2019年シーズン各ラウンドの決勝レース全編をノーカットで収録しているスーパーGT公式DVDシリーズの2019年集大成とも言える『2019スーパーGT公式DVD 総集編』が12月26日に発売された。
2019年スーパーGT開幕戦岡山で前年チャンピオンのホンダNSX-GTに挑んだのは、シーズンオフのテストで好調を維持したニッサンGT-Rだった。
ところが、第2戦富士以降はレクサスLC500が連勝し、2019年シーズン通算6勝を挙げた。NSX-GTは開幕戦の1勝、GT-Rもウエットレースとなった第7戦SUGOの1勝にとどまった。
GT500クラスにおいて、開幕戦でみえた勢力図がここまで大きく変化したシーズンは近年なかった。なぜこのような結果になったのか、さまざまな要因が挙げられる。
ネガティブな要因としては、NSX-GTのミッドシップハンデのウエイト搭載方法が規則上見直されて、重量バランスの適正化に利用できなくなったことや、ニッサン陣営のエンジン開発がやや停滞したことなどが思い浮かぶ。一方、レクサス陣営におけるプラス材料として挙げられるのがエンジン運用方法の進化だ。
レクサス陣営とホンダ陣営はエンジンにプレチャンバーを採用していると言われており、これによって燃焼効率を飛躍的に向上させている。スパークプラグを副室で覆い、そこに向けて燃料を噴射することで燃焼速度が上がり、その結果として燃焼効率が向上してパワーアップを実現する。しかしプレチャンバーを採用した場合、その燃焼をあらゆる条件下で安定させることが難しいというデメリットもあるようだ。
第2戦富士では36号車、au TOM’S LC500にエンジントラブルが発生してリタイアを与儀なくされた。このスティントでドライブしていたのは、WEC世界耐久選手権参戦のために欠場した中嶋一貴に代わってステアリングを握った宮田莉朋。
エンジントラブルが発生した時点ですぐにエンジンを切ったために、トラブルによってエンジン内部が大きく破壊されることを免れた。エンジン開発を担当するTRDでは、このエンジンを分解、検証することで、燃料噴射や点火時期のセッティングの方向性を修正することができたのだという。
36号車のシリーズ展開を考えれば代償は大きかったものの、これがその後のレクサス陣営全体の快進撃を助けたのは間違いない。それ以降のラウンドでは最終戦に象徴されるように、LC500対LC500のレース展開が多くみられる2019年シーズンとなった。
ドライバーズチャンピオンを獲得したWAKO’S 4CR LC500の戦いを振り返ると、その大きな分岐点として挙げられるのがチームルマンとして7年ぶりの優勝を飾った第4戦タイだ。
レース終盤のセーフティカーラン開け、再スタート2周目の攻防でKeePer TOM’S LC500のニック・キャシディに“130R”コーナーへ対してイン側をとられ、サイド・バイ・サイドまで並ばれながらも、山下健太はアウト側で粘り切り、ラインをキープして順位を守った。
この山下の粘りがなければ、続く第5戦富士も含め連勝はなく、シリーズの波をつかむこともなかっただろう。
2019スーパーGT公式DVD 総集編は、各ラウンドをおよそ30分に編集し、2019年シーズンを2枚組DVDに凝縮。オーバーテイクシーンを中心に車載映像も盛り込み、実況音声はサーキットの場内実況とおなじく、オフィシャルアナウンサーのピエール北川氏が担当。激闘が繰り広げられた2019年スーパーGTシリーズの感動を完全保存版でお届けします。
■2019スーパーGT公式DVD 総集編(DVD2枚組)
発売日:12月26日(木)
定価:3520円(税込)
商品紹介ページ:https://www.sun-a.com/magazine/detail.php?pid=11218
from エンジントラブルがレクサスの快進撃を生んだ。『2019スーパーGT公式DVD 総集編』発売
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