2戦連続のポール&レコードブレイカー、MOTUL AUTECH GT-Rの実力は依然未知数

 スーパーGT第2戦富士、決勝レース最後の第3スティントの最終パナソニック・コーナーでステアリングが切れないくらいのオーバーステアに見舞われたMOTUL AUTECH GT-Rのロニー・クインタレッリ。原因はピックアップだった。

 トラクションの掛け方に細心の注意を払って立ち上がったものの、99周目のストレートエンドで並びかけるZENT CERUMO LC500を相手に抵抗するだけの力は残っていなかった。

 第2スティントと第3スティントは同じソフトコンパウンドだったが、見舞われた問題は別だった。第2スティントを担当したMOTUL AUTECH GT-Rの松田次生はデグラデーションに苦しみ、トップを守ることはできなかった。

 MOTUL AUTECH GT-Rが履くミシュランタイヤは昨年の第5戦富士の後、大きく開発方針を変更していた。2018年シーズン前半は2017年の空力規定変更以降失われたダウンフォースを取り返すことを優先していたという。しかし「空力を優先するあまり、タイヤ本来のプロダクトからするとちょっといき過ぎたかなと感じました」と振り返るのはミシュランのタイヤ開発担当小田島広明氏。

 広い速度域でダウンフォースを安定して確保しようとすると車高変化は極力抑制したい。そのためにタイヤのたわみを減らす方向の開発が昨年前半に進んでいたようだ。

 しかしデグラデーションという弊害が出てきたためパフォーマンス向上よりもバランスの回復をシーズン後半に優先した。今季に向けてはそこに車両の進化が加わることで2戦連続のレコード更新ポールポジションにつながった。あとはドライでの決勝パフォーマンスをしっかり発揮できればタイヤの性能が確認できるはずだった。しかし、第2戦決勝はウエットでスタート。

 第2スティントは雨が止んだものの第3セクターだけが乾き出しているという状態から始まり、第3スティントは作動温度領域の下限付近である路面温度17度という特殊要件が重なり、冒頭のような状況に見舞われた。

 対LC500+ブリヂストンのパッケージに対してレンジが狭いという見方もできる一方、それでもレースを壊すまでにペースを落とすことなく2位でまとめたとも評価できる。わずかな路面コンディションの変化が勢力図を大きく変えるほどに、各車の実力が拮抗している状況がここからも確認できる。

 レースウイークを通じて安定したドライコンデション下、決勝でGT-R+ミシュランのパッケージがライバルに対してどのようなパフォーマンスを示すのか、その結果が今シーズンの流れを大きく左右するのは間違いない。次戦鈴鹿でそれが確認できることに期待したい。



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