SUPER GT 2019年 SUPER GT x DTM 特別交流戦
ついに日本でSUPER GTとDTMの交流戦が実現
レース1をLEXUS LC500のニック・キャシディが制す
GT300のスプリントカップは吉本/宮田組LEXUS RC F GT3が両レース制覇
富士スピードウェイでSUPER GTとDTM(ドイツツーリングカー選手権)の特別交流戦“Dream Race”がついに実現。日本と欧州のマニュファクチャラー、トップドライバーによる共演が日本で初めて行われました。
23日(土)のレース1はKeePer TOM’S LC500 37号車を駆るニック・キャシディがポール・トゥ・ウィンでこの歴史的な初レースを制しました。24日(日)のレース2はセーフティカーが3度も入る大荒れのレースとなり、37号車の平川亮がLEXUS勢最上位8位に終わりました。
併催でGT300クラスを中心とした車両で行われたスプリントカップは、土・日両レースともに吉本大樹/宮田莉朋組 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車が勝利を飾りました。
11月22日(金)から24日(日)にかけて、静岡県の富士スピードウェイで『AUTOBACS 45th Anniversary presents SUPER GT x DTM 特別交流戦』が開催されました。
日本を中心にアジアで戦われているSUPER GTのGT500クラスと、ドイツを中心に欧州を転戦し戦われているDTMは、ともに高い人気を誇る、世界トップクラスのGT車両によるレースカテゴリーで、以前より技術規則の共通化を図ってきました。
そしてついに今年、ほぼ同一の規則に準拠する車両となった2シリーズが、お互いにスポット参戦する交流戦が実現。10月には先んじてドイツ・ホッケンハイムで行われたDTM最終戦にSUPER GT車両が出場し、そしてこの週末、日本で初めて、SUPER GTとDTMが同じレースを戦うDream Raceが行われることとなりました。
車体主要部分となるモノコックやエンジンの規則はおなじですが、それ以外に細かい規則の違いがあるこの2シリーズが戦うにあたり、今大会に向けたルールのすりあわせが行われ、タイヤはDTMで用いられているワンメイクの、日本とは異なるものを使用。
レースは1人で戦うスプリントであるDTMにあわせて、ドライバー交代無し、タイヤ交換義務ありの55分+1周のスプリントレースを土曜、日曜にそれぞれ実施。2人で戦うSUPER GTドライバーは土・日に分かれて出走することとなりました。
SUPER GT勢にとっては未知のタイヤ、DTM勢にとっては未知のコースということもあり、21日(木)より練習走行を実施。21日(木)はドライ、22日(金)はヘビーウエットでの走行となり、各チームSUPER GTとはまったく異なるタイヤ特性に苦しみながらもデータ収集とセッティング作業を行いました。
レース1
23日(土)はレース1の予選と決勝を実施。午前9時25分より、20分間で行われた予選は、まだ軽い雨が残るなか、ウエット路面で行われました。慣れないタイヤ、しかもウエットという難コンディションでしたが37号車のキャシディが速さを見せポールポジションを獲得。
WedsSport ADVAN LC500 19号車の坪井翔が9番手、au TOM’S LC500 36号車の関口雄飛が10番手、チャンピオンカーであるWAKO’S 4CR LC500 6号車の山下健太が11番手。富士マイスター立川祐路のZENT CERUMO LC500 38号車は15番手、DENSO KOBELCO SARD LC500 39号車の中山雄一は17番手グリッドから決勝に臨むこととなりました。
午後2時半、レース1決勝は、濡れた路面が乾きかけているというタイヤ選択の難しいコンディションでしたが、後方の2台を除いてほとんどがスリックタイヤで臨みました。
ローリングスタートながら、通常とは異なる、車間をぴったりと詰めた“インディ方式”でスタートが切られ、世界最高峰のモンスターGT車両が密集したまま4ワイド、5ワイドでTGRコーナー(1コーナー)へと進入。
大迫力のスタートながらトップドライバーのテクニックによりアクシデントはなく、ポールポジションのキャシディは首位をキープ。序盤から後方を引き離して行きました。その後方では坪井、山下、関口の3台のLEXUS LC500によるサイド・バイ・サイドの4位争いとなり、各所で迫力の接近戦が繰り広げられました。
中盤、義務づけられたピット作業では、関口が隣のピットにおなじタイミングで入ってきた車両により行き場を失いタイムロス。大きく順位を落としてしまいました。
キャシディの首位独走は続き、終盤には2位との差を8秒まで広げましたが、残り8分となったところでピット出口に停まってしまった車両排除のためにセーフティカーが導入。各車のマージンは帳消しとなり、再び密集したインディスタートで残り2分を切っての再スタート。
首位のキャシディは後続からの猛追を受けるも逃げ切り、トップでチェッカー。歴史的な一戦での最初のウイナーに輝きました。
再スタートでジャンプアップを果たした関口と、坪井、山下が再び三つ巴のバトルを繰り広げ、山下が4位、坪井が5位フィニッシュ。関口は7位、立川が9位、中山雄一が16位でチェッカーを受けました。
レース2
24日(日)は朝方まで降った雨により、午前9時からの予選はウエットコンディションで行われました。各車一旦タイムを出してピットインし、タイヤを交換して再アタック。
しかし、LEXUS勢はタイムをのばすことができず、37号車の平川が9番手、38号車石浦が10番手、36号車中嶋一貴が11番手。19号車の国本が14番手、39号車コバライネンが16番手、6号車大嶋は20番手と後方グリッドから追い上げを図ることとなりました。
その後天候は急激に回復。昼には強い日差しで気温も20度を超え、暖かさを感じるほどとなり、路面はほぼドライコンディションとなりました。決勝レーススタート時には雲がかかり始め、風も強まってやや涼しくなったものの、気温21度、路面温度21度という11月末としては暖かな中で、午後2時30分にレース2のスタートが切られました。
再び超接近インディスタートから3台、4台が並んだままTGRコーナーへと進入する激しいバトルのなか、LEXUS勢は最上位の平川が8位へとひとつポジションをアップしました。
この日はタイヤバースト車両により9周目にセーフティカーが導入。中盤にもタイヤバーストが発生し2度目のセーフティカーが導入されました。この2度目のセーフティカーからの再スタート直後には、コカコーラコーナー、そして13コーナーで接触によるアクシデントが発生。
この多重クラッシュには、中団グループを形成していた5台のLEXUS LC500が巻き込まれ、38号車と36号車はダメージが大きくそのままレースを終えることとなってしまいました。
このアクシデントで3度目のセーフティカーが導入。レースは55分を経過し、最後の1周という超スプリントでの再スタートが、インディ方式ではなく通常の形で切られました。LEXUS勢では唯一無傷で生き残った37号車の平川が8位でフィニッシュ。大荒れとなったレース2で無事シングルフィニッシュを果たしました。
スプリントカップ
今回はサポートイベントとして、GT300クラスを中心としたスプリント戦『auto sport Web Sprint Cup』も行われました。今季SUPER GTのGT300クラスに出場していた一部の車両に加え、スーパー耐久や鈴鹿10Hに出場したFIA-GT3車両も参加して、こちらはドライバー交代ありのスプリント王者を決める熱戦が繰り広げられました。
トヨタ/LEXUS勢では、SUPER GTに参戦している永井宏明/織戸学組 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 30号車、嵯峨宏紀/中山友貴組 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 31号車と吉本大樹/宮田莉朋組 SYNTIUM LMcorsa RC F GT3 60号車の3台に加え、スーパー耐久シリーズのGO MAX/土屋武士組 MAX Racing RC F GT3が参戦。通常争うことのない車両の直接対決にも注目が集まりました。
スプリントカップの予選は23日(土)午前8時40分より10分ずつ、2人のドライバーがAグループ、Bグループに分かれてアタック。2人の合算タイムで決勝のスターティンググリッドが決定されました。
雨は弱まっているもののまだまだウエットコンディションでの予選で、60号車のBドライバーを務めたTDP(トヨタ・ヤング・ドライバーズ・プログラム)ドライバー宮田が計測一発目のアタックを見事に決めトップタイム。コンビの吉本も2番手タイムで、合算によりポールポジションを獲得。244号車が7番手、30号車と31号車は9,10番手グリッドとなりました。
スプリントカップも土/日に2レースが行われますが、50分のスプリントでこちらはドライバー交代義務あり。タイヤ交換の義務はないものの、ピットレーンの通過最低時間が決められており、ドライバー交代のみは70秒、タイヤを交換した場合(ジャッキアップした場合)は100秒とされました。
23日(土)予選に続き午前11時50分にスタートを切った決勝レースは、霧雨が降っているも路面は部分的に乾き始めている悩ましい状況。1台を除いてほとんどの車両がウエットタイヤでスタートを切りましたが、すぐに路面はスリックタイヤの方が速いコンディションとなり、そのスリック装着車両が首位に浮上しました。
ウエットタイヤを装着してポールポジションからスタートを切った60号車の吉本は、ドライバー交代のためピットイン可能な時間になるとすぐにピットへ向かい、宮田へと交代するとともにタイヤもスリックへと交換。
60号車がコースへ復帰した時点で、最初からスリックで首位を逃げる車両とは40秒弱の差がついていましたが、宮田はライバルよりも1周あたり3秒から5秒も速いタイムで猛烈な追い上げを見せ、ファイナルラップを迎えるストレートで並ぶと、TGRコーナー進入でパス。ファイナルラップの劇的な逆転で、60号車がレース1を制しました。
30号車は表彰台を争いましたが最後に逆転を許し4位。31号車は8位。244号車は11位に終わりました。
24日(日)のスプリントカップレース2は、レース1の結果でグリッドが決定。但し、上位6台は、くじ引きでそのままの順位かリバースグリッドを決めるという、特別戦らしいルールとなりました。
レース1を制した60号車の吉本が引いたくじの結果はリバース。60号車は3列目6番手からスタートを切ることとなりました。
朝方までの雨で濡れていた路面が、強い日差しで急速に乾いていく中、午前11時35分にスプリントカップのレース2がスタート。6番手グリッドの60号車吉本は、好スタートを切り1周目で4位まで順位を上げると、2周目のTGRコーナー進入で3位、ダンロップコーナーでさらに1台パスし、僅か2周で2位へとポジションアップを果たしました。
この間に首位との差は10秒以上と大きく開いており、加えて後続からの猛追を受けることとなりましたが、60号車の吉本は2位のポジションを守りながらも首位との差をじりじりと詰め、ピットイン可能となった14周を終えたところで宮田へとドライバー交代しました。
宮田は完全に乾いていく路面で、交換しなかったタイヤをいたわりながらもハイペースでの周回を続け、遅めのピットを終えたライバルとの差を詰めると、翌周にパス。その後は後続との差を広げ、前日のレース1に続き、スプリントカップ両レース制覇を達成しました。好バトルで観客を沸かせた30号車が5位、31号車が6位。244号車は10位フィニッシュとなりました。
コメント
KeePer TOM’S LC500 37号車 ドライバー ニック・キャシディ:
「歴史的な交流戦の最初のレースで勝つことができ大変嬉しいです。2つのカテゴリーの交流戦という、夢の実現は我々にとっても素晴らしいことですし、将来はもっとこのような機会が増えることを願っています。回数を重ねていけば、もっと激しいバトルができると思います」
「レースフォーマットもいつもとはまったく違いましたが、楽しめました。DTMはヨーロッパでF3を走っていた頃からよく見ていましたし、目標でもありました。素晴らしいドライバーやマニュファクチャラーによる選手権ですし、そのDTMとの交流戦で勝てて最高の気分です」
from LEXUS GAZOO Racing スーパーGT×DTM特別交流戦 レースレポート
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