2019 AUTOBACS SUPER GT
auto sport Web Sprint Cup
富士スピードウェイ
開催地:富士スピードウェイ(静岡県)/4.563km
11月22日(公式練習)
天候:雨
コースコンディション:ウエット
観客数:5100人
11月23日(予選・レース1)
天候:曇り
コースコンディション:ウエット
観客数:2万2600人
11月24日(レース2)
天候:曇り
コースコンディション:ドライ
観客数:2万4100人
レース1は表彰台まであと一歩! レース2も5位、来季に期待を抱かせたスプリントカップ!
シーズンはすでに終了したが、それからわずか3週間。スーパーGTには、もうひとつ戦いの場が残されていた。それが富士スピードウェイを舞台とする、『auto sport Web Sprint Cup』で、初開催のGT500とDTMの特別交流戦のサポートレースとして行われる。
このレースにもシリーズ戦同様、aprは2台体制で挑み、『#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT』は永井宏明選手と織戸学選手とともに戦うこととなった。
レースの特徴としては、50分間の2レース開催で、スタートから20~30分間にドライバー交代を伴うピットストップが義務づけられている。通常ならば、一刻も作業を済ませ、ピットを離れたいところだが、このレースはピット入口から出口までの通過時間が70秒以上とされ、ジャッキアップ時、つまりタイヤを交換した場合は100秒となる。
素早いピットワークもスーパーGTの魅力のひとつでそういったスペクタル性こそ欠くもののイコールコンディションはより保たれることとなる。今シーズンの#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは、エンジンも駆動方式も完全に改めたブランニューマシンということもあって、最後まで入賞を果たせず。
苦難のシーズンではあったものの、絶えず重ねてきた改善が来シーズンに結びつくよう、このレースには確認が最大の目標とされていた。事前に岡山国際サーキットで直前にテストを行い、さらに……という状況のなか、どんな成果を残してくれるか、大いに期待されていた。
公式練習 11月22日(金)9:10~9:50/10:30~10:55/13:00~13:40
通常のシリーズ戦とは異なり、走行開始が金曜日からで、しかも公式練習は40分間、25分間、40分間の3セッションでの実施となった。ただし、その3セッションはいずれも雨模様。とても恵まれた……とは言い難いコンディションとなっていた。
そのため#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTに最初に乗り込んだのは織戸選手ではあったが、セッション1の序盤は確認の走行を行った後、しばらくはピットで待機することとなる。
それでも後半になると、若干雨が弱まったこともあり、ちょうど赤旗中断からの再開後に織戸選手は再び走り始めることに。周回を重ねるごとタイムを縮めていき、最終ラップには1分59秒769を記すまでとなった。
しかし、セッション2ではさらに雨が強くなったこともあり、ここでは永井選手、織戸選手ともにチェックの1周だけに留める。セッション3も引き続き強い雨に見舞われたこともあって、織戸選手は周回を重ねたものの、あくまでのチェックの範疇におさめていた。しかしながら、ピットのムードは上々。それは岡山のテストで好印象を得られていたからに他ならない。
Aドライバー予選 11月23日(土)8:40~8:50
予選は独自のシムテムが採られており、AドライバーとBドライバーのタイム合算で、レース1のグリッドが決められることとなっていた。計測は10分間のみで、しかも小雨がしとしとと降るセミウエット状態。気温は12度、路面温度は13度と、なかなか難しいコンディションとなっていた。
最初のセッションに挑んだのは永井選手。計測2周目に1分51秒242をマークして、滑り出しは上々ではあったものの、その後の伸びを欠いてしまう。変化するコンディションに、どうやらうまくマッチできなかったようだ。このセッションでは11番手という結果に終わった。
Bドライバー予選 11月23日(土)9:00~9:10
10分間のインターバルを経て、引き続きBドライバーのセッションが行われた。雨足が徐々に増していたことから、アタックの機会は1回のみと織戸選手は察知していたようだ。そのため、タイヤのウォームアップはアウトラップの1周に留め、計測1周目には1分46秒689をマークする。
この判断が大正解、セッション後半にタイムアップするドライバーは現れなかったからだ。織戸選手が4番手につけた結果、合算タイムでは9番手に。レース1には5列目グリッドから挑むこととなった。
決勝レース1(50分間)11月23日(土)11:50~
レース1は土曜日のお昼に行われた。金曜日のような勢いではないが、引き続きコースは雨で濡れており、霧雨が舞うなかで各車グリッドに並べられることに。#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTのスタート担当は永井選手。もちろんウエットタイヤが装着された。
上々のスタートを切った永井選手は、オープニングラップに6番手へと浮上。その後も次々と襲いかかってくるライバルを相手に、一歩も引かぬ状況を続けていた。しかし、1台だけ例外が。
後方から明らかに速いペースで追い上げてくる車両があり、なんとドライタイヤを装着してスタートしていたのだ。路面状態が回復の傾向にあったため、こればかりは抗う術もなく6周目に先行を許したものの、7周目には永井選手も1台を抜いて6番手に返り咲く。
スタートから20分間経過した11周目に、すかさず#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTはピットイン。織戸選手との交代と併せ、ドライタイヤへと交代する。プラス30秒の停止時間は、もはやトップを快走する、スタートからドライタイヤを装着していた車両以外の全車が交換していたことから、ハンディにはならず。
ポジションキープで折り返した織戸選手は、14周目の1コーナーでひとつ順位を上げ、さらに交代をギリギリまで送らせていた車両の前に出ることとなって4番手に浮上。なおも勢いの止まらぬ織戸選手は16周目には、ついに3番手にまで躍り出た!
その後、しばらくは単独での周回が続いていたが、異なるタイヤメーカーでピーク時に違いのあった後続車両が、ゴール間際になって急接近。最終ラップの1コーナーであえなく逆転を許したものの、これまでの苦労が一気に報われる、4位でのゴールを果たすこととなった。
永井宏明選手
「岡山に事前テストに出向き、色々なセットアップを試してみました。シーズンを通して、一番乗りやすくパフォーマンスが感じられるマシンには仕上がったと思います。でも、今回レギュラーチームの参戦も少なく、本気の上位陣が参戦していれば、まだまだパフォーマンスは足りないと思います」
「特に、コーナリングに合わせたセットを突き詰めると、パワーウエイトレシオの面での厳しさが目立ち、立ち上がりでついていけなかったのが現状です」
織戸学選手
「今年1番の最高のレースができました。ピット作業も、永井選手の走りも全てが今年最高でした。表彰台には届かなかったですが、これぞレースの醍醐味。ヨコハマタイヤの協力をいただき先日、岡山プライベートテストにて、進化したマシンにも感謝。チームも、我々ドライバーも、マシンも2020年はまだまだ進化します。もちろん、明日も進化です!」
金曽裕人監督
「今回のレース前にクルマにかなり手を加えたのですが、確認するために岡山でテストをして、その流れで富士に入りました。いろいろ試せたセットで走れて、改良したところを、さらに見直せた効果が出て、結果につながったという感じです。それでもまだ足りないことが今回分かったので、そこはこれから来年に向けての改善につなげていきたいですね」
「あの路面状態で、ドライタイヤで行っていたら、もっと面白いことが起こっていたかもしれませんが、今回の目的というのが『表彰台に立とうぜ、あわよくば優勝を狙おうぜ』ではなく、きっちりと僕らが階段を1段1段上がっていくことだったんです」
「マイレージを稼ぎたかったし、これまでタマを打ち続けてきたことの確認のレースだったので。でも、悪くなかった! 見事だったのは、永井選手があのペースでずっと走っていたこと。よっぽど今まで乗りにくかったんだな、というのが今回よく分かりました」
決勝レース2(50分間)11月24日(日)11:35~
日曜日になると天候は一気に回復し、スプリントカップのレース1のころには青空まで広がるようになっていた。ただし、気温は20度、路面温度は22度と、この時期としてはやや高過ぎの印象も。
未明まで降り続けていた雨の影響で、路面は一部にウエットパッチを残していたものの、あえてギャンブルでウエットタイヤを装着しようという車両は存在しなかった。
さて、スターティンググリッドはレース1の結果に基づき、そのままかリバースグリッドということになっていたが、レース1ウィナーのポディウム上でのくじ引きの結果、なんとトップ6のリバースグリッドが採用されることに。そのため、4位でゴールしていた#30 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTは、3番グリッドからスタートを切ることとなった。
レース2もスタートは永井選手が担当。ポジションキープからのレース開始となったが、その後のバトルに対しても少しも動じることはなかった。それぞれのクリーンなファイトの末に7番手にまで順位を落とすも、その後はしっかり織戸選手による応酬が。
12周目に交代し、16周目にはまず1台をパス。次の周にはペナルティストップを課せられた車両がピットに戻ったことで、織戸選手は5番手に。さらに26周目にはもう1台をかわしていく。だが、連なって順位を上げてきた後続車両はFIA-GT3。ストレートパフォーマンスに優れることが、終盤になってじわりじわりと差を生じることに。
織戸選手は鉄壁のガードで逆転を阻んでいたが、堪えきれず最終ラップの1コーナーで順位を入れ替えられてしまう。それでも5位でのフィニッシュに成功。まさに来季への大躍進を感じさせるシーズンエンドとなった。
永井宏明選手
「ドライでのパフォーマンスも良かったです。なにより、バトルが気持ちよくできました。ハーフウエットのスタート直後の混乱にも巻き込まれず、ドライビングが楽しいと思えるマシンに仕上がりました」
「来年は、開幕戦からもっとパフォーマンスを出せるようにタイヤメーカーのみなさま、チームのみなさま、応援下さるみなさまと一丸となり、オフシーズンの改良に取り組みたいと思います。終わり良ければ総て良しと言ったかんじです。1年間たくさんのご声援ありがとうございました」
織戸学選手
「今日のレースも沢山のバトルもできて最高にエキサイティングでレーシーでした。岡山テストの成果は高かったけど、マシンはもっともっと進化させないといけない。今回の特別戦、このフォーマットも最高でした」
「すべての関係者のみなさま、本当に参戦させていただき、最高の経験ができました。ありがとうございました。また、1年間たくさんの応援くださったファンのみなさま、ありがとうございました。来年はもっとエキサイトなレースをお見せいたしますので待っていてください」
金曽裕人監督
「この週末は、ふたりとも絶えずしびれる走りを見せてくれました! 間違いなく『来年に乞うご期待』と言えるレースになりました。長くかかったけれど、このクルマはこう走らせるのが正しいというのが、ようやく見えてきたのは事実です」
「でも、今回のメインテーマは2020年用のテストで、マイレージを上げるというのがあったので、もっと欲を出して、いろんなことをやっても良かったんですが、本当にきっちりやろうということで……。でも人間って欲深いから『いや~、表彰台に立ちたかった』って思う」
「そうなんですけど、そこが見えるようなクルマに、最終戦が終わってからの短期間で、しっかり時間を使ってやってきた効果が現れたので、今はこれで良しとします。ドライバーのふたりには、『グッドジョブ!』と声をかけてあげました」
from 30号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT auto sport Web Sprint Cup レースレポート
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