントへの規則説明会では、GTアソシエイション坂東正明代表から「現状準備は粛々と進めている」と説明があったという。

 今後、開催の可否は、新型コロナウイルスの流行の収束具合によって判断されると思われる。ひとつのバロメーターとして、東京オリンピックの開催が指標になるかもしれない。なお、2003年のときは6月のマレーシア戦について、5月に中止の決定が下されている。

 タイ、マレーシア、そして日本と関係者が開催に向け努力を続けているだけに、ファンにとってもぜひ実現して欲しいスーパーGTの海外2連戦。今は海外戦のみならず、国内カレンダーに影響がないまま、新型コロナウイルスが速やかに流行収束に向かうことを願うばかりだ。

2003年JGTC SARSの影響でで開催できなかったマレーシア戦代替の富士でのレースで競り合うGT-Rとスープラ
2003年JGTC SARSの影響でで開催できなかったマレーシア戦代替の富士でのレースで競り合うGT-Rとスープラ


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