オートスポーツwebをご覧の皆さんグーテンターク。10月4〜6日、ドイツのホッケンハイムで開催されたDTMドイツ・ツーリングカー選手権第9戦ホッケンハイム。スーパーGT GT500クラスのマシン3台がゲスト参戦して、日本でも大きな盛り上がりをみせたこのレースですが、現地で取材した際のこぼれネタを、ドイツから帰国しやっと時差ボケが治りつつある編集部付なんでも屋のヒラノがお届けします。まずは到着した10月2日から、走行2日目の10月4日までの分をどうぞ。
2008年、まだ09年規定を先取りしたニッサンGT-Rが勝ちまくっていたスーパーGTのツインリンクもてぎ戦のとき、当時はまだ見慣れないヨーロッパ人の集団が来ているのを目撃して、「DTMの代表団が来てるらしい」と聞いたのが、個人的な『クラス1』規定の取材のはじまりでした。その後イギリスのAUTOSPORTが報道しはじめ、慌てて追いかけだしたのを覚えています。
そんなクラス1規定が、3台だけのゲスト参戦とは言えいよいよレースという形で実現する……という熱い想いでやってきたドイツ。今回は羽田空港を0時過ぎに出る便に乗り、早朝にフランクフルトに到着しました。
ただ、空港で出会った松田次生選手によれば、どうやらみんな昼すぎにサーキットに行くらしい……と聞いて、時間を持てあますことが判明。そこで最近ドイツに来るたびにこなしている、サッカー・ブンデスリーガのスタジアム巡りに出かけてみました(サッカーも大好きなもんで)。ホッケンハイムをちょっぴり過ぎたジンスハイムという街にある、プレゼロ・アレーナ(ライン・ネッカー・アレーナ)です。ドイツのスタジアムは本当にどこもシンプルだけど素晴らしい作りです。
■10月2日(水)
というわけで前置きが長くなりましたが、プレゼロ・アレーナでホームチームのTSGホッフェンハイムのユニフォームをゲットして、20分くらいレンタカーで走って、やってきましたホッケンハイム(ややこしい?)。着いた時はあいにくの雨。まだDTMチームもほとんど来ていなくて、日本チームの皆さんだけ「マジ寒い!」と言いながら準備をしている状況でした。
幸いにして午後からは雨も止み晴天に。LEXUS TEAM TOM’Sの皆さんにくっついてコースウォークの写真を撮りにいきました。ちなみに私ホッケンハイムは2回目ですが、コースウォークしたのは初。ターン2とターン6の奥には旧コースの名残が残っていてちょっと感動。1994年のF1ドイツGPで、片山右京さんがティレルで予選5番手から表彰台を争い興奮したのを思い出します。
F1日本グランプリでも、レース前はいろいろなお色直しがありますが、今回水曜にはまだあちこちの縁石にペンキが置いたままでした。今回ホッケンハイムの縁石に使われていたのはコレ。「アンチスリップ」な塗料なのですね。
いわゆるスタジアムセクションに入るターン12のそばには、以前なかったこんな巨大建造物が建築中。ル・マンにもありますが、ポルシェのエクスペリエンスセンターです。そのため今回パドックへ入る道は工事中の場所が多かったですね。
LEXUS TEAM TOM’Sの皆さんと1周してピットへ戻ってくると、今度はNISMOの皆さんがコースウォークへ……行くのかと思いきや、WRTのピット前でアウディRS5 DTMに釘付けです。けっこう気になる部分があった様子。この後、さすがに2周目に行くのは無理だったので、「じゃあこの辺で」と1コーナーでNISMOのふたりとはお別れしました(笑)。
ふたりが釘付けになっていたWRTのアウディです。今季のDTM最強マシンですが、規定でフリックボックス(フェンダーからバンパーに繋がる部分ですね)、サイドのラテラルダクトなどは全車共通。GT500はこの部分が開発できるので、事前に性能調整の必要性が話されていたのです。それにしても冷却ファンはGT-R風ながらけっこうメカニカル。かなりソソる作りです。
サイドのラテラルダクトも、全車この形状。あまり意識しない部分かもしれませんが、11月のスーパーGT×DTM特別交流戦の際もこの部分をぜひGT500車両と比較してみてください。
ちなみに、アウディのワークス勢はこんな感じでファンを使わない時は収納していました。そのうしろのオーバーヘッドコンソール含めて、ドイツ勢のピットは非常に機能的でした。
日本勢のピットに戻ってみると、ワラワラとBMWやWRT、アウディのウェアを着たスタッフたちが。この光景は2017年にも観ましたが、やっぱり皆さん気になる様子。とはいえ、どちらもあまり隠すでもなく、ドイツ側からいろいろと助けがあったのも印象的でした。
■10月3日(木)
というわけで、いよいよ10月3日となり走行開始。2017年のデモランの際にはいなかったホンダNSX-GTがホッケンハイムを走るのはかなり印象的。ちなみにちゃんと調べてはいないのですが、おそらく長いDTMの歴史の中でも、ミッドシップのマシンが参加したのはこれが初(そしておそらく最後)だと思います。そういう意味でも感慨深いものでした。
ちなみに走行前、ピットレーンで目撃したのがコレ。ストップ位置を決めるテープを剥がしているところなんですが、熱を入れて剥がしたいのかなんなのか、ボーボーと燃えてます。ピットレーンは火気厳禁なんですけどねぇ(笑)。
GT500マシンが走っている様子をサインガードから見るアウディのスタッフたち。ホント最初のテストセッションのときはみんな観てましたからね。
ちなみに今回は3台ともにハンコックタイヤを使用することもあり、チームウェアやレーシングスーツ等、スーパーGTで使うタイヤメーカーのロゴは隠して対応してました。
初日のジェンソン・バトン選手の走りなのですが、ご覧の通りサインガードからめちゃ顔出てます(笑)。そしてこの時は火花も出ているのでけっこう良い感じなのかな……と思っていたのですが、このあたりから日本勢はちょっと雲行きが怪しくなってきていたのでした。
木曜の2回のテストセッションの後は、DTM車両と3台のGT500車両がそろう記念撮影が行われました。日独のスタッフとフォトグラファーが入り交じる光景はなかなか新鮮です。
まあみんな写真は撮りたいのですが、今回は構図上高さが必要。ハッとうしろを見たらいい感じで陣取っていたのは松田次生選手。ちなみにコレ、フラッグタワーなんですが、けっこう揺れます(笑)。
写真撮影位置に移動する際は当然メカニックたちによる手押しなんですが、新鮮だったのは、DTM勢はすぐドアごと外しちゃうこと。スーパーGTでは皆さんドアを開けてステアリングを動かしてますからね。ちなみに、外したドアはリヤウインドウに置かれてます。手に持って歩いているチームも多数です。
というわけで無事に撮影が行われたのですが、連絡不徹底(?)なのか、ちょいちょいうしろに作業車が来てました(笑)。そのたびに日独のフォトグラファーたちから漏れるため息。
さて、今回TEAM KUNIMITSUから参戦したホンダNSX-GTですが、バトン選手がひとりでドライブ。F1日本グランプリのFP1を走る山本尚貴選手はホッケンハイムでは走りませんでしたが、チームはそんな山本選手の思いも乗せて走るべく、サイドミラーに山本選手の『NY』のロゴをつけていたんですね。チームのSNSで気付いた方も多かったのでは。
■10月4日(金)
走行2日目。この日はGT500ドライバーたちのプレスカンファレンスからスタートしました。主にドイツ&ヨーロッパのメディア向けで、基本全部英語でした。
プレスカンファレンスに続いては、ついにDTMマシンと混走開始です! DTMはピットレーンでの撮影がかなり厳しくて抽選があるのですが、幸運にも走り出しのフリープラクティス1の撮影ができました。めでたく撮れたレクサスLC500とアウディRS5 DTM、ホンダNSX-GT、ニッサンGT-Rが並ぶシーン。まあ雨でずぶ濡れでしたけどね!
ピットで遭遇するBMW M4 DTMとNSX-GT。いや〜、この光景が撮れただけでもドイツに来た甲斐があるってもんです。2008年から「これが実現したらすごいな」と思っていた光景が実現しました。
スーパーGTファンの皆さんならご存知と思いますが、今季MOTUL AUTECH GT-Rはリヤウイング翼端板がそのレースごとに違います。今回どんなものになるのか期待していたのですが、期待どおりでした。こんな感じです。
プラクティスのあとは、スタート練習なんかもありました。スーパーフォーミュラでは見慣れた光景ですし、DTMではいつものことなのですが、GT500車両ではホント新鮮でした。
さて、DTMに取材に来たメディアがいちばん驚くのがコレ。まあ自慢っぽくなりますがご容赦を。メディアは駐車場がかなり遠いところなのです。荷物もたくさんある(特にフォトグラファーは)ので、日本では遠いとちょっと困ってしまうのですが、ドイツではぜんぜんOK。なんせアウディ/フォルクスワーゲン、BMWが提供するメディアシャトルがガンガン送迎してくれるからなのです。
今回はアウディQ8、BMW X7 M50i、BMW 7シリーズ、それにフォルクスワーゲンのバンというラインアップ。まあぶっちゃけQ8かBMWのどれかに乗りたくて選り好みしてましたが、アウディは乗れず仕舞い。それにしてもBMWのスゴいことと言ったら……。
まあ超高級車なので、スゴいのは当たり前ですがね。後席にもこんなモニターがついてましたよ。パワフルなのに乗り心地も最高。運転手さんたちがたまにガツンとアクセルを踏むのはワザとだったはず。ドイツメーカーからの「これで送迎してんだから良い記事書けよな」という無言のプレッシャーでもありますが、まあシャトルについては良く書かざるを得ません(笑)。
別にフォルクスワーゲンのバンでも、こんな感じでゆったり乗れるのでいいんですけどね(笑)。ちなみに最終日、アウディに乗りたくてウロウロしてたら、フォルクスワーゲンのドイツ人の運転手さんに「コレだってドイツ車だぜ!」と乗るように言われ、考えがバレバレだったことを白状しておきます。
というわけで、次回は土日の様子をお届けします。お楽しみに〜。
from 【ブログ】2008年から待ち焦がれた風景が実現/DTM第9戦ホッケンハイム現地ネタ
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