「いろいろと新鮮な発見があった」バトンが初めてのDTMで感じたスーパーGTマシンとのドライビングの違い

 終日ウエットコンディションとなったDTM第9戦ホッケンハイムの日曜日。レース2の予選、決勝に参戦したホンダNSXのTEAM KUNIMITSUジェンソン・バトンは予選19番手、そして決勝では15位でフィニッシュ。ドライコンディションで行われたレース1の9位から順位を大きく落とす結果となってしまった。レース後のバトンが答えた。

「ドライタイヤでは『ワーキングウインドウ(最適な状態)』に入れることができるようになっていたけど、ウェットタイヤではまだそれができていないから苦労したよ。スーパーGTで使っているいつものタイヤと比べるとかなり硬いから、それに合わせるためにいろいろと試したけど、難しかったね」と、日曜日のセッションを振り返るバトン。

「ベストは尽くしたんだけど、彼ら(隣に座る、この日3位までに入ったDTMドライバーたち)とのラップあたり3秒の差を埋めるのは無理だった。タフだったけど、11月の富士でのレースに向けてたくさんのことを学べた一日だった。日本のドライバーには、DTMドライバーと良いバトルができるよう、僕たちが学んだことを全部伝えておくよ」

 この週末、バトン、そしてTEAM KUNIMITSUはDTMに参戦して、どのようなものを得ることができたのか。

「本当にたくさんのことを学んだと思うよ。たとえばセットアップに関してだけど、この週末はスーパーGTの1年でやるよりも多くのさまざまなトライをしたんだ。それからマシンの特性の違いも分かった。DTMの彼らは縁石に乗ってパワーをかけて、オーバーステアが出てもそのままの姿勢を保ち、最後にピシッとグリップを得るタイミングがあるみたいだ」と、ドライビングにも新しいアプローチがあったと語るバトン。

「そういったハンドリングとエンジンの特性の違いが相まって、いろいろなところで新鮮な発見があった。僕らのGT500マシンはコーナー出口でのグリップが高いから、スロットルを『鳥の羽のように』優しく踏む必要はなくて、グッと踏んで加速していく。そんな風に、本当にDTMとスーパーGTのマシンではドライビングでも違う部分がたくさんあることが分かった。スーパーGTのチームも、この先日本でレースをする時に役に立つと思う」

 立場を逆にして、11月に行われる富士での交流戦では、DTMドライバーたちにどのようなアドバイスをするのか?

「彼は速すぎるから何も教えないよ! 僕は走らないからいいか(笑)。まず、このホッケンハイムより富士の方がかなりバンピー。我々ヨーロッパ出身のドライバーにとっては、日本のサーキットは、たとえばル・マンみたいにクルマがバンプするように感じると思う。でも、それ以外はすごく似ていると思う。ここのターン1のように縁石があるソーセージカーブがあるし。いずれにしても、DTMの彼らはバランスの良いセッティングを見つけるだろうね。面白いレースになるはずだから、楽しみにしているよ」

 今回、初めてDTMに参戦してみたが、今後、DTMにフルシーズン参戦する予定はあるのだろうか。

「今のところ、来年に関しては何も決まっていないので、どうなるかな(笑)。とにかく、この週末は本当に楽しめたよ。いろいろな人たちのサポートがあり、大きな自動車メーカーが3社関わっている、素晴らしいシリーズだよね。将来、彼らと一緒にレースをするのもいいかもね」とバトン。

 ヨーロッパと日本の両方をよく知るバトンにとっても、DTMの世界は驚きだった様子。同じハコ車のトップカテゴリーで一見、見た目は似ていながらも、マシンの作り、そしてセットアップにタイヤ、さらにドライビングなどさまざまな違いを実感できた初DTMとなったようだ。

「いろいろと新鮮な発見があった」バトンが初めてのDTMで感じたスーパーGTマシンとドライビングの違い
ドライではDTM勢と互角以上に戦えたNSX-GTとバトンだったが、レインでは太刀打ちできず
DTM勢と互角のバトルを展開したジェンソン・バトンのホンダNSX-GT。DRSやプッシュ・トゥ・パスがない中で健闘をみせた。
DTM勢と互角のバトルを展開したジェンソン・バトンのホンダNSX-GT。DRSやプッシュ・トゥ・パスがない中で健闘をみせた。
ジョナサン・アバーディーンらとバトルを展開するジェンソン・バトンのNSX-GT
ジョナサン・アバーディーンらとバトルを展開するジェンソン・バトンのNSX-GT


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