スーパーGT:2020年、レッドブルがGT500本格参入か。フルカラーで殴り込む“レッドブルNSX-GT”の野望

 2020年最初のauto sport本誌(1月17日発売号)では、スーパーGT GT500関連の気になる話題が盛りだくさんだ。

 先日発表されたニッサン陣営のGT500ドライバーラインアップが「なぜ“ほぼそのまま”なのか?」という分析をはじめ、多くの若手を起用し“Class 1規定のNSX”で今季に挑むホンダ陣営の戦力検証など、興味深い内容が多く掲載されている。

 そして、その巻頭を飾るのは、ついにGT500に殴り込みをかけてくる“レッドブルNSX-GT”の超特大スクープだ。

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 東京オートサロンの会場で2020年の体制発表を行なったホンダ陣営。その最大のサプライズは笹原右京のGT500参戦だった。2019年末の段階で、16号車のラインアップは武藤英紀/松下信治組になるものと見られていたが、そこから急転直下、松下が外れて笹原が抜擢されることになった。

 なぜ松下がそのような決断を下したのかは1月17日発売のauto sport No.1523で本人自ら明かしているが、それ以上に驚いたのは笹原が起用されたことだった。

 笹原と言えばF1を目指して単身渡欧し、帰国後はSRS-Fに入校。次席で卒業するとホンダ育成プログラムの一員としてFIA-F4選手権と全日本F3選手権を戦った。しかし、2019年はホンダを離れ、ポルシェジャパンジュニアドライバーとしてPCCJを戦いつつアジアンF3にも参戦。両シリーズのチャンピオンに輝いた。

 つまり、笹原は一度ホンダの枠組みから外れたにも関わらず、ふたたびホンダへ──しかもいきなりGT500ドライバーとして舞い戻ってきたわけだ。

 これだけでも大きな話題を集めたが、2020年の16号車にまつわる驚きはほかにもある。国外からもたらされた情報によると、どうやらチーム無限のマシンにはレッドブルカラーが施されるかもしれないのだ。

 本誌ではこれまでに同様の情報を2回ほど掲載してきた。1度目は2016年8月(No.1437)で、その車両はGT-Rではないかと予想した。2度目は2017年1月(No.1447)で、LC500のイラストとともに大々的に報じた。結果として現在の37号車がそれにあたるが、残念ながら本誌の推測記事は外れフルカラーとはならなかった。そして3度目の今回は(懲りずに)NSXでのフルカラーと予想する。

 そもそもレッドブルがスーパーGTに乗り込んでくるには、それ相応の理由が必要となる。スーパーGTとDTMのあいだで策定した統一技術規則『Class1』は、当初2017年からの導入が予定されていた。両シリーズが統合されれば、レッドブルとしてもグローバルなプロモーションツールとしてスーパーGTを活用できたはずであり、相応の予算を投じることができただろう。

 ところが、当時のその計画が延期されてしまったために、レッドブルフルカラーでのGT500参戦も見送られたものと考えられる。しかし、今年はそのClass1規定がついに導入される。レッドブルがかねてより求めていた環境が整ってきたわけだ。

 また、昨年のスーパーGT最終戦の現場でも“そのヒント”が垣間見えた。もてぎではホンダ陣営のピット裏でルーカス・アウアーの姿が何度も目撃されていた。アウアーといえば、昨年のスーパーフォーミュラにレッドブルカラーで参戦していたドライバー。結果的に今年はBMWからDTMを戦うことがアナウンスされているが、いまになって思えばこうした動きも無関係ではなかったのかもしれない。

 F1ではホンダと、スーパーフォーミュラではチーム無限と良好な関係を築いているレッドブルが「NSX16号車でGT500に乗り込んでくる」のは、自然な流れに見える。

 もっとも、今回の件は単に“色”の話だけにはとどまらない。レッドブルといえば独自のプロモーションを展開する派手なイメージが先行するが、ストイックに好成績を求める集団でもある。

 2017年にGT500へ復帰を果たして以降、チーム無限はいまだ未勝利で、シリーズランキングも18位(2017年)、15位(2018年)、15位(2019年)と最下位が指定席となる惨状だ。

 過去3シーズンをとおして獲得したポイントは、合計でもわずかに35点で2勝分にも満たない。レッドブルがこうした現状に甘んじるとは到底考えられない。

 発表会の壇上で中野信治監督は「体制の立て直しが急務」という主旨の発言をした。ここから先、レッドブルと協力しながら常勝チームへと返り咲くための“チーム無限リバイバルプラン”が計画されているのかもしれない。

 その第一歩が笹原の起用であり、この先にさらに大きな改革が待ち受けていても不思議ではない。野心に満ちたレッドブルが、GT500制圧に向けて虎視眈々と動き出した──2020年16号車のカラーリングには、その決意が込められているはずだ。

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