Arnage Racing 2019スーパーGT第8戦もてぎ レースレポート

SUPER GT Rd.8 MOTEGI 250km
Arnage Racing Team Release

2度のアクシデントにもレースを諦めず、最終戦を完走。2019年も全戦完走を果たす。

 第7戦のオートポリスラウンドの後、ひと月余りのインターバルを経て第8戦となるのは、最終戦もてぎラウンド。チームはもてぎで2019シリーズの有終の美を飾るべく、ブレーキが肝となるツインリンクもてぎに合わせてブレーキ関係を整備し、万全のメンテナンスを施した。

11月2日 予選

天候:晴れ
路面状況:ドライ
気温:19度
路面温度:25度
入場者数:2万500人

 最終戦のグリッドを決める土曜日の朝は、雲ひとつない青空の広がる秋晴れとなった。8時50分から行われた公式練習では、加納政樹、山下亮生両選手が交互に時間いっぱいを使って練習走行を行ったが、両選手ともにストップアンドゴーが特徴のツインリンクもてぎを攻めあぐね、タイムを出すことに腐心していた。

 一方チームは、タイヤ選択を公式テストの際に好調であったという情報から、フロントにミディアム、リアにミディアムハードという、これまでにないコンビネーションで公式練習に臨んでいた。

 しかし、コンディションが合わなかったためかタイヤの感触が非常に硬く、チームは予選、決勝にはこのタイヤの組み合わせでは走行できないという結論に達した。

 午前中の練習走行の結果を踏まえて状況を打開すべく、チームはフロントにソフト、リアにミディアムのタイヤをチョイスして14時からの予選に臨んだ。

 Q1開始と同時に山下選手がコースに出て、慎重にチャンスを伺っていたが、4周目に1分48秒160をマーク、Q2進出には及ばなかったが、望みうる最良のパフォーマンスで予選を終えることができた。

 Arnage Racingの最終戦のグリッドは26番手となったが、チームは山下選手のナイスアタックで、タイヤのチョイスに問題がなかったことを確認することができた。予選後、チームは何度もドライバー交替のシミュレーションを行い、最後のピットワークを抜かりなく行えるよう練習を重ねた。

ARNAGE AMG GT3(加納政樹/山下亮生)
ARNAGE AMG GT3(加納政樹/山下亮生)

11月3日 決勝

天候:曇り
路面状況:ドライ
気温:20度→19度
路面温度:26度→23度
入場者数:3万5500人

 決勝の日を迎えたツインリンクもてぎは薄曇りながらも、予選日同様秋の日差しが暖かく、絶好の観戦日和となった。最終決戦を見ようと詰め掛けた大勢の観客が見守るなか、13時30分、栃木県警の白バイとパトカーによるパレードラップ、フォーメーションラップへと続き、いよいよ今シーズンのファイナルラウンドが幕を開けた。

 前日の予選で調子の良かったソフト+ミディアムのコンビネーションタイヤで決勝に臨むことになったARNAGE AMG GT3は、山下選手のドライブで250km先のチェッカーを目指して最後の戦いをスタート。

 ところが、山下選手はスタートラップの2コーナーでスピンした他のマシンを避けようとしてスピン、グラベルにはまってしまう。幸いオフィシャルの手でコースに戻ることができた山下選手は、気を取り直したか、1.5周ほどの遅れを取り戻すかのように全力でレースを再開、何度も1分51秒台をマークする好調さを見せ、少しずつギャップを挽回していった。

GT300クラスのスタート後、1~2コーナーでコースアウトしてしまったARNAGE AMG GT3
GT300クラスのスタート後、1~2コーナーでコースアウトしてしまったARNAGE AMG GT3

 しかし、ルーティンピットの迫る25周目、山下選手はV字コーナー付近で痛恨の単独スピンを喫する。グラベルに埋まって万事休すかと思われたが、再びオフィシャルのおかげでマシンがコースに戻され、山下選手はすぐさまピットに呼び戻された。

 チームは当初、ピット作業を少しでも短縮するため、タイヤ交換を左側のみと予定していた。しかし、すでに先頭車両に4周の差をつけられ、完走ポイント3点を望めなくなったARNAGE AMG GT3は、何としても完走ポイント1点を獲るため、手堅く4輪交換に作戦を変更。

 マシンにダメージがないことを確認したメカニックが、後半のスティントにステアリングを託された加納選手をコースに送り出した。

ピットインするARNAGE AMG GT3(加納政樹/山下亮生)
ピットインするARNAGE AMG GT3(加納政樹/山下亮生)
ARNAGE AMG GT3(加納政樹/山下亮生)
ARNAGE AMG GT3(加納政樹/山下亮生)

 加納選手は、ほぼ単独でコースを周回できるチャンスに、苦手意識のあったもてぎの攻略を試み、何度かチャレンジを繰り返しながら、少しずつタイムを上げていった。そしてラスト3周、1分52秒台前半の好タイムを連続でマークして、28番手でチェッカーを受けた。

 Arnage Racingは、2度のスピンで勝負権を失ったものの、最後までレースを諦めなかったふたりのドライバーの頑張りで無事に完走を果たして、シーズンを終えることができた。

<1年を振り返って>
 チーム結成から7年目となる2019年は、これまで以上に生き残りの難しいシーズンとなりました。資金力のある強豪チームがひしめき合い、シード権争いがさらに激化する中、数少ないプライベーターチームのなかでも最も力の弱いチームのサバイバル力が試されるシーズンでした。

 Arnage Racingは、昨シーズンから引き続いてMercedes AMG GT3でシーズンに臨み、チーム結成当初から苦楽をともにしてきた加納選手に、若手の山下選手、さらに第3ドライバーとしてルーキーの手塚祐弥選手を加えて、全戦完走を目標にシリーズを戦ってきました。

 Aシードでスタートしたシーズンでしたが、悪天候やアクシデントに泣かされたレースもあり、“トップと同一周回または1周遅れの完走”の3ポイントを獲得することは困難でした。しかし、1度もリタイアすることなく、全戦完走を以ってなんとか無事にシーズンを終了することができました。

 今シーズンも毎戦薄氷を踏むようなレースばかりで、非常に苦しいシーズンでしたが、そんななかでも温かくチームを見守り応援してくださるスポンサーのみなさま、ファンのみなさまのおかげで、最終戦までシリーズを戦うことができました。

 チーム一同感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございました。

●Arnage Racing、SUPER GT 2019年シリーズの戦績

Round1 4/13~4/14 岡山国際サーキット:22位完走
Round2 5/3~5/4 富士スピードウェイ:17位完走
Round3 5/25~5/26 鈴鹿サーキット:24位完走
Round4 6/29~6/30 チャン・インターナショナル・サーキット:20位完走
Round5 8/3~8/4 富士スピードウェイ:21位完走
Round6 9/7~9/8 スポーツランド菅生:12位完走
Round7 9/21~9/22 オートポリス:16位完走
Round8 11/2~11/3 ツインリンクもてぎ:28位完走

スターティンググリッドでの加納政樹、山下亮生両選手とArnage Lovely Catsのみなさん
スターティンググリッドでの加納政樹、山下亮生両選手とArnage Lovely Catsのみなさん


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