ブリヂストン 2020スーパーGT第4戦もてぎ レースレポート

2020年スーパーGT第4戦ツインリンクもてぎ[GT500]

レース序盤でトップに立った塚越広大/ベルトラン・バゲット(KEIHIN NSX-GT/BS)が快走を見せて今季2勝目を飾ってランキングでもトップに踊り出る

開催場所:ツインリンクもてぎ
開催日:2020年09月12日(土)~2020年09月13日(日)

 シリーズの折り返し、第4戦は舞台をツインリンクもてぎに移した。予選は不順な天候に翻弄される展開となって、小雨が降ったり止んだりしてタイヤ選択に苦しめられた。その状況のなかでブリヂストン勢がトップ4、グリッドの2列目までを独占。決勝ではスタート直後から積極的な展開を見せ、8周目にトップに立った塚越広大/ベルトラン・バゲット(KEIHIN NSX-GT/BS)が2回のセーフティカー導入で2位以下に築いた差をリセットされながら最終盤に再び後続との差を開いて優勝。

<予選>

 日本付近に停滞していた温帯低気圧の影響で予選日は不安定な天候によって変化する路面コンディションに翻弄される状況だった。曇り時々雨。雨量は少なくドライ用、ウエット用いずれのタイヤをチョイスするか各チームは判断に悩んだ。Q1セッションが開始された段階では小雨、コースはハーフウエット。路面は水が浮くような状況ではなく、各車ドライ用のスリックタイヤでコースイン。セッションが進むにつれて走行ラインは乾き始めた。

 ブリヂストン装着車は、Q2に進出できるトップ8台中5台を占めた。Q2は、Q1よりも雨はやや強く路面もウエットに変化。各車スリックタイヤでコースインしたが、すぐに再度ピットインしてウエットタイヤへ交換した。しかし、路面はどんどん乾き始めてウエットタイヤでは、グリップ性能ダウンが激しかった。最後にタイヤ交換した立川祐路/石浦宏明(ZENT GR Supra/BS)が、路面コンディションとタイヤのグリップレベルが最もマッチし、ベストタイムをマークして2018年以来のポールポジションを獲得した。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ ZENT GR Supra(立川祐路/石浦宏明)

<決勝>

 朝は快晴だった天候が決勝のスタート時に空は雲に覆われた。スタート直後はポールスタートの立川/石浦組の背後に塚越/バゲット組、そして5番手グリッドから一気に順位アップした伊沢拓也/大津弘樹(Modulo NSX-GT/DL)が3位につけていた。スタートドライバーのバゲットが8周目にトップに立つと2位以下との差を一気に広げた。

 しかし、10周目にアクシデントがあってセーフティカーが入り、その差はリセットされてしまう。リスタート後に再び後続を置き去りにして快走してトップの座を維持したままドライバー交代。2位以下に大差をつけてレース終盤に入ったところで再びセーフティカー導入でリードはまたしてもリセット。セーフティカーランが終わり、最後は14周のスプリントレースの様相を呈したが、塚越/バゲット組は他を寄せ付けることなくゴールへ突き進み2020年シーズン2勝目を飾った。

<優勝ドライバーコメント>
塚越広大選手

「序盤からバゲット選手がトップに立ってくれて、そして大きくリードしたのにセーフティカーが入ってしまった。でもまた大きくリードしてトップで手渡してくれました。マシンもタイヤもすごく良くて、優勝できました。第2戦で勝ったとき、涙は出ませんでしたが、今回はなぜか泣けてきました。ありがとうございます」

ベルトラン・バゲット選手

「第2戦とおなじような展開になり、マシンもそうだけれどブリヂストンタイヤが素晴らしかった。トップに立つまでにフロントタイヤを酷使したので、その後はマネージメントしながら走行していたが、それでも2位との差を開くことができた。シリーズ前半戦で2勝できるとはすごいことだ」

<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:山本貴彦のコメント>

「KEIHIN NSX-GTとブリヂストンタイヤのマッチングが際立っていた。それがトップに立ってからの快走、結果に現れていると思います。おめでとうございます。予選は天候に翻弄されてしまって大変でしたが、その状況でも決勝のグリッド上位を占めることができました。決勝はドライで行うことができ、ウエットタイヤ、ドライタイヤともにポールポジションと優勝を支えることができました。シリーズが進むにつれて、ブリヂストンタイヤの装着車のウエイトハンディがどんどん重くなってくるので、後半戦が厳しい状況となってきますが、その状況下でも好成績を残せるようにサポートさせていただきます」

2020年スーパーGT第4戦もてぎ GT500クラスで優勝を飾った塚越広大とベルトラン・バゲット(KEIHIN NSX-GT)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ GT500クラスで優勝を飾った塚越広大とベルトラン・バゲット(KEIHIN NSX-GT)

2020年スーパーGT第4戦ツインリンクもてぎ[GT300]

予選で13番手スタートの蒲生尚弥/菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG/BS)がタイヤ無交換作戦でトップに立ち優勝、ランキング2位に躍進

 不順な天候によって難しいコースコンディションに翻弄された予選で、13番手と振るわなかった蒲生尚弥/菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG/BS)は、ドライバー交代の際にタイヤ交換を行わないタイヤ無交換作戦のためにレース序盤からタイヤマネージメントを行い、ピットイン後にトップに立つと後続を抑え切って今季初優勝を飾った。これによって同チームはランキング2位へ躍進した。

<予選>

 曇り空の下Q1 Aグループのセッションが開始された時、コースコンディションはハーフウエット。各車はドライ用のスリックタイヤを装着してコースイン。蒲生/菅波組が2番手、3番手に嵯峨宏紀/中山友貴(TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT/BS)がつけてQ1突破。Q1 Bグループのセッションでは雨が降って来た。アクシデントによる赤旗中断後、残り8分間のセッションでは、ドライタイヤと雨用のウエットタイヤを装着するマシンが混在した。

 Bグループでは、ウエットタイヤで高木真一/大湯都史樹(ARTA NSX GT3/BS)が5番手でQ2へ進出。Q2に進出したブリヂストン装着車3台はハーフウエットのコンディションをドライタイヤでアタックし嵯峨/中山組が3番手グリッドを確保。高木/大湯組が10番手。そして蒲生/菅波組が13番手グリッドを得た。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ TOYOTA GR SPORT PRIUS PHV apr GT(嵯峨宏紀/中山友貴)

<決勝>

 上空は雲に覆われていたが、ドライコンディションで決勝はスタート。前戦からGT300クラスのタイヤ交換義務は解除されて、ブリヂストンユーザーの大半がタイヤ無交換作戦を選択していた。それによって、レースの序盤ではタイヤをあまり酷使しないペースで周回を重ねていた。その状況下でも蒲生/菅波組は徐々に順位を上げながらスタートドライバーの菅波選手がロングスティントで引っ張り、全車がピットインを終了した時点で作戦通りにトップに躍り出た。

 しかし、その後に今回2回目のセーフティカーが導入されて2位との差が全くなくなってしまった。終盤はポールポジションスタートの青木孝行/柴田優作(RUNUP RIVAUX GT-R/YH)が迫る展開となった。しかし、ゴールまで4周を残して青木/柴田組がストップしてトップ争いに決着がついた。蒲生/菅波組は20ポイントを加えてランキングトップと1ポイント差の2位に躍進した。

2020年スーパーGT第4戦もてぎ LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ LEON PYRAMID AMG(蒲生尚弥/菅波冬悟)

<優勝ドライバーのコメント>
蒲生尚弥選手

「レース展開もですが、タイヤ無交換作戦がこんなにうまくいくとは思いませんでした。このクルマとブリヂストンタイヤのパッケージがもてぎに本当に合っているので、それを活かせて良かったです。とりあえずは勝ててホッとしています」

菅波冬悟選手

「去年の第6戦からチームに加わらせていただき、これまで勝てそうで勝てないレースもあって、今年もここまで速さがあっても勝てていませんでした。それだけに自分自身の初優勝を飾れてすごく嬉しいです」

<ブリヂストン MSタイヤ開発部マネージャー:山本貴彦のコメント>

「予選ではほかのタイヤメーカーさんの装着車が上位を占め、嵯峨/中山組が孤軍奮闘という感じでしたが、決勝では状況を逆転できて蒲生/菅波組の優勝を支えることができました。ほかのブリヂストンタイヤユーザーもタイヤ無交換作戦を行っていたのですが、優勝チームのような展開にはならず苦戦してしまいました。GT300クラスは本当にタイヤの性能競争が激しく、後半戦も全く気が抜けません」

2020年スーパーGT第4戦もてぎ GT300クラスで優勝を飾った蒲生尚弥と菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG)
2020年スーパーGT第4戦もてぎ GT300クラスで優勝を飾った蒲生尚弥と菅波冬悟(LEON PYRAMID AMG)


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