31号車TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT 2019スーパーGT第7戦SUGO レースレポート

2019 AUTOBACS SUPER GT
ROUND 7 スポーツランド SUGO

開催地:スポーツランド SUGO(宮城県)/3.704km
9月21日(予選)
天候:曇り
コースコンディション:ドライ
観客数:1万2000人

9月22日(決勝)
天候:雨
コースコンディション:ウエット
観客数:2万5100人

悔やまれるバトル開始直後のアクシデント、激しい追い上げも実らず……

 全8戦で争われるスーパーGTは、残すはあと2戦となり、シリーズ第7戦が『SUGO GT 300km RACE』としてスポーツランドSUGOで開催された。今年もaprは引き続き2台体制で挑むが、マシンをTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV(ZVW52)にスイッチ。駆動方式をミドシップからFRに改め、さらにハイブリッドシステムはそのままに、5.4LのV8エンジン、2UR-Gを新たに搭載する、#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTを嵯峨宏紀選手と中山友貴選手を託している。タイヤは絶対的なパフォーマンスを有するブリヂストンを使用する。

 前回のオートポリスでは予選こそ21番手だったものの、決勝レース中に降り始めた雨に乗じ、一時は8番手を走行。しかし、予想外にコンディション変化は著しく、結果として14位でのゴールとなったが、また一歩マシンが進むべき方向性を見出せたレースでもあった。

 今回のSUGOも、オートポリスとはタイプは異なるが、アップダウンの激しいテクニカルコースであり、半減されたとはいえライバルはまだハンデを背負った状態。そこにノーハンデで挑める有利さも武器にして、今季初の入賞を目指す。

公式練習
9月21日(土)9:00~10:35

 前回のレースから2週間のインターバルで行われる第7戦だが、より一層秋の雰囲気を漂わせるようになり、涼しささえ感じるように。

 事前の天気予報では週末は絶えず悪天候とされていたが、こと土曜日は上空が灰色の雲で覆われていたものの、なんとかドライコンディションを保つこととなった。

 公式練習開始時の気温は16度、路面温度は21度。想定内ではあったが、低めの状態からの走行となった。今回も嵯峨選手から走り始め、入念にセットアップ、タイヤ選択が行われていく。途中20分ほどのミドルチェンジと称するセット変更が施される中、#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが目指すべき方向が、徐々に明らかになっていく。その間、嵯峨選手は1分19秒446を記録する。

 1時間15分ほど経過したところから、中山選手が走行を開始。GT300の専有セッションの終了までノンストップで周回が重ねられる。

 前半は1分21秒台でコンスタントにラップを刻み、終了間際には1分20秒563を記すまでに。まずまずの手応えを得て、予選に臨むこととなった。

今季初めてaprの2台のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが揃ってQ2に進出
今季初めてaprの2台のTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTが揃ってQ2に進出

公式予選Q1
9月21日(土)14:15~14:25

 Q1はSUGOとしては昨年に続き、そして今年は開幕戦の岡山以来となる、2グループに分けての計測となった。#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTはBグループでの出走で、担当したのは嵯峨選手。気温は19度、路面温度は31度と予選よりも上昇してはいるが、1周が短いコースということもあって、ウォームアップは入念に行われ、計測4周目からのワンチャンスに嵯峨選手はすべてを込めることとなった。

 その結果、マークされたタイムは1分18秒788で、その時点での7番手につけることに成功。セッション終了間際に1台がタイムアップしたこともあり、ひとつ順位を下げこそしたがQ1突破のボーダーでもある8番手に踏み留まり、ようやくQ2に控える中山選手にバトンをつなぐこととなった。

公式予選Q2
9月21日(土)14:53~15:03

 Q2に臨んだ中山選手は、嵯峨選手からのインフォーメイションを受けて1周早くアタックを開始。計測3周目には1分19秒179をマークし、次の周には1分18秒563にまでタイムアップを果たす。いったんクールダウンを挟んで、もう1周アタックをかけようとしたが、その時すでにタイヤはピークを過ぎていたことから、走行を完了することに。

 その結果、中山選手は12番手につけ、#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTにとっての今季ベストリザルトを獲得することとなった。

■コメント
嵯峨宏紀選手

「やっと今季2回目のQ1を通りました! SUGOは個人的に好きなサーキットですから、頑張りたいという思いはありましたし、前回のレースで出せたセットがいい方向に行っていて、中山選手も12番手につけてくれて」

「今シーズンのベストポジションからスタートできるので、決勝では少しでもいい結果を残したいと思います。天候も雨でしょうし、SUGOのコースではいろいろ起こると思うので、慎重に行きますけど、チャンスでもあると思いますので、なるべく上位で帰ってきたいと思っています。恵みの雨になるといいですね!」

中山友貴選手

「僕自身の予選はしっかりアタックできました。明日のレースに向けて少なくても10番前後にいたかったから、最低限の仕事はできたと思います」

「今まで予選でパフォーマンスがまったく出せない状態でした。前戦から規定の仕様になり、シャシに専念ができウエットタイムを詰められる部分に手を付け始めたのでポジティブな状況だと思っています。明日はおそらくでのレースになるでしょうが、テストでのウエットは2番手タイムも出てますし、評価も出来ているので、いい戦略でポイントを獲って帰りたいです」

金曽裕人監督

「我々にとって、これがやっと2戦目です。TRDさんが頑張って開発してくれて前戦からエンジンは規定の仕様となり生まれ変わりました。そのことから、ようやくエンジンとシャシがリンクし始めました。でも、まだまだシャシでスピードアップが必要ではありますが、エンジン関係は低速もピックアップも良くなっていて、非常に扱いやすくなり感謝しています。待っただけの甲斐があるエンジンパフォーマンスだと思います」

「決勝はたぶん雨になるでしょうから、ブリヂストンの最強ウエットタイヤでどこまで前に行けるか楽しみですし、前回のような難しいコンディションでなかったら、運とかじゃなく実力で結果もつかめると信じています。ある意味、我々にとって鉄板レースであり明日が楽しみです」

決勝レース(91周)

9月22日(日)14:00~

 スタート進行の開始とともに行われる20分間のウォームアップで、まずは嵯峨選手が#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTをドライブしたが、やはり決勝レース想定の満タン状態のなか、1分20秒703をマークして5番手につけることに。ほぼ折り返しのところで交代した中山選手も、終了間際には1分20秒749にまで短縮を果たし、決勝レースに向けての好材料としていた。

 ただ、そこまではドライコンディションが保たれていたのだが、全車グリッドについて間もなく霧雨が舞うようウエットになる。それが時間の経過とともに、しっかりとした雨に転じていった。すぐに雨がやんだり、勢いを弱めたらドライタイヤのままで行くべきだが、そのまま降り続けるならタイヤに交換すべき。

#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTに対し、下された判断はウエットタイヤへの交換。スタート5分前までにタイヤを改めて、スタートを担当する嵯峨選手に託されることとなった。

 それから間もなくレースは、セーフティカースタートで開始されることが決定。2周の先導の後、いよいよバトル開始となるが、その間に雨足は強くなっており、好判断が下されたのが明らかになる。

 ところが……。4コーナーで嵯峨選手は後続車両に左後ろを追突されてスピン。復帰に時間がかかり単独最下位への後退を余儀なくされてしまう。だが、それで諦めるような嵯峨選手ではなかった。選択していたブリヂストンのタイヤが、コンディションにマッチしていたこともあり、オーバテイクの連続で順位を挽回。交代タイミング時には実に予選と同じ、12番手にまで順位を戻すこととなる。

レース序盤のアクシデントで最後尾からの追い上げとなったTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
レース序盤のアクシデントで最後尾からの追い上げとなったTOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

 32周目に中山選手と交代し、さらなるポジションアップが期待されたが、それから5周後にセーフティカーが導入される。GT500車両のコースアウトがあったためだ。この頃、突如として雨が勢いを増したのも原因であった。これにより、今季4度目のセーフティカーによるラップダウンが確定……。

 中山選手は1周回遅れの16番手で、入賞も厳しそうであったことから、チームはさらに雨が強くなれば、との期待も込めて50周目に#31 TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GTをピットに戻し、秘蔵っ子のエキストラソフトにタイヤを交換する。

 しかし、期待に反して雨足はそのままだったこともあって、善戦空しく2回PITしたこともあり、23位という結果に甘んじることとなった。またしても運と天候変化に翻弄されてしまったが、レース内容そのものには納得のいく一戦ではあった。最終戦もてぎで一矢報いてくれることが、大いに期待される。

■コメント

嵯峨宏紀(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)
嵯峨宏紀(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)

嵯峨宏紀選手

「最初のアクシデントは仕方ないといえば仕方ないし、あのポジションにいたのが原因なんですけど後ろは多分ウエットタイヤが、ドライ混在している状況を完全に把握できていなかったんでしょうね。自分たちは分かっていたから、かなり慎重に行ったつもりだったんですが。ただ、追い上げていくことができた結果、元のポジションまで戻ってくることができたものの、交代後の雨量変化にうまく対応しきれませんでした」

「ただ、満タンの状況が良かったり、またクルマとして向上していくきっかけはいくつかあったので、そこはチームにしっかりデータを分析してもらって。最終戦に向けてというか、来季につながるレースをしたいと思います。ブリヂストンのタイヤパフォーマンスは素晴らしく、表彰台は狙えたレースだったのに本当に悔しいです」

中山友貴(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)
中山友貴(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT)

中山友貴選手

「交代してから雨量が変化するなかで、タイヤのグリップ感をあまり感じることができなくて、プッシュするというより、コース上に留まるのがやっとという状態だったので、タイヤを交換してペースアップをはかろうと思ったんですが、思ったよりもペースが上がらなくて、苦しめられてしまったというような状況でした」

「天候変化に合わせていこうと思ったんですが、うまくいきませんでしたね。状況変化に関してクルマのデータ量がまだ足りていないので、そのあたりの合わせ込みができなかったという反省点が出たので、次回はしっかりと。今回、大きなデータも得られたと思いますので、最終戦では良い結果を残したいと思います」

金曽裕人監督

「エンジンとマッチしてマシンも調子が上向きになり、さらにブリヂストン得意の雨。すべていい材料が整ったのですが、スタート直後にリヤを追突されてスピンしグラベルSTOP。かなり差のある最後尾から交代時には元の12番手にまで戻しましたが、その直後にまたしてもSC導入からの1ラップ遅れが確定に。せめて入賞したいことから博打に出て、さらに雨が強くなればとの期待から、大雨用のエキストラソフトにタイヤを交換しました」

「でも、雨は小康状態のままで、博打が実ることはありませんでした。同じブリヂストンタイヤ勢の結果からすれば、スタート直後のアクシデントが、すごく残念でなりません。上位が保証されていた、鉄板レースを落としたのが悔やみきれず……」

「残りは最終戦もてぎだけとなりましたが、表彰台を積極的に目指したいと思います。どんな時も、たくさんの応援、本当にありがとうございます」



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