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ホンダのフラグシップスポーツであるNSXが、とうとう日本に上陸する!
編集部からその知らせを聞いて、一緒にその姿を拝みに行って来た。
「とうとう日本に」なんて言い方をしたのは、ご存じの通りこの娘がアメリカ生まれの帰国子女だからである。ちなみに私は、このすぐあとにNSXを鈴鹿で試乗することになっている(スーパーGT 第6戦 SUZUKA1000kmの翌日という、粋な計らいだ)。
それでもやっぱり、観たかった。こういう胸をときめかせるスーパースポーツは、何度観たって、きっと見飽きることなどないはずだから。
果たしてそしてその予感は、バッチリ的中した。
第二世代となる"ニュー・スポーツ・エックス"。目の前で動くその姿はじつに容姿端麗、威風堂々としていたのである。
その登場は2012年の北米オートショーと、既に4年以上も前の話であり(このときの名称は「NSXコンセプト」)、2015年の同ショー、そして東京モーターショー2015でも、より市販車に近いサイズとなって、壇上ではあるがその姿を我々にお披露目した新型NSX。
筆者は参加していないが、既に国内では一度プチ試乗会が(このときはNSXプロトタイプ)、北米でも本格的な試乗会が開催されており(このときはアキュラNSX)、その内容はモータージャーナリストによって広くアナウンスされている。それでもなお、このスポーツカーには、色褪せない何かがある。
そのアメコミから飛び出したかのような、冷淡ながらも未来的なデザインの内側に、いまだなぞめいた魅力が、隠されている感じがする。
それは既存のスーパースポーツたちにはない価値観が、そのデザインとパッケージングに込められているからなのだろう...と筆者には直感できた。
ホンダから正式には発表されたスペックは、これまでオートブログが発信してきたものと同じ。オールアルミ製のシャシーに搭載されるエンジンは、3.5リッターのV型6気筒直噴ターボで、エンジン単体で507ps/6,500~7,500rpm、550Nm/2,000~6,000rpmを発揮する。
そしてここに「ダイレクトドライブモーター」が加わり、35kWの出力をプラスすると共に、直噴制御と連続可変バルブタイミングコントロール機構(VTC)で、内燃機関としては可能な限りターボラグを消し去ったであろうエンジンのレスポンスを、さらに高めようとしている。
そう、NSXはこのクラスでは唯一のハイブリッドスポーツなのだ。
とはいえその動力性能は、きっとライバラルたちに一歩及ばない。全てのモーターパワーを追加すればそのシステム最高出力は581hp!になるものの、全開領域でその電装出力は短命だろうから。
またその車重も1780kgと、ライバル達にくらべ圧倒的に重たい。
ちなみにフェラーリ488GTBはV型8気筒直噴ターボ・3902ccの排気量から670ps/760Nmを発揮し(2WDミドシップ、7速DTC)、ポルシェ911ターボSは水平対向6気筒ターボ・3800ccの排気量で580ps/700Nm(4WDリアエンジン、7速PDK)を叩き出す。マクラーレン570Sは、V型8気筒ターボ・3799ccの排気量から570ps/600Nm(2WDミドシップ、7速SSG)を実現したモンスターたちなのである。
それでもNSXがまったく陳腐に感じられないのは、極めて日本的な、いや極めて"ホンダ的"なソリューションでこれらに対峙しているからだと私は思う。これを"対峙"としたのは、安直に"対抗"していると言いたくないからだ。きっとホンダなら、パワーを出すだけならできるはず。しかし同じ土俵でそれに相対することを、よしとしなかったに違いないのである。
そのソリューションのひとつに、超多段化されたデュアル・クラッチ・トランスミッション(DTC)が上げられる。ホンダはライバルたちより2段も多い9速DTCを作ることで、その加速性能やレスポンスを向上させたのだ。
いまやトランスミッションは、エンジン以上に動力性能へ貢献するパーツであり、いたずらに排気量を増やすよりも、エミッションへの貢献度は圧倒的に高い。しかもこれを湿式とすることで冷却効果を上げ、モーターハウジングとの結合部分を持ち、9つものギアを内蔵してもこれをコンパクトにまとめきった。またサーキットのような高負荷状況でも耐久性を損なわないようにと、わざわざクラッチオイルとギアオイルを別々に分けたのである。
そして一見高500psオーバーの高出力化を4WDのトラクションで補うかのように思わせる、前左右輪を制御する「ツインモーターユニット」は(最高出力27kW×2基)、ミドシップの旋回性能をさらに高めるための、トルクベクタリングシステムとして採用されたものであった。これがSH-AWDの正体である。
それだけではない。
初代NSXでは命題だった「ゴルフバッグが積めるトランク」を、ホンダはこの二代目でばっさりと廃止したのだ(一応、トランクはあるが)。
これによってリアオーバーハングを短縮することができ、そのホイルベースを長く取ることが可能になった。エンジンは重心高が高くなり、トランスミッション位置の関係から重量配分に自由度が少なくなる横置きFFユニットの流用から、エンジンを縦置きに配置する"純レーシングレイアウト"へ改められられたのである(トランスミッションは縦置きだが、そこにV6エンジンの全長の短さが活きているはずだ)。
そしてそのV6エンジンは、バンク角を75度とすることでホンダなりの最適解とした(ちなみに488GTBは90°。これは気筒数や、シリンダーヘッド重量の違いなどで角度は異なってくるはずだ)。これがもたらすメリットは、当然クランク中心位置のを下げることによる低重心化。そしてそのオイル潤滑方式は、とうとうドライサンプとなった! オイルパンを必要としなくなったことで、そこからさらに60mmもエンジン搭載高を下げることが可能になったというのである。
その前後重量配分は42:58といまだリアヘビーだが(初代NSXは40:60)、それはトラクション性能に活かされるはず。そしてその重心の低さが、操縦安定性に大きく寄与するはずである。それはRRでも操縦しやすい911GT3が既に実証している。
大衆車メーカーであるホンダが、NSXにラゲッジ性能を盛り込まなかったことは、ひとつの大英断だったと思う。採算分岐を量産化におかず、プレミアム路線においたことで、性能をピュアに追い求めることができたわけだ。つまりホンダは、先に記したスーパースポーツたちに、自身もプレミアムスーパースポーツの立ち位置に立って、真っ向から勝負を挑む気なのである。
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ホンダ、『 新型 NSX 』世界のプレミアムスーパースポーツに真っ向勝負を挑む!:山田弘樹 originally appeared on Autoblog Japan on Wed, 24 Aug 2016 22:00:00 EST. Please see our terms for use of feeds.
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