2019年のスーパーGTシリーズ戦はすべての日程が終了したが、11月21日から24日にかけて『AUTOBACS 45th Anniversary presents スーパーGT×DTM特別交流戦(以下交流戦)』が静岡県の富士スピードウェイで開催され、そのサポートレースとして行われたGT300クラス参戦車両を中心とした“auto sport Web Sprint Cup”にNILZZ Racingは2台の日産GT-R NISMO GT3 (MY2015)をエントリー。GT300クラスのシーズンエントリー車両である48号車は飯田太陽と田中勝輝のレギュラーコンビで参戦した。
■公式練習
初日となる金曜日は公式練習のセッションが設けられたが、天候は生憎の雨模様。9時10分より行われた公式練習1回目は非常に滑りやすいコンディションのなか、飯田を中心に周回を重ね、セッション中盤にマークした2分02秒074で10位となった。
しかしその後も雨量は弱まることはなく、2回目以降のセッションはヘビーウエットとなる。公式練習2回目は先に行われた交流戦のセッション中に発生した霧の影響で10分遅れの11時30分にスタートした。
25分間で行われたこのセッションは田中がステアリングを握り、非常に難しいコンディションで2分12秒742をマークするに留まった。
公式練習3本目は13時00分から行われた。このセッションは飯田がコースインするも、2本目同様にとても滑りやすいコース状況ではタイムアタックはできず。2分12秒490をマークするが、この先コンディションの回復が望めないことからこれ以上の走行はリスクが高いと判断。残り時間を約30分残して走行を切り上げることとなった。
■予選
今回の予選は第1ドライバー、第2ドライバーがそれぞれタイムアタックを行い、それぞれの合算タイムで第1レースのグリッドが決定するというスーパーGTでは馴染みのない予選フォーマットで行われることとなった。
小雨の降るウエットコンディションのなか、8時40分から公式予選が行われた。先ずAドライバーの飯田がアタックを行い、1分48秒395をマークし4番手につける。
そしてインターバルを挟み行われたBドライバー予選では田中が1分46秒761をマークし5番手。合算の結果、トータル3分35秒156で4番グリッドを獲得。決勝第1レースはセカンドローからスタートすることとなり、この後行われる決勝第1レースに期待が持てる予選結果となった。
■決勝第1レース
今回は第1レース、第2レースともに50分間のレース時間、加えて途中ドライバー交代が義務付けといったレースフォーマットで争われる。天候は回復する方向には向かっているもののまだ路面は濡れており、レーススタート後のコンディション変化をどう読むかが決勝第1レースの鍵となる。
グリッドへ向かう試走中も時折小雨が降っていた為、グリッド上ではスタートタイヤはドライか? ウエットか? といった判断を全チームが迫られていた。
しかしNILZZ Racingはこの先天候は悪化しないと判断。田中も試走中に『ドライタイヤで走れる』とインフォメーションを伝えてきた。ドライバーの意思を尊重し、NILZZ Racing48号車はドライタイヤでスタートすることを決断した。
従来のスーパーGTのシリーズ戦とは違い、非常に短い時間でのスタート進行。そのなかでドライタイヤを選択した車両はNILZZ Racing48号車だけだった。
1周のフォーメーションラップを終え、第1レースがスタート。
レインタイヤを装着しているライバル勢が激しくバトルを展開するなか、スリックタイヤを装着する田中はマシンの滑りやすい路面に注意しながら我慢の走りを強いられてしまい、最下位近くまで順位を落としてしまう。
しかし3周目からタイヤが充分なグリップを発揮し出すと、訪れた観客も驚く程の田中のオーバーテイクショーが始まった。NILZZ Racingと田中の思惑通り路面は乾き、徐々にペースが上がっていくと、素晴らしいオーバーテイクを見せ続ける。
そして9周目には60号車RC-Fと52号車マークXを立て続けに抜き、ついにトップに浮上した。
今回のレースは義務ピットストップを1度行うことが義務付けられているが『決勝レーススタート後20分から30分の間』と定められている為、ウエットタイヤを装着するライバル勢はタイムロスを最低限にするためにはピットウインドウがオープンとなるまでウエットタイヤで我慢の走行を続けざるを得ないと言う状況。
加えて義務ピットストップ中にタイヤ交換でジャッキアップを伴った場合は最低停止時間の70秒より30秒多い100秒間の停止が義務付けられているため、この時点でNILZZ Racingは2位以下に大きなアドバンテージを得たことになる。
田中は15周を終えてピットイン。義務ピットストップを消化する。タイヤは交換せず、飯田にドライバーチェンジを行い首位のままコースに復帰。2位以下に30秒以上のマージンを得ることができた。
しかし、NILZZ Racingより先にピットインを行った60号車RC-Fがレース後半に猛追してきた。
飯田はスタート後から無交換のタイヤで攻め続けるも、摩耗によるグリップ不足によりペースが上がらない厳しい状況ながらスパートをかける。
しかし飯田の健闘よりも60号車の猛追が上回り、差は周回を重ねるごとに詰まってしまう。
ファイナルラップに突入する直前、60号車RF-FがNIZZ Racing48号車の背後につける。
そしてファイナルラップのメインストレートでは60号車RC-Fと横並びの状態で加速する飯田。ストレートスピードに僅かに分があったが抑えむことができず、1コーナーの進入で逆転を許してしまう。
諦めず食らいついていく飯田だったが、僅か2.429秒及ばず、NILZZ Racing48号車は2位でチェッカーフラッグを受けた。優勝こそ逃したものの、NILZZ Racingとして公式、非公式を含めて初めてのスーパーGTでの表彰台を獲得するベストリザルトを記録した。
■決勝第2レース
雨が上がり、強い日差しが差す好天の元で行われた決勝第2レース。コース上に所々ウエットパッチが残り、ウエット宣言が為されてはいるがほぼドライコンディションと言っても問題ないほどまで回復していた。
昨日の第1レースで2位を獲得したNILZZ Racing48号車は抽選の結果、上位6台がリバースグリッドとなることが決まったため、5番手グリッドからのスタートとなる。
スタートを担当した飯田はオープニングラップで8位までポジションを落とす。
しばらく8番手~9番手とポジションを前後させ走行を続けるが、急激に上がってきた気温も影響しているのか、ラップタイムの伸びが思わしくないことから、NILZZ Racingは作戦を修正。ピットウインドウがオープンとなった直後に飯田を呼び戻す指示を与え義務ピットストップを消化させた。
ピットに戻ってきた飯田は田中と交代。タイヤ交換は行わずにコースに復帰。これにより一時は最後尾まで順位を落としたが、その後9位まで順位を回復。
しかしその後は順位を入れ替えることができず、そのまま9位で2019年ラストレースのチェッカーを受けた。
auto sport Web Sprint Cupを無事終了することができて、これでNILZZ Racing48号車のすべてのレースが終了となりました。第1レースで2位表彰台を獲得できたことで来シーズンに向けて非常に良い状況で2019年シーズンを締めくくることができました。最後までご支援とご声援、そしてご協力いただきました皆様には改めて感謝致します。
そしてより強力なNILZZ Racingとなって来シーズンも皆さまの前で素晴らしいレースが出来るよう、さらに努力を惜しまず頑張ってまいります。引き続きご支援とご声援、そしてご協力の程、宜しくお願い致します。
from 植毛GO&FUN GT-R auto sport Web Sprint Cup レースレポート
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