2018 AUTOBACS SUPER GT ROUND 6
スポーツランド SUGO
開催地:スポーツランド SUGO(宮城県)/3.704km
9月15日(予選)天候:曇り一時雨 コースコンディション:ドライ一時ウエット 観客数:1万2900人
9月16日(決勝)天候:晴れ コースコンディション:ドライ 観客数:2万8500人
90kgのウエイトハンデ積んでなお、入賞が見えてきた終盤、後続車両の追突によって、無念のリタイアを喫す
全8戦で争われるスーパーGTシリーズの第6戦、『SUGO GT 300km RACE』がスポーツランドSUGOで開催された。今年もaprは2台のトヨタ・プリウスZVW51を走らせ、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』を、新たにコンビを組むことになった、嵯峨宏紀選手と平手晃平選手に託すこととなった。
第2戦から入賞を重ねる『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』は、前回の富士スピードウェイで今季3回目の表彰台獲得となる3位につけたことから、ランキング2位をキープ。しかも、トップをわずか6ポイント差におさめている。
その一方で、名誉の勲章と言えるウエイトハンデは90kgにも達していた。本来ならば、苦戦を余儀なくされる重さながら、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』とSUGOの相性は良く、2016年には優勝、2017年にも5位に入っているだけに、きっとハンデをはねのけてくれるに違いない。
公式練習9月15日(土)9:00~10:40
今年の夏は連日猛暑続きだったが、さすがに9月も半ばに差し掛かると、秋の気配も漂うようになって、ようやく高くない温度の中で走れるようになった。最初の走行となる公式練習スタート時の気温は21度、そして路面温度23度となっていた。
温度以上に気になるのは、上空には雲が一面に広がり、いつ雨が降ってきてもおかしくないことだった。もっとも、この週末の天候は不順だと予報は伝えているだけに、ドライとウエット両方で走れて、セットアップを進められるのは、こと公式練習ではありがたい。問題はタイミングであったが。
嵯峨選手が最初に『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』に乗り込み、いつものように計測開始とともにコースインし、すぐピットに戻ってくる。最初のセット変更を行った後、メニューは順調にこなされていった。2回ピットに入った後、ほぼ折り返しのところで、平手選手にバトンタッチ。この間、嵯峨選手の記したベストタイムは1分20秒317。交代直前に雨がいよいよ降り始めたが、まだ路面を濡らすまでではない。その証拠に、ドライタイヤのままで走り続けた平手選手は、ピットに入る直前に1分20秒302をマークしていた。
1時間を経過して間もなく平手選手はピットに入り、最後の詰めを行う間に雨は強くなって、ここからウエットタイヤを装着。嵯峨選手がコースに送り出された直後に赤旗が出るが、残すGT300単独のセッションは短縮されず。
降りしきる雨の中、1分29秒893をマークしたところで走行を終了した。ドライ~セミウエット~ウエットと、ひととおり路面状態を確認できたことで、実りある公式練習となった。
公式予選 Q1 9月15日(土)14:15~14:25
今回のQ1は初めて2組に分けられた。SUGOは1周が短く、またコース幅も狭いことから、トラフィックの軽減が目的である。『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』はB組からの走行となり、担当したのは嵯峨選手。
公式練習で降った雨はすでにやんでおり、先に行われたA組では路面の一部にウエットパッチが残っていたが、トップは1分18秒台に入れており、ライン状は完全に乾いているようだ。
気温は23度、路面温度は25度と、公式練習の始まりよりは高くなっていたが、もちろん想定の範囲。また、計測時間は普段より5分短い10分間であるため、本来であれば入念にウォームアップを行いたいところだが、そうもいかず。そこで計測2周目からのアタックとなったのだが……。
記されたタイムに、誰もが目を見張った。1分18秒913で2番手に! 予想をはるかに超えるタイムだったこともあり、嵯峨選手はこれで走行を終了。そして、上回るタイムを誰も記録できなかったこともあり、2番手でQ2進出を果たすこととなった。
公式予選 Q2 9月15日(土)15:26~15:36
GT500のQ1でクラッシュがあり、車両回収とガードレール修復に時間を要したこともあり、Q2は当初の予定より、30分近く遅れてのスタートとなった。Q1より路面温度は2度ほど上がったが、気温はそのまま。路面はもう完全に乾いていた。
嵯峨選手は慌ただしくアタックにかかったものの、実際にはもう少し余裕があったことから、平手選手は2周にわたってウォームアップを行ったところでアタックを開始。
まずは1分19秒245をマークした後、1周をクールダウンに充てて、さらなるタイムアップが期待されたものの、そのアタック周にスローダウン車両に出くわしクールダウンを余儀なくされ、それ以上の短縮は果たせず。惜しくも12番手となってしまったものの、90kgものウエイトハンデを積んでいる以上、まずまずの結果ではないだろうか。むしろ入賞は、決して夢物語ではないポジションだ。
嵯峨宏紀選手
元々、このサーキットは大好きなサーキットでもありQ1を通ることに関しては自信はありました。だけど、18秒台に入るとは、自分でもビックリです。でもQ2のタイムを見ると同じタイムでも8番手。12番とではさほど変わらないので、明日は1ポイントでも取りたいですね。
平手晃平選手
ご期待頂いた皆様には、申し訳ないです。アタック周に、スローダウン車両とタイミングが合ってしまい、結局まともに予選を全力で走ることが出来なかった。もう少し上のポジションなら良かったが残念です。明日は、90㎏のハンデはさすがに厳しいですが、入賞を目標にシングルフィニッシュを狙います。
金曽裕人監督
Q1に関しては、いい意味での想定外でした。Q1通れないんじゃないかと思っていたほどなので。あの結果というのは、宏紀の『何か持っている力なのかな』と思いました。それで晃平がQ2に行って、『ちょっとミスった』って言いながら、そんなに悪くなかったんで、改めてびっくりしました。
今年のマシンは決勝に強いのでじわじわ順位を上げていきたいと思います。ご期待ください。
決勝レース(81周)9月16日(日)14:00~
日曜日のSUGOは穏やかな天気に恵まれ、そんな陽気に誘われたのか、スタンドは多くの観客で埋め尽くされていた。20分間のウォームアップは、スタートを担当する嵯峨選手からの走り出しとなった。3周を走り、最初の周に記した1分22秒094が、ここでの『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』のベストタイムに。
交代してからの平手選手は残り時間をすべて走って、決勝レース想定の1分22秒台前半をコンスタントにマークしていた。スタート直前の気温は27度。しかし、路面温度は37度にまで上がっていたのは、少々想定外ではあった。
宮城県警によるパレードラン、そしてフォーメイションラップを経て決勝レースのスタートが切られ、オープニングラップのうちにふたつ順位を上げていた嵯峨選手。しばらくは前後ともに大きな間隔はなく、集団の中で周回が重ねられていく。10周を過ぎたあたりから後方との差は広がり、6番手を争うしんがりにつけることとなった。隙あらば逆転を……といきたいところだが、コース幅の狭いSUGOではオーバーテイクはし難く、何より90kgを背負って、持ち前のフットワークは封じ込められている。ここは我慢の時と嵯峨選手。
17周目、3番手を走行していた車両の後退により、ひとつ『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』はポジションを上げる。そして、規定周回の1/3を過ぎたあたりから、ピットに戻る車両が相次ぐように。嵯峨選手も26周目に、平手選手とバトンタッチ。
いったんは順位を大きく落とす格好とはなっていたが、全車がドライバー交代を済ませると、12番手の予選順位と同じポジションに平手選手は返り咲く。
チャンスは突然訪れた。55周目に6番手を走行していた車両がペースダウンを強いられ、さらに2台をパスすることとなって、平手選手は一気に入賞圏の9番手に躍り出る。ゴールまであと20周あまり。平手選手も、ここは我慢の時と意を決する。そんな矢先にハプニングが襲う。
61周目のSPコーナーインで後続車両に追突され、制御が効かなくなった平手選手の『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』は、クラッシュパッドに激突してしまう。レース続行は不可能であったが、平手選手が無傷であったのは、不幸中の幸いだった。
もうひとつ不幸中の幸いであったことは、ランキング上位陣の多くが入賞ならず、『#31 TOYOTA PRIUS apr GT』と嵯峨選手、平手選手はランキング2位が保てたことだ。オートポリスが舞台のシリーズ第7戦は、ウエイトハンデがそれまでの半分となる。今回のような我慢は不要とされるはずだ。希望を最終戦のもてぎまでつなぐ戦いが期待される。
嵯峨宏紀選手
ウェイトハンデ90キロを積んでの戦いでした。苦戦は覚悟してましたがやはりなかなか厳しかったですね…。最後は後ろから接触されてしまいリタイア。レースなので仕方のない事ですがポイントは取れそうだっただけに悔しいです。
まぁでもその分次のオートポリスは必勝体制で頑張ります! 嵯峨、平手コンビ、チーム apr の底力にますますご期待くださいませ!!
平手晃平選手
やはり90kgという重さを積んであの坂を上るのには、いくらチームが速い車・BRIDGESTONEさんが良いタイヤを用意してくれても前に進めるのは難しかった…。反省点を次のAP前の合同テストでしっかりとクリアにし、戦闘力をあげてAP戦に挑めるように励みます。ご声援ありがとうございました!
金曽裕人監督
予想していたとおり、重さが響いて決勝に速さはありませんでした。でも、12番手というポジションからスタートして8、9、10……、そのどこかの順位に入ってくれることを期待したんです。
厳しい中でも、チーム力で淡々と順位を上げて、終盤に9番手。そのままキープできたらなと、思っていたところに後ろからドカ〜ンと。平手選手に否はなく怪我も無くそこだけは良かったです。ただ、何事もなくても今回は獲れて1~2点。レースはそんなに甘くないですよ。
とはいえ、ランキング上位の、ほとんどが結果を残せず、これで面白くなったじゃないですか? これがGT300の魅力だし、残り2戦はガチンコ! いい意味で、我々が見どころたくさん作ってみせますので、ご期待ください。
from 31号車TOYOTA PRIUS apr GT 2018スーパーGT第6戦SUGO レースレポート
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