スーパーGTをプロモートするGTアソシエイションの坂東正明代表は、9月22日に行われた第7戦スポーツランドSUGOでの定例記者会見のなかで出されたタイヤ種別の“表示”に関する質疑応答のなかで、ファンに対してどうタイヤを伝えるのかについての“持論”を述べた。
近年、世界的に非常に珍しい高レベルのタイヤコンペティションがあるスーパーGTでは、現在GT500クラスにはブリヂストン、ミシュラン、ヨコハマ、ダンロップが、GT300クラスにはブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップが参戦。今後参戦を希望するタイヤメーカーの噂も挙がるほどで、ほぼ同じ車両規定を使うレースと比較しても数秒違うレベルの速さを実現するとともに、開発の激しさから、ほんのわずかな路面温度の違いで性能差が出るレースとなっている。
また、ウエットコンディション時にはメーカーによる得意・不得意の差が大きく出るのもスーパーGTのタイヤコンペティションの特徴のひとつで、ドライからウエットに変化した第6戦オートポリス、レース途中で水量が変わった第7戦SUGOは、メーカーや履くタイヤの種類で急激なペースの違いやオーバーテイクが起きていた。
そんなスーパーGTだが、同じ車種やドライバーでも、タイヤによって急激に速さが変わったりすることから、観戦・視聴するファンにとっては、リアルタイムで何が起きているのかは分かりづらいことも事実。また、その速さがタイヤの性能に依存することも多く、一部エントラントからは「ドライバーのスキルやマシンのパフォーマンスよりも、タイヤがフューチャーされすぎているのではないか」という声すらある。
こういった状況のなか、第7戦SUGOの定例記者会見における質疑応答のなかで、「タイヤは黒くて丸いのは全メーカー同じで、ファンやテレビの前の視聴者にとっても分かりづらく、視覚的にタイヤの種類を分かりやすくする方策はないか」という質問が出された。
これらの視覚的な例で挙げられるのは、F1で採用されるピレリのレンジ別のカラー分け。また、インディカーのファイアストンではプライマリーがブラック、オルタネートがレッド、レインがグレーと分けられる。全日本スーパーフォーミュラ選手権のヨコハマでも、ソフトにはレッドのラインが入れられており、ファンは映像でもどの種類のタイヤを履いているかが分かる。
同様の色分けはスーパーGTでは可能だろうか……? こういった意見に対して、「タイヤのサイドの部分にマーキングを入れる等の話し合いはメーカーとしているが、今後どうしていくかはもう少し考えなければならない」と坂東正明代表は語る。
そもそもスーパーGTでは、タイヤメーカーが現状でも4つもあり、それぞれにソフトやミディアム、ハードといった単純な呼び方で種類が分けられていない。メーカー内でも車種で種類が違うため、記号や数字でタイヤの種類を表しており、チーム内での会話を聞いても“暗号”かと思うほど。またウエットタイヤも表面のパターンはひとつでもゴムの違いなどによって複数の種類があり、単純な色分けは難しいとも思われる。
坂東代表は「ワンメイクタイヤならソフトやハードなどで色分けが考えられるが、スーパーGTはタイヤワンメイクではない。またファンの皆さん、それこそ(場内実況を務めるスーパーGTオフィシャルアナウンサーの)ピエール(北川)含め、たとえば前戦のオートポリスであれば、終盤スリックタイヤのマシンのタイムが速いのを見て『えっ』と驚くのが面白いと思っている」とスーパーGTならではのレース展開の妙について語った。
「履いているタイヤを含めてチーム戦略なので、それを(色でまわりに)教えるのがいいことなのかどうか。ドライかウエットかは、タイミングモニターに表示されるラップタイムを見れば分かってもらえると思うので、今後ファンの皆さんに、それをどう伝えていくのかの環境、仕組みを考えなければならない」
スーパーGTでのタイヤ選択は、レース戦略のなかでも重要なもののひとつで、参戦メーカーは開発という任務も担っている。種類が分かればレースファンには展開が理解しやすいかもしれないが、ポーカーで言えば手札を明かすようなものにもなってしまうかもしれない。坂東代表の言うとおり、ファンにとって何が最もベストなのかは、慎重な判断が求められそうだ。
from スーパーGTのタイヤにも色をつければ戦略は分かりやすくなるか!? GTA坂東正明代表が持論述べる
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